表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千紫万紅〜終末世界に咲く華乙女〜  作者: 東雲大雅
第一章 曼珠沙華
9/35

第8話 「昆虫騎士団のヒト達って毎日こんなことしてるの?」

「嬢ちゃん達はどうしてここへ来たんだ?まぁ、十中八九オレに用があって来たんだろうけどな!」


 その人物は4人に対し、話しかけながらも、腕を曲げ上腕二頭筋を見せつけたり、そのまま両手を頭の後ろに組み、腹筋をアピールしたりと様々なポーズをとっていた。

 

 4人全員がそのポーズを見せつけられ、苦笑いしかできない中、だれが最初に話しかけるかを決める雰囲気となり、桜、ひまわり、ビオラが一斉にヒガンバナの顔を見る。

 少し顔をしかめながらも、仕方ないかという様に小さくため息をつき、話しかける。


「私達クロカタゾウムシってヒト探してるんですけど、もしかして貴方がそうですか?」


「おっ!いかにも‼︎オレが昆虫騎士団12幹部の1人、クロカタゾウムシだ!ちなみにオレは幹部の中でも下から数えた方が早いぐらいの実力だがな!ファッッハッハッ!」

 

 豪快に笑いながらも腕や足を動かして新たなポーズをとるクロカタゾウムシ。

 一応、まともな会話は出来そうだと感じたひまわりが質問を投げかける。


「えぇ〜と、さっきからしてるそのポーズは何なんですか?」

 

「いい所に気がついたな嬢ちゃん!これはサイドトライセップスって名前だ!」


 そう言いながら手を後ろに組み上腕三頭筋に力を入れてアピールをしている。


「人類が滅びる前、男達はボディビルという、己の筋肉を見せつけ、その大きさや美しさで序列を決めていたらしい。オレもそれを見習って、こうして日夜様々なポーズを研究してるってわけよ!」



「昆虫騎士団のヒト達って毎日こんなことしてるの?」


「絶対そんなことないよ!あのヒトがちょっとおかしいだけだから!」


 ひまわりが小声で呟いた疑問にビオラが激しく否定する。

 これ以上この話は続けさせまいと、今度はビオラがクロカタゾウムシに質問をする。


「昆虫騎士団の幹部が何しにここへ来たの?まさか、今更仲良くしましょって話をしに来た訳でもないでしょうし」


「見た目の割に強気な嬢ちゃんだな!まっ、隠すほどのことじゃねえし教えてやるよ。ベゴニアが持ってる八尺瓊勾玉を奪ってくること、それがオレがここに来た理由だよ」


 その言葉を聞いた瞬間、4人全員の目つきが変わり、戦闘態勢に入った。

 ひまわりは拳を前に出し構え、ヒガンバナは両手を開き腰を少し低く落とす。桜は左腰の刀に手をかけいつでも抜ける体制をとり、ビオラはアサルトライフルの銃口をクロカタゾウムシに向けた。


「おいおい、いきなりどうした?別に嬢ちゃん達に何かしようって訳じゃねえんだぜ。オレは勾玉さえ手に入ればそれでいいし、無駄な殺生は嫌いだからな」


 4人の剥き出しの敵意に一切怯むことなく、むしろ余裕の表情で答える。その際もボディビルのポーズを止めることなく続けていた。

 その姿を見て警戒心を強めた桜が問いかける。


「ずいぶんな物言いですね。アナタに(わたくし)達が殺せるとでも?」

 

「ああ、殺せるさ」


 あっさり答えると、これまで取っていたポーズをやめ、両腕を組み話し始める。


「ちょっと試したら分かるだろうが、・・・大人しくベゴニアの所まで案内してくれるなら、さっきも言った通り何もしねえさ。ただ、それが嫌って言うんなら、オレも手を出すしかなくなるな」


 これまでの明るい表情とは一転、無表情で機械的に淡々と話すクロカタゾウムシ。

 


 少しの沈黙の後、最初に動いたのはビオラだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ