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短い詩8
1、消えゆく
砕け散った白黒の思い出
破片に反射し 映し出される像は
紡ぎたくとも紡がれなくて
途絶えて停止し
薄れゆく涙の痕に消えゆく
2、冬から春
白き旅人
凍れる雪風をまとう
世界に冬を巡らし雪をもたらす
流浪の果てに
己が生まれし故郷へ帰り
役目を終え静かに消えゆく
その命から熱が生まれ
小さな芽が生まれ
喜びをまとう
春という旅人が
また世界を旅するのだ
3、永遠はない
年月は経過し 停滞していく
世界は発展し 衰退していく
自然は芽吹いて 枯死していく
生命は躍動して 衰弱していく
刻々と変化するゆえに
絶対に不変はない
すべては始まった以上
終わりに向かう
終焉はあっても永遠はない
4、青き守護者
乾いた風に髪がなびく
荒野を歩く砂漠の旅人
小さき身体には
鮮烈なほど美しい青き剣
およそ似合わぬもの
されど
彼女を知る者はこう呼ぶ
『青き守護者』と
5、Cold Moon
真冬の凍気
澄みわたる夜空に満天の星々
その星の囁きが潜めるほど
鮮烈な青銀月