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千紫万紅〜終末世界に咲く華乙女〜  作者: 東雲大雅
第三章 春蘭秋菊

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第4話 「どっちについていっても怖いんだけど……」

 ヒガンバナ達4人はその場にしゃがみ込み、蘭と菊に聞こえない声で話していた。


「どうするの?二手に分かれるっていっても、どっちかについていかないといけないんでしょ?」


 ひまわりの問いに、桜は小さく頷いた。


「問題は、どちらについていくかですね。……どちらにせよ、地獄といいますか……」


「でも、あの2人も分かれるなら、言い争いは起きないんじゃ……」


「誰か、あの2人が分かれたところ、みたことある?」

  

 ビオラの淡い期待に対して、ヒガンバナが少し困った顔を見せる。


「そういえばないかも知れません。……どうなることやら」


「どっちについていっても怖いんだけど……」

   

 ビオラが小さく呟き、全員が黙り込んだ。  


 蘭は暴走する。 


 菊は容赦がない。


 どちらについていっても、確実に苦労することだけは確かだった。


「とっ、とりあえず、どちらについていくかは置いておいて、わたくし達がどう分かれるか決めましょう」


「私は桜お姉ちゃんと一緒がいい!」


 ビオラがそういって、桜の袖をぎゅっと掴む。


「なら、アタシはヒーちゃんと行こうかな!」


 ひまわりは迷いなくヒガンバナの腕に絡みついた。


「じゃあ、私とひまわりちゃん。桜ちゃんとビオラちゃんとで、分かれるとして……」


「結局、どっちについていけばいいのやら……」


「いつまで話してんのー?さっさと決めなさいよ!」


 苛立ちを隠さない蘭の声が飛んできた。


「心にゆとりがないと、待つこともできないんですね」


 今度は菊が、呆れたように呟く。


「誰のせいで、ゆとりがなくなってると思ってんのよ!」


「ご自身のせいでは?」


「アンタのせいよ!大体いつもいつもーー」


「あら?貴方こそーー」


 再び始まる口論に、ひまわりが慌てて声を上げた。


「マズイよ!早くしないと、どんどんヒートアップしてきちゃう!」


「ええっと、確か蘭さん側が昆虫騎士団。菊さんの方が、機獣相手になるんだっけ?」 


 ヒガンバナの確認に、ビオラが頷きながら言う。


「だったら、ヒガンバナちゃん達は蘭さんの方がよくない? 機獣相手だと、ほら……」


 ビオラがヒガンバナに視線を向ける。野狐、仙狐との戦闘で、ヒガンバナは機獣相手だと、技が上手く使えないことが分かったからだ。


「でも機獣を探すなら、アタシの時計が必要になってこない?」


 ひまわりが左手を軽く上げる。


「ヒガンバナさんの目も、探索では重要ですし……」


 瞬間。


「遅い!今どこまで決まってんの?」

  

 蘭が勢いよく振り向いた。


「わたくしとビオラさん、ヒガンバナさんとひまわりさんとで分かれるまでは決まったのですが……」


「機獣に反応する時計は誰が持っています?」


 菊の静かな問いに、ひまわりが手を上げる。


「あっ、アタシが持ってます!」

 

「なら決まりですね」


 菊の即断に蘭も同調する。


「ひまわりとヒガンバナは、菊について行きなさい。桜とビオラは、あたしと一緒にウツノミヤタワーへ行くわよ」


「でも私、その……機獣相手だと、上手く技が使えなくて……」


 ヒガンバナの声は、わずかに震えていた。


「はぁ?そんなことある?…………まぁ、むしろいいんじゃない?」


 蘭は一瞬驚いた顔を見せ、菊に視線を投げる。

 菊も目線だけで軽く頷いた。


「えぇ、構いませんよ。わたしが、少し戦い方を教えて差し上げましょう」


「いいんですか?……ありがとうございます」


 ヒガンバナは戸惑いながらも、頭を下げた。


「はいはい。じゃあアンタ達は、とっとと紅鶴(こうかく)探しに行ってきなさい」


 蘭が菊にしっしっと追い払うように手を振る。


「そうですね。早くしないと、貴方が醜態をさらすところを見逃してしまいますから」


 菊は蘭を指差し、続ける。


「桜、ビオラ。万が一、これがやられそうになっても、手を貸す必要はありませんよ」


「あたしが負けるとでも思ってんの?なめんじゃないわよ!」


「そ、それではチーム分けも決まったことですし!蘭さん、行きましょう」


 桜が慌てて場を収める。


「桜ちゃん、ビオラちゃん、その……頑張ってね……」


「お互い無事に再会しよう……」


「はい、ヒガンバナさんとひまわりさんも、お気をつけて……」


「ヒガンバナちゃん、ひまわりをよろしくね……」


 こうして蘭、桜、ビオラはウツノミヤタワーへ。

 菊、ヒガンバナ、ひまわりは紅鶴(こうかく)を探すため、別の道を進み始めた。

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