女王と国
自分が作ったオリキャラを世に出したくて本気で書いた小説です。
異世界でありながら、現代の日本風の街並みがある王国に住まう少女の物語です。
シリアスな展開が多く、時々のギャグ、様々な伏線を描けるよう書きますので読んでくれると幸いです。
よろしくお願い致します。
「そうか。ならお前を止めねばならぬな」
リリカは真田に向かって飛び出して、両手で掴む。そのまま、窓から外へ飛び出た。
「リリカ!?」
「こいつは私がぶっ飛ばす!! リカはママを頼む!」
リカは頷き、直ぐ様リリーの元へ走り去る。
リリカと真田は落ちていく。落ちる際に、真田はリリカを蹴って突き放す。地面に叩きつけられる。
「いててて。たくよぉ」
リリカと真田は立ち上がる。お互いに睨み合い、しばらく硬直する。
「俺をぶっ飛ばすって?」
「あぁ」
「やれるならやってみろよ」
「やってやるよ!!!」
リリカは左拳に炎を纏って飛び出す。
「お前をやらねば、カオスルビーは手に入んないし、仕方ねぇな」
左拳を振るうリリカから距離を取る真田は拳銃を向ける。
リリカは真田に向かって再度飛び出し、真田の右手を蹴りあげる。
拳銃を落としてしまう。それを見たリリカは左拳に炎を纏い真田の腹を殴る。
真田は少し後ろへ飛ばされ、体制を立て直す。
「いてぇ~な。爆破!」
左手を軽く握りしめる。リリカの付近が爆発する。
しかし、リリカには効いていない。しかも、爆炎を食べるのであった。
「いや、あり得ねぇだろ。龍殺しの魔法を扱う者だとはな」
龍殺しの魔法。太古の時代に生きたとされるドラゴンを殺すための魔法。
ドラゴンと同等される力を持っており、普通の人間に扱える者は数が少ない。
「お前、人の匂いがしねぇ。なにもんだ?」
「気付いたみたいだな。だが、おせぇーよ!」
真田はリリカに向かって飛び出す。ものすごい速さでリリカに近づき、胸に手を当てる。
「体内爆破」
「なっ......!?」
リリカは爆発する。そのまま倒れて気絶する。
一方、リナは王都の入り口に着いていた。嫌な予感がする。
「なんちゅう顔をしてんだ?」
「別に。お前に関係ない」
心配するレオハルドであったが、リナにそっぽ向かれる。
「それにしても、変な匂いがするな。魔物の匂いだ」
「魔物の匂い?」
「あぁ。王都の中から魔物の匂いがする」
リナは急いで王都の中心地へ向かう。
「リナ王女様!?」
スノーホワイトもレオハルドも、リナの後を追う。
中心地。魔物たちが暴れまわり、逃げ回る人々。
3人はその光景に驚く。
魔物たちは相当な数で、ざっと3万ぐらいはいるだろうか。
「これは一体......?」
「とにかく、助けないと!」
リナとスノーホワイトは人々を助けようと動き出そうとした。
「待て! 俺様も戦わせろ」
「何を言う?」
「確かに俺様は盗賊だが、人の命を奪う事はしねぇ! 俺様たちはピースサファイアを盗みにきただけだ。スノーヴァ町へ俺様たちが到着した時には半壊していた。ある1人の男が全てしたと後に聞いた。奴隷とか殺しとかするか! そこはちゃんとしてる!」
リナは黙ってレオハルドの手錠を外す。
「リナ王女様!? 良いのですか!?」
「スノー。信じよう。こいつの目に嘘はない。ただし、窃盗の罪で逮捕するから」
「けっ。分かってるよ。さぁーて暴れるか!!」
レオハルドは雷の爪状のオーラを両手に纏う。
「リナ王女様がそう言うなら何も言いませんが、私も戦います!」
「俺様の足を引っ張るなよ! 雪女!」
「貴方こそ、引っ張らないでください!」
3人は人々を助けるため、それぞれへ魔物退治に向かった。
サインサルト城。医務室。
リリーは治療を受けていた。なんとか命に別状はない。
「とりあえず、治療は施しました。弾は心臓に外れていて良かったです」
「ありがとう。侍医長」
そこにリカがやって来た。
「母上! ご無事か!?」
「リカ」
侍医長がリリーの状態を説明する。
「良かった。母上が無事で」
少し泣くリカ。
そこへ、1人の兵士が形相を変えて走ってきた。
「陛下! 殿下! ご報告します。王都が魔物の軍団に襲われています。城内に押し寄せてくるかは時間の問題かと!」
「なんだと!?」
驚くリカに対してリリーは冷静でいる。
「直ちに撃退の準備を! 国民を護るのです!」
「はっ!」
兵士はその場を離れ、撃退の準備をする。
「何故、魔物たちが襲うのだろうか?」
侍医長は疑問に思う。
魔物は、これを読んでいる君たちの世界にいる動物と変わらない生態をしている。
何か理由がない限り、人を襲う事はない。
「おそらく、彼でしょう......。リカ。貴方は隠れていなさい」
「嫌だ! 私も戦う!」
「ですがリカ。貴方は魔法が使えないのですよ?」
そう。リカは魔法が使えない。
王族としては致命的な事である。この国の王族は魔法が使えて当たり前なのだ。
まして、リカはハーフだが天使一族の1人でもある。魔法が使えない天使は誰も聞いた事も見た事もない。
「これでも、私はこの国の王女だ! 国民が助けを求めているのに何もしないのは嫌だ!」
その言葉に嘘も偽りもない。真剣な顔で発言した。
「......リカ......ですが。クラミ」
腰に刀をぶら下げた赤髪のポニーテール少女クラミがいた。
彼女はここの騎士で騎士団の団長をしている。
「はっ! お前たち、姫様を捕らえ連れ出せ!」
兵士たちがリカを捕らえる。
「何をする!? クラミ! どういうことだ!?」
「すみません。姫様。陛下のご命令ですので」
リカを連れていく兵士たちとクラミはこの場を離れる。
リカを護るための仕方ない事。
浮かない表情のリリーは見てみぬふりをする。
「宜しいのですか?」
「えぇ。あの子はいずれこの国の未来を担う者になる。だから、今は死なせるわけにはいかない。それに子を護るのは親として当然でしょ?」
侍医長に向けてにっこり笑う。
兵士たちに連れられたリカは黒いリムジンの後部座席に乗せられる。その後にクラミも乗り、車が走り出す。
「クラミ! 何をするのだ!?」
「陛下自身が決めた事です。私は姫様を逃がす事を果たすのみ」
「何を言うか!? 国民を護るのが王女だ!」
「姫様。国民のためには姫様が生き残らなくてはならない! もし貴方と陛下が亡くなる事があれば国民は誰を頼ればいいのですか!?」
「それはそうだが......」
「陛下にもしもの事があれば、姫様が国民を導かなればならない。だから私は姫様を逃がすのです。貴方はこの国の王女なのだから!」
何も言えなくなる。正論過ぎて言葉に詰まる。
一方、リリカ。
「うっ......うーん......」
目を覚ますリリカは上半身を起こす。
「いててて。あー、びっくりしたぁ」
どうやらダメージはないようだ。
辺りを見回すと真田の姿はない。
「あの野郎。どこにいきやがった?」
すると、1台の黒い車がリリカに向かって走ってきた。
車はリリカの目の前に急停止する。
「なんだ!?」
「リリカ様! 乗ってください」
クラミが手を差し出す。よく分からないがリリカはクラミの手を掴み乗り込む。
「一体、何がどうなっているんだよ!? 何でクラミがいるの!?」
「説明している暇はない。とにかく、今は逃げましょう。運転手、できるだけ王都から離れてください」
「承知致しました」
走り去るリムジンを見つけたリナとスノー。
「リナ王女様。今のは!?」
「あの車を追いかけるよ」
「えっ!? あっ、はい!」
リナとスノーは先程のリムジンを追いかける。リリカとリカが乗っている事に気付いているようだ。スノーは何も分かっていないようだが。
レオハルドもリナがリムジンを追いかけたのを気付き追いかける。
魔物たちはまだまだいる。
城のバルコニーにリリーが右手を空に向けて掲げる。すると、空に巨大な魔方陣が展開され、光輝く。
魔物たちは苦しみだし、そして消える。
「流石だ。陛下」
リリーの後ろに拍手する真田。
真田に気付き、振り返るリリー。
「一体、何が目的なのかしら?」
「邪魔者を排除だぜ。陛下よ。爆破」
リムジンの後部にある窓を覗くリカ。その瞳には城のバルコニーにいるリリーの姿が写っていて、爆発するのであった。
「は......母上ぇぇぇぇぇ!!!」
リリカとリナは何が起こったのかリカの泣き叫びで理解した。
無論、悲しくて仕方ない。けど、堪えて逃げるしかない。
あざ笑う真田。
たくさんの犠牲と共に、終わるのであった。
最後まで読んでくださりありがとうございます
次回もよろしくお願い致します。