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愛してました、たぶん  作者: たろ
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シャノンは考える

「頭が良くても人の気持ちがわからないシャノンは親父さんと大して変わらないじゃないか!人の気持ちの奥をもっと見つめてみろ!」


ダンは怒った。


「俺は帰る!」


ダンが怒って帰って行った。


わたしは、怒るダンの後ろ姿を呆然と見送った。


(わたしが、お父様と同じ?人の気持ちがわからない?)


わたしは、ラウルに裏切られアイリスに裏切られ、お父様に見捨てられて人を信じるのが怖くなった。


ロニーやリーサ、ロイズやダン、先生たちに助けられた。みんなの温かさに何度も救われた。


わたしは子どもの頃から病気がちでいつも周りが助けてくれていた。

それが当たり前で、自分では我儘言わずに頑張っていたつもりだったけど、人の気持ちがわからない?


……確かにお父様に対してだけはどうしても今さら信じることができなかった。


いくらお父様が助けてくれたとわかっていても、不器用なりに愛してくれていても許せない気持ちの方が大きかった。


「シャノン様?どうなさいましたか?」


自分の部屋にいたロニーが様子がおかしいと思って顔を出した。


「ロニー、ダンに怒られちゃった」


「どうして怒ったのでしょう?」


『「二度と会えないんだぞ。本当に意地を張っていいのか?」


「お前の親父、お前との関係を取り戻すため必死なんだよ。除籍を受け入れたのもお前のためだろう?親父さん、お前しか家族いないんだろう?もう一度考えろ!」


「頭が良くても人の気持ちがわからないシャノンは親父さんと大して変わらないじゃないか!人の気持ちの奥をもっと見つめてみろ!」』


と、言われたの。


ロニーは怒った顔はしたが、じっと考え込んでいた。


「わたしはシャノン様に旦那様がどんな風に接してこられたか知っております。旦那様を捨てても仕方がないと思っております。でも、他人から見ればそんな風に捉えられても仕方がないのかとも、聞いていて思いました」


「ダンは知らないものね」


「そうですね。でも人の気持ちがわからないのは旦那様と同じなんて失礼ですよね?シャノン様はただの天然なだけですから」


「うん??」


「わたしはシャノン様が平民になろうと侯爵家に戻ろうと一生なんらかの形でもお仕えさせて頂きたいと思っております」


「ありがとうロニー、わたしはロニーの気持ちを受け入れても大丈夫なのかしら?」


「勿論でございます」


「わかったわ、ありがとうロニー」


ロニーはにっこりと笑ってくれたのでわたしはホッとした。


「でもダンの言ったこと、少し考えてみるわ。お父様に対して一方的だったことはわかってるの。今はまだ、とても無理だけど、お父様と笑える時が来るといいなとは思うの。

でも、もうその時は親子ではないのよね」


「旦那様は、ただいま弁護士に頼んで除籍と共に慰謝料の手続きに入っている頃だと思います、いいですか。今頃手続きに入っている頃ですよ!」


ボソッと小さな声でロニーが呟いた。


「今なら止められるんですシャノン様…」


わたしはお父様の最後に見た悲しそうな顔を思い出して胸がズキんとして、ロニーの最後の言葉は聞いていなかった。


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