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短い詩5
1、葉
桜のようにひらひらと
楓のようにくるくると
若葉のように舞って
枯葉のように散って
瑞々しく美しく儚く
2、眼
暗闇の底
蝋燭揺らす幽玄に
汝の白貌 艶笑に
強かな匂い誘われて
伸ばした指先痺れ
危うき睫毛
炎のごとき強き眼は
どの宝玉も敵わぬ 激しさを秘める
3、初恋
あなたに会いたくて
走って走って 白い吐息がはずむ
街角で待つあなたの
その向こうの星空を 心に焼きつけて
私の幸せの写真として刻む
結局 私とあなたは別れたけど
初恋の思い出は 星のように輝いて残る
4、きっかけ
光に透かして
描き出される影絵
ただただ美しいと見惚れ
それが切り絵と知り
技巧の繊細さに驚く
それが私を甚く刺激し
後に切り絵師となる道へ進む
きっかけであった
5、紙一重
ちょっとだけ現実から
今見えている世界から
ずらして世界を視てごらんよ
ありえないって言われているモノ
ウソだって言われているモノ
全部映し出されて存在してるって
否応にも判るから
視えない感じないだけで紙一重
すべてはすぐそばにある