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DIVER(仮)  作者: K-02W
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選択と決断

さてarisaこと有紗は今、まるでホテルのエントランスのような明るい感じの少し豪華な部屋にいる。 あの時狐のお面をかぶった奴の移動に巻き込まれ、ここに流れてきてしまった。 それからは一応客人として丁重な扱いを受けている。 部屋はカウンタースペースと円型ソファーと丸型テーブルのセットが3つ設置されている。 カウンタースペースの一画にはアンティークのダイヤル式電話が置かれている。 

 ちなみに件の狐野郎は電話で誰かと話している。 


(全く・・・・・、この私を差し置いて電話中なんて・・・・失礼な奴だわ。 でもここきれいで静かな空間、BGMで流れているのはジャズ?かな。 結構いい趣味してるのよねぇ~)


 そんなことを考えながら辺りを見回している有紗。 それでも時たま彼女の耳元に電話の話し声が聞こえてくる。  会話の内容はよくわからないが時折少し揉めている話し声が聞こえてくる。 

 少したって、狐野郎が納得したのか電話を切ると頭の後ろをかきながら、こちらに近づいてきた。 


『・・・・・あ~、とりあえずさ、お前のことについてなんだけど・・・・・』

「・・・・はい」

『今お前には二つの選択肢がある。 1つは今日のことを忘れて普通のアバターとして元の生活に帰るか・・・・』


 当然ながら有紗からすればそれ一択であろう。 今日のことは忘れてしまいたい、また明日からarisaとして歌姫になりたい。 それが有紗の夢であり、それが好きな事である。 だからか有紗も少し食い気味に最初の方を選ぼうとしたが、それももう一つの選択で打ち消されてしまった。


「はい、それで・・・『もう一つは俺と一緒に今起こっている異変の調査をするか?』・・・え?」


 それはつまり有紗にもう一度あのドロイドプログラムと戦えということだ。 いったいなぜそうなったのか有紗には皆目見当つかない。


「あの、どういうことですか? 私があれと戦う? 意味が全く・・・・」 

『申し訳ないが、お前は<オブザーバー>に見初められちまったようでなぁ~』

「オブ・・・ザーバー?」

『簡単に言えば、ネットワークの監視者で俺の雇い主ってとこかな』


 詳しく聞くと、オブザーバーはここ最近この世界で起きている謎のハッキングとデータ流出を調べるために狐を雇い入れ、異変が起きたらそこに向かわせ排除と追跡を行わせているらしい。 だから先ほども戦闘機型ユニットの内部に侵入して犯人の手がかりを見つけようとしたようだが、すでに痕跡は発見できなかったようだ。 


「痕跡はなかったんですか?」

『残念ながらなし。 もぬけの殻だった』


 どうやらさっきの電話はそれの報告だったようだ。 その会話の中で私について報告したようでその際、私のスカウトになったようだ。


「でもなんで私が?」

「どうやら連中が使った防衛プログラムな。 通常は全く探知されないんだが、俺やお前のように勘が鋭い奴には効果が薄いようなんだ」


 それで有紗は納得できた気がした。 さすがにすべてを納得できはしない、でもそれで周囲が気にしなかったのもつじつまが合う。


『それでどうする?』

「・・・・・すいません一晩だけ考えても?」

『・・・・わかった、なら明日ここで落ち合おう。 場所はここ』


 そう言われ有紗は狐から一枚のメモを渡されその日はログアウトした。 ふと目が覚めると、時間は深夜2時を過ぎていた。 


「どうしようかな・・・・」


 その日、有紗は寝付くことができずに朝になってもどうしたものかと考え続けていた。 すべてを忘れてまた歌姫として活動するのか。 それとも歌姫を辞めてユニットたちと戦うのか。 恐怖はあるかもしれないけどそれ以上に勝る感情があるのは確かだ。 有紗はその感情に従って行動することにした。 

 ところ変わってアリアドネにある廃ビル、そこの屋上に昨日とおんなじ恰好をした狐が立っていた。 ただボーっと空を眺めていると後ろの方から足音が聞こえてきた。


『決断した・・・みたいだな』


 そこには有紗が立っていた。 彼女の眼には一つの答えを決めたような光が宿っている。


「はい・・・・・、これからよろしくお願いします!!」


 かくして好奇心と刺激に満ちた有紗の不思議な冒険が始まったのであった。

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