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千紫万紅〜終末世界に咲く華乙女〜  作者: 東雲大雅
第二章 咲耶姫

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第13話 「生存者ヲ発見シマシタ。」

 ヒガンバナ達4人から5メートルほどの場所まできた野狐(やこ)の群れが不意に足を止めた。そして無機質な目で、まるで品定めするかのように4人をじっと見つめている。


「なんかすごい見られてない・・・? 」


「ひまわり、ちょっと話しかけてみなさいよ。どっか行ってくれるかもしれないし」


「でもベゴニア様の話だと、人の姿をした私達を襲ってくるって言ってたよね?」


「もしかしたら温厚な種類がいるのかもしれません。会話できるか試してみましょう」


 各々が意見を出し合った後、桜が一歩前に出て野狐に言葉を投げかけた。


私達(わたくしたち)の言葉が分かりますか? 現状、貴方方と争うつもりはありません。まずはお互い話し合ってみませんか?」


 数秒の沈黙の後、一体の野狐の口から抑揚のない機械的な声で喋り始めた。


「生存者ヲ発見シマシタ。直チニ投降シテクダサイ。投降ノ意思ガ見ラレナイ場合、強制的二連行シマス」

 

 


「・・・一応、会話できてる?」


「いや、相手全然話聞いてないでしょ⁉︎」


「でも向こうから襲ってきそうな感じないし・・・」


「強制的に連行する、とかいってるじゃない! そのうち攻撃してくるわよ!」


 ひまわりとビオラが口論を続ける中、桜はもう一度会話を試みる。


「投降する・・・具体的に何をすればよろしいのでしょうか? 先ほども申した通り、私達(わたくしたち)から危害を加える意思はありません」


「生存者ヲ発見シマシタ。直チニ投降シテクダサイ。投降ノ意思ガ見ラレナイ場合、強制的二連行シマス」


 先ほど喋ったものとは別の個体が、全く同じ言葉を繰り返す。声質、抑揚のなさも同じで個性を感じさせない。


「コレヨリ一分間ノ猶予ヲ与エマス。ソレマデニ投降ノ意思ガ見ラレナイ場合、強制的二連行シマス。」


 また別の個体が喋り終わると同時に、8体の野狐が桜達4人を取り囲むように移動する。それに合わせて4人もそれぞれ背中合わせに構え直した。


「致し方ありません。どうやら戦闘は避けられないようですね」


 桜が刀を抜き正面に構える。


「今のところ敵意は感じられないけど、言葉の通りならもうすぐ襲ってくるね・・・」


 ヒガンバナは先ほどと同じように両手を前に出し警戒する。


「確か尻尾の部分が弱点なんだよね? もう撃っちゃおうかな」


 ビオラが自身の正面に回ってきた一体の野狐に拳銃の照準を合わせる。


「ビオラちゃん早いって! こっちから刺激しないほうがいいよ!」


 ひまわりも先ほどより少し腰を下げ、いつでも拳を振るえるよう、短く息を吐き呼吸を整えた。


「皆さん、相手がどれほどの強さか分かりませんが、無茶だけはしないように」


 桜の声かけに残りの3人が小さく首を縦に振る。全員が緊張した面持ちで時間が過ぎるのを待つ。


「一分ガ経過シマシタ。投降ノ意思ガ見ラレナカッタ為、強制的ニ連行シマス」


「「「「「「「承知シマシタ」」」」」」」


 一体の野狐の呼びかけに残りの7体が同時に返答する。

 そして8体の野狐が一斉に襲いかかる。


 ヒガンバナ達4人の初となる、機獣との闘いが始まった。

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