✅ 田村議員の真の狙いが明らかに? ✅ 試験プログラムの存続をかけた決断 ✅ 悠人と葵の信念が問われる瞬間
第6章 試験プログラムの始動(続き)
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37 田村議員の狙い
陽乃市の試験プログラムに対する圧力は、目に見えない形で強まっていた。
悠人と葵は、それが田村議員の意向である可能性を疑い始めていたが、確証はなかった。
そんな中、真鍋市長から悠人に一本の電話が入る。
「深澤君、至急会いたい。今から市長室に来てくれないか?」
市長室に到着すると、真鍋は神妙な表情で悠人を迎えた。
机の上には、一枚の資料が広げられている。
「財務省からの通達だ」
悠人は資料に目を通し、驚愕した。
「補助金の保留だけでなく、一部の企業がスポンサー契約を見直す動きをしている……?」
「そうだ。おそらく、田村議員が裏で手を回している」
真鍋は険しい表情で腕を組む。
「彼は陽乃市の試験プログラムを潰そうとしているわけではない。プログラムを自分たちの意のままに操れるものに変えようとしているんだ」
悠人は、田村議員が以前言っていた言葉を思い出す。
「市の財政にも傷がつくし、企業との関係にも影響が出るかもしれませんよ」
(つまり、試験プログラム自体を潰すのではなく、財政や企業との関係を通じて、政府や一部の勢力にとって都合のいい形に作り変えようとしている……)
悠人の拳が、無意識に固く握られる。
「……市長、どうしますか?」
真鍋は深く息を吐いた。
「田村議員と直接話すしかない。だが、交渉次第ではこちらの妥協を求められる可能性もある」
「妥協……?」
「試験プログラムの一部を、政府の意向に沿う形で変更するということだ」
悠人は、奥歯を噛みしめた。
これは単なる行政の問題ではない。未来の社会のあり方に関わる話だ。
(ここで譲れば、陽乃市の理念は形骸化してしまうかもしれない……)
悠人の心に、ある決意が芽生え始めていた。
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38 葵の決断
その夜、悠人は葵にすべてを話した。
「つまり、田村議員は試験プログラムを完全に潰したいわけじゃない。ただ、自分たちの都合のいいように変えようとしてる」
「……そんなの、許せない」
葵は唇を噛み締めた。
「もし妥協すれば、結局、今までと何も変わらない社会になる。私たちが目指しているのは、そんな中途半端な未来じゃないのに……」
「俺も、そう思う」
悠人は、コーヒーを一口飲み、静かに言った。
「……だから、俺たちも動くべきだ」
「動く?」
「市民の声を、もっと可視化するんだ。このプログラムがどれだけの人に希望を与えているのか、伝えなきゃいけない」
悠人は、パソコンを開きながら続ける。
「SNSやメディアを活用して、市民の意見を発信する。それに、試験プログラムに賛同する企業とも改めて話し合うべきだ」
葵は、悠人の言葉をじっと聞いていた。
そして、ゆっくりと頷いた。
「……私もやる。この街の未来を、私たちの手で守るために」
彼女の瞳には、強い決意が宿っていた。
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次回予告
✅ 田村議員との直接対決が始まる?
✅ 市民を巻き込んだ新たな戦略
✅ 悠人と葵、試される信念
じっくりと物語を進めていきます!




