005
今日は、ダンジョンへ行こうと思う。
若林さんたちが、とうとうボス部屋を発見したからだ。
今度ボスを見つけたら誘ってくれと言ってあったのだが、それを覚えていてくれたみたいだ。
当初は、ダンジョンへ挑むのは反対だった。
すっかりゲーム感覚だが、しかし生身を晒しての命懸けなのであり、死なないとも限らないためだ。
いくらスキルや魔法の装備品があるといっても、特にダンジョンの中では何があるかわからない。
遠藤さんは「気配察知した感じ、いけそうだったぞ」と言って、結局、ボスを倒したのだが。
今度も必ず勝てるとは限らない。
まずないと思うが、死なれても目覚めが悪いため、次からは俺もボス戦に加わることにしたのだった。
アプリにはフレンドリストからパーティを組む機能があり、パーティを組むと、リーダーのいる地点にログインすることができる。
この転移機能を使って、俺はダンジョン9Fまでをすっ飛ばして、いきなり10Fボス部屋前にログインした。
丁度、待ち合わせの時間だ。
「おまたせ、って俺が最後か」
「待ってたよ。それじゃ、作戦会議しよっか」
若林さんたちの説明によれば、ボスは全長3メートルほどの巨人が2体で、それぞれの気配は遠藤さんよりもいくらか強そうとのこと。
配置としては、タンク型にビルドした若林さんと遠藤さんが巨人それぞれの正面を受け持つので、後のみんなは遠藤さんが受け持つ巨人を総攻撃という感じだ。
あと、田村さんはとくに前衛二人への回復を担当する。
扉を開け、ボス戦へ。
戦闘は当初、作戦通りに推移した。
尋常ならざる再生力を持った巨人たちを前に、その生命力を削り切るよう、ひたすら手傷を負わせていった。
しかし、途中で、若林さんが手傷を負わされて下がった場面があり、戦線は一時混乱、俺のゴーレム召喚で乗り切った、ということがあった。
その後、巨人Bを撃破し、しかし、これが何度も復活。
一時撤退して、再びの作戦会議のなか、もしかして2体をほぼ同時に倒せばいいのではないかとの意見があがり、案の定、その通りにしたらボスを倒せた。
田村さんの生命力視に頼って、号令に合わせて巨人ABの残り生命力を調整して削り、撃破した。
ボスからは、大ぶりの魔石2個と、いくつかの魔法の装備、それにスキルオーブがドロップした。
俺はこのうち、じゃんけんに勝って、大ぶりの魔石を入手。
村に帰って(ダンジョンは1Fとボス部屋にテレポートポイントが設置されている)、祝勝会だ。
今回もなんとかなったようだが、ヒヤリとする場面はあった。
これからは、特にボスに挑む際は、1PTだけで挑むのではなく、何パーティか束ねて、レイドを組んで挑んだほうがいいのかもしれない。
回復のローテーションが組めるとよさそうだ。
そんな話もしつつ、楽しい酒の席はお開きとなり、ログアウトしたのだった。