第22話 「お帰りなさいませ、ベゴニア様、ヒガンバナ殿」
ベゴニアとヒガンバナが宮殿まで戻ると、入り口のドアの前にはアゲハが立っていた。
2人を確認したアゲハは一礼をした後に顔を上げる。
「お帰りなさいませ、ベゴニア様、ヒガンバナ殿。お戻りが遅いので少し心配していましたよ」
「あら、いたのね。別に待ってなくてもよかったのに」
アゲハが待っているとは思ってなかったベゴニアは、少し驚いた様子で言葉を返す。
ベゴニアに視線を向けたアゲハは、表情一つ変えずに淡々と口を開いた。
「そういう訳には参りません。主人の帰りを待つのは従者として当然の行いですから」
「まぁアンタならそう言うわね。それで、あの子達をちゃんと回復してあげたんでしょうね?」
「もちろんでございます。皆さまは今、寝室でヒガンバナ殿の帰りを待っておられますよ」
「アゲハさんありがとうございます! 私も早く戻らなきゃ・・・!」
アゲハの言葉を聞いたヒガンバナは、すぐに頭を下げてアゲハにお礼をする。
それに対しアゲハは首を横に振り、お気になさらないでください、と軽く返した。
「それじゃあアゲハ、ヒガンバナを寝室まで案内してあげなさい」
「承知致しました」
アゲハは入り口のドアを開け、2人を中へ促す。そしてアゲハを先頭に廊下を少し歩くと、左右に別れるところまで来ると足を止めた。
「ではヒガンバナ殿、皆さまはこちらの先を行った部屋におられますので、ついてきてください。」
アゲハが振り返り、右手で左側の廊下を指し示す。そしてベゴニアに顔を向けると、
「ベゴニア様はどうされますか?」
「ワタシの部屋はこっちだから、1人で戻ってるわ」
ベゴニアは右側の廊下に顔を向け、ヒガンバナとここで別れることを告げた。
ヒガンバナは全身をベゴニアに向けると、最後に深々とお辞儀をする。
「ベゴニア様、先ほどまで本当にありがとうございました! みんなに元気な顔を見せてきます!」
「フフッ、そうしてあげなさい。明日は諸々の説明があるから、準備が出来たら松の間まできてちょうだい」
「はい!」
ベゴニアはニコリと笑うと、それじゃおやすみ、と言ってヒガンバナ達とは反対の方向へ歩いていった。
アゲハは、こちらへどうぞ、と向きを変え、ヒガンバナを3人が待つ寝室まで案内した。




