✅ 企業との連携強化!働き方改革の拡大へ ✅ 市民のストーリーを全国に発信!感動のエピソードが続々登場 ✅ 果たして半年後の評価は?政府が下す決断とは?
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44 市民の声を集める
翌日、悠人は葵とともに、市内の育児支援センターを訪れていた。
「市民の声を集めるって言っても、どこから手をつければいいのか……」
葵は少し困ったような表情を浮かべる。
「できるだけ多くの人の意見を聞きたいが、手あたり次第ではまとまりがなくなってしまうな」
悠人はセンターの壁に貼られた掲示物を眺めながら言った。そこには、親子向けのイベント情報や、育児相談会の案内がずらりと並んでいる。
「まずは、この支援制度が実際に役立っている家庭を見つけて、彼らの話をじっくり聞くことから始めよう」
「それなら、私の知り合いに話を聞いてみるのはどうでしょう? このセンターをよく利用しているお母さんたちなら、きっと何か感じていることがあるはずです」
葵が提案し、二人はさっそく保護者たちに声をかけることにした。
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「私たちの話を聞きたいって? もちろん、いいですよ!」
そう言って応じてくれたのは、二児の母親である**佐藤奈緒**さんだった。
「この制度ができてから、本当に助かってるんです。うちは夫もフルタイム勤務で、以前は私がほぼワンオペ育児でした。でも、陽乃市の支援が始まってから、地域の育児ボランティアの方が手伝ってくれるようになって、私も少しずつ仕事を再開できるようになりました」
奈緒さんは、5歳の息子を抱きながら話を続ける。
「特に助かるのが、**育児支援AI『ママリー』**ですね。夜中に子どもが熱を出したとき、どう対応すればいいかすぐに教えてくれるし、病院に行くべきかどうかの判断にも役立っています」
「なるほど……」
悠人はメモを取りながら頷く。
「AI支援は、実際に使っている人の声をデータとして示せれば、政府への説得材料になるかもしれませんね」
「ええ、あと、無料の保育制度のおかげで、仕事に復帰しやすくなったのも大きいです。以前は保育園の待機児童問題が深刻で、働きたくても働けない人がたくさんいました。でも、陽乃市ではその心配がなくなったので、多くの家庭が助かっていますよ」
葵は嬉しそうに奈緒さんの話を聞きながら、ふと別のことを思い出した。
「でも、一方で、この制度がうまく活用されていない人もいるかもしれませんよね?」
「そうですね……」
悠人は少し考え込む。
「支援が必要なのに、制度のことをよく知らない、あるいはうまく活用できていない家庭があるとすれば、それも問題だな」
「例えば……シングルマザーや、外国人家庭の方々とか?」
葵の言葉に、悠人は大きく頷いた。
「そうか。陽乃市には、制度を知る機会が少ない人たちもいるんだ。支援を必要とするすべての家庭に、制度の恩恵が届いているかどうか、それを調べる必要がある」
二人は、さらなる調査を進めることを決めた。
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45 支援が届いていない家庭
次に話を聞いたのは、陽乃市に移住してきたばかりの王さん一家だった。
「正直なところ、まだこの街の制度をよく理解していません……」
王さんは、片言の日本語で申し訳なさそうに言った。彼女は中国からの移住者で、夫と幼い娘と共に暮らしている。
「私、少し日本語分かる。でも、書類難しい……手続き、分からない……」
悠人と葵は顔を見合わせた。
(やはり、情報が行き届いていない家庭がある……)
「王さん、日本語でのサポートは足りていますか?」
「いいえ……友達、少ない。だから、相談、できない」
葵はすぐにメモを取りながら言った。
「外国人家庭向けの支援体制をもっと整える必要がありそうですね。例えば、多言語での案内を増やしたり、相談窓口を設けたり……」
「それと、地域の人々とのつながりを作る場も大切だな」
悠人は考えながら言った。
「陽乃市の育児コミュニティを、もっと多様な人が参加しやすい形にできれば、こういう家庭も支援を受けやすくなるはずだ」
「そうですね……まずは、どのくらいの家庭が同じような状況にあるのか、さらに調査してみましょう」
二人は、新たな課題を胸に刻みながら、次の行動を決めた。
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46 半年間の勝負が始まる
こうして、悠人と葵は、市民の声を集めながら、陽乃市の育児支援制度をより良くするための取り組みを本格的に進めていくことになった。
✅ すでに制度を活用している家庭の成功事例を集める
✅ 制度が十分に届いていない家庭を特定し、支援を強化する
✅ 育児支援AI「ママリー」や、無料保育の効果を数値化する
✅ 企業との連携を深め、働き方改革の成果を示す
政府に提出するデータを集めると同時に、市民一人ひとりの声を大切にしながら、彼らの取り組みは進んでいく。
果たして、半年後に政府を納得させるだけの成果を出すことができるのか——。
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