外部へのリークと世間の目
アイコさんの逆襲は、次の段階へ移行した。彼女は、直接この家に戻ることを諦め、外部の力を借りようとしたのだ。
数日後、週刊誌の記者を名乗る男から、私の携帯電話に連絡が入った。
「ユリネ様でしょうか。実は、貴女の義母様であるアイコ様から、情報提供がありまして」
「情報提供?」
私は、胸騒ぎを感じた。
「ええ。キョーヘー様が、会社の不正な利益を隠すために、偽名で株を所有し、それを貴女が奪い取った……と。そして、キョーヘー様が、それを隠蔽するために、アイコ様を家から追い出した、と主張されています」
記者の言葉に、私は怒りで震えた。アイコさんは、自分を被害者に仕立て上げ、私とキョーヘー様を、悪人にしようとしている。
「それは、全くのデマです。キョーヘー様は、一切不正などしていません。あの財産は、彼の正当な資産であり、私ユリネが、彼から譲り受けたものです」
私は、冷静を装って否定した。
「なるほど。しかし、アイコ様は、キョーヘー様がご自身の母親を追い出した事実をもって、信憑性を訴えていらっしゃいます」
記者は、しつこく食い下がってくる。アイコさんは、世間体を重視するキョーヘー様の弱点を突いてきたのだ。
私は、すぐにキョーヘー様に、この件を報告した。
キョーヘー様は、冷静だった。
「やはり、そう来たか。母さんは、自分の立場が悪くなると、すぐに周りを巻き込もうとする」
彼は、私を安心させるように、私の手を握った。
「心配ない。あの株は、僕が合法的に取得したものであり、不正な資金ではないことを証明する書類は全て揃っている」
キョーヘー様は、法務部門に指示を出し、アイコさんによる虚偽の情報の拡散を防ぐための対策を講じた。
しかし、時すでに遅し。アイコさんがリークした情報は、既にインターネット上で拡散され始めていた。
「キョーヘー財閥の跡取りが、母親を家から追い出し、妻と不正な財産を独占か」
SNSでは、私たちを非難する心ないコメントが溢れていた。ユリネは、不安に襲われる。
「キョーヘー様……」
「大丈夫だ、ユリネ。僕たちがやるべきことは一つ。真実を公にすることだ」
キョーヘー様は、記者会見を開くことを決意した。全ての真実を、彼の口から語ることで、アイコさんの嘘を打ち砕く。
そして、その記者会見の日。キョーヘー様は、私の手を握り、力強く言った。
「僕が、君を守る。そして、この嘘を、世の中から消し去る」
私は、彼の強さに、改めて心を打たれた。




