第23話 「ヒーちゃんおかえりっ!」
「こちらの部屋で皆様はおやすみになられていますよ」
アゲハに案内され扉の前に立つヒガンバナは、部屋に入る前、アゲハに最後のお礼を言った。
「みんなの回復やここまでの案内と何から何までありがとうございました!アゲハさんがいてくれてホントよかったです!」
「滅相もないです。私目はただベゴニア様の命に従っただけですから・・・。それにお礼を申し上げるのは私目もです。クロカタゾウムシ・・・彼奴の蛮行を防いでくださり誠にありがとうございました」
アゲハが深々と頭を下げる。その言葉に裏はなく、本心で言っていることをヒガンバナは感じ取れた。だからこそ、かつての同僚ともいえるクロカタゾウムシを倒した自分に対する想いを聞いてみることにした。
「アゲハさんは怒ったりしてないんですか? その・・・元々仲間だったヒトを私が倒したことについて・・・」
「怒るだなんてとんでもない! 先ほどの言葉通り、ヒガンバナ殿達には感謝の念しかありませんよ。ベゴニア様に仕えている他の元昆虫騎士団の者も同じ気持ちです」
頭を上げ元の姿勢に戻ったアゲハは、少し伏せ目がちに話すヒガンバナに対し軽く微笑み、最後に、ですからどうぞお気になさらず、と付け加えた。
「さあ、ここでの立ち話も何ですし、どうぞお入りください。私目はこちらで失礼いたしますので」
最後にもう一度、ありがとうございます!とお礼を言い、部屋に入っていくヒガンバナを見届け、アゲハは部屋を後にした。
「ただいまー! みんな遅くなってごめっ・・・ん!!」
「ヒーちゃんおかえりっ!」
ヒガンバナが部屋に入り、声をかけると同時にひまわりが抱きついてきた。ヒガンバナは多少動揺したものの、ひまわりが元気になったことの証明だと思い、自身も両手をひまわりの背中に回して抱擁を返した。
桜とビオラはそれぞれベットに腰掛け、その様子を嬉しそうに眺めている。
「急にびっくりしちゃったけど、ひまわりちゃんもうこんなに動けるようになったんだね! 元気になってよかった〜!」
「そうそう! お風呂から上がって部屋に戻ってきたらアゲハさんが来て癒してくれたんだ! ベゴニア様が言ってた鱗粉・・・?よく分かんないけど、持ってきた粉をかけてもらったらすぐに良くなったの!」
「そうだったんだ!桜ちゃんとビオラちゃんも元気になった?」
ヒガンバナは首を少し傾けて、後ろのベットに座る2人に視線を向ける。
「おかえりなさいヒガンバナさん。えぇ、私達も同じように治療していただきましたよ。おかげさまですっかり元気になりました」
「ヒガンバナちゃんおかえりー! 見ての通り完全に治ってるよ!これでいつでも動ける・・・ってちょっとひまわり!いつまでヒガンバナちゃんにくっついてるの⁉︎ 早く座らせてあげなさいよ!」
「あぁ〜そうだった!ごめんねヒーちゃん。ほらっ、こっちこっち!」
ビオラに叱られたひまわりはすぐにヒガンバナから身体を離すと、そのままヒガンバナの手をとり、桜とビオラの反対側にあるベットまで案内した。




