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千紫万紅〜終末世界に咲く華乙女〜  作者: 東雲大雅
第二章 咲耶姫

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第1話 「干支の名を冠する12匹の機獣」

 夜が明け、目覚めた4人は身支度を整え松の間に向かおうと部屋の扉を開けると、目の前にアゲハが立っていた。


「おはようございます皆様。昨夜はぐっすり眠れましたか?」


「ひぃっ!・・・ってアゲハさんか〜。びっくりしちゃったよ!」


 ドアノブに手をかけていたひまわりは、一瞬誰か分からなかったため、すぐに身体を半身にし、拳を繰り出せるよう腰を落とし腕を引いて構えたが、扉の前に立っていたのがアゲハだと分かると、構えを解き両手を頭の後ろに持っていった。


「驚かせてしまい申し訳ありません。乙女の部屋の前に立つのに少々配慮が足りませんでしたね。・・・ですのでビオラ殿、そろそろ銃口を下げていただいてもよろしいでしょうか?」


 ひまわりが叫んだのと同時に銃を構えたビオラは、相手がアゲハだと分かった後も変わらず銃口を向けていたが、アゲハの言葉を聞き、渋々銃を右腰にしまった。


「アゲハさん絶対私達が驚くの分かってて、ノックもせずに立ってたでしょ!ほんっと悪趣味なんだから・・・!」


「そんなことしかありませんが、乙女達の驚く顔を見るのは、私目のささやかな趣味の一つです。どうぞお許しください。」


「全っ然謝罪になってないんだけど・・・。もういいわよ!早くベゴニア様のところに行きましょ!」


「では皆様こちらへ、ご案内致します」


 アゲハの一切悪びれた様子のない振る舞いに、呆れた声でビオラが返す。その後すぐにアゲハは身体の向きを変え、4人をベゴニアのいる松の間まで案内した。



 4人が松の間に入ると、相変わらずベゴニアは椅子に座って待っていたが、昨夜とは違い四つの椅子の代わりに机があり、その上には、腕時計とタブレットがそれぞれ一台ずつ置かれていた。

 4人はアゲハに案内されるまま机の前に並び、ベゴニアに一礼をする。アゲハはその後、ベゴニアの横まで行き、軽く一礼すると向きを変え、4人と正対するように佇む。

 

「おはよう。昨日はゆっくり休めたみたいね。これなら安心して貴方達を送り出せる・・・と、言いたいところだけど、色々と説明しなきゃいけない事があるのよね」

 

「それは昨日仰っていた、機獣(きじゅう)のことでしょうか?」


 ベゴニアの言葉に反応したヒガンバナが、控えめに手をあげ質問する。それを聞いたベゴニアは軽く頷き、続けて説明を始めた。


「そうよ。まぁ他にも話すことはあるけど、まずはそっちから説明しようかしら。機獣はかつての人類が残した負の遺産、様々な動物を模して機械で作られた生き物のことよ。それらに対抗できるよう、ワタシ達には力が与えられているの」


「対抗できるようにって、その機獣ってのはアタシ達を襲ってくるんですか?」


 ヒガンバナに続き今度はひまわりがベゴニアに質問をする。ベゴニアはひまわりに視線を向け、答える。


「ええ。機獣は元々人類が戦争の道具として作ったものだから、人の姿をしている者を襲うように出来てるの。中でも厄介なのが、干支の名を冠する12匹の機獣。こいつらは他とは別格の強さを持っているわ。まぁすでに5匹は倒しているから、残りは7匹なんだけど・・・」


 ベゴニアが少し昔を思い出しながら語る。するとアゲハが一歩前に出てきて口を開いた。


「僭越ながらそれについては私目がご説明を。それぞれ、糾鼠(きゅうそ)覇牛(はぎゅう)白虎(びゃっこ)脱兎(だっと)孤龍(こりゅう)大蛇(おろち)天馬(てんま)飢羊(きよう)夜猿(やえん)羅鳥(らちょう)蒼狗(そうく)幽猪(ゆうい)と呼ばれており、現在は覇牛(はぎゅう)大蛇(おろち)飢羊(きよう)羅鳥(らちょう)幽猪(ゆうい)が討伐済みとなっております。そして! その中で羅鳥(らちょう)を倒したのはベゴニア様なのですよ!」


 なぜか熱く語るアゲハに対し、ベゴニアを含めた5人は若干引いていた。

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