アイリスの獄中生活
「わたしは公爵夫人になる女なのよ!ここから出しなさい!」
失礼しちゃうわ。
わたしをこんな汚くて寒い部屋に入れるなんて!
ここ檻があるわよ。
わたしを犯罪者と間違えるなんて失礼しちゃうわ。
「ねえ!そこの貴方、お風呂に入りたいの。もう何回言ったらわかるの?お・ふ・ろ・に!入りたいの!」
「ねえ!そこの貴方、わたしの今日のドレスはどこにあるの?もう何日同じ服を着ていると思っているの?
いい加減にしなさい!」
「ねえ!今日のパン、とっても固いわ。それにスープも薄くてぬるいし、サラダはないの?ステーキは?チキンでもいいわ!
人の話聞こえてるの?返事くらいなさい!」
「ねえ!ベッドが固いわ。柔らかいベッドじゃないと眠れないわ。人の話聞いているの?貴方耳が聞こえないの?」
「ねえ!ラウル様に会いたいの。わたしに会えないと彼が寂しがるわ。わたし達愛し合っているの。いつもね、わたしを愛しているって言ってくれるの。シャノンなんか人形なんですって。わたしのことは、朝まで離してくれないのよ!何回も抱いてくれるの。彼はわたしの身体中を愛してくれるわ。わたしも彼の全てを知っているの。わたし達は愛し合っているのよ!誰もわたし達を引き裂くことは出来ないの!」
ふふふ、ははは!
「わたし達は愛し合っているのよ!ラウル様が寂しがっているわ。わたしの身体なしでは生きていけないの! ねえ、早く!早くわたしをラウル様のところへ連れて行ってくださらない?公爵のラウル様に貴方達のこと伝えてクビにしてあげるわ!」
初めてわたしの問いに答えた。
「ラウル・ベルアートはもう公爵を追われた。今はベルアート領に戻って公爵家の使用人として働いているよ」
「はああ?何を言ってるの!!」
ラウル様が公爵を辞めてもう王都にいない?
わたしを置いていくわけがないわ。
わたし達の愛を引き裂こうとしているのね。
わたしは檻の隙間から手を出して、看守を呼んだ。
「ねえ?貴方最近してるの?わたしを抱かせてあげるわ」
看守はわたしをまじまじと見た。
わたしの魅力に参ってしまったのかしら?ふふふ
「ハァァ~………金積まれてもあんたなんか抱きたくもないわ」
「まああ失礼な人ね!このわたしを抱かせてあげるって言ってるのに。わたしを抱くためにここから出しなさい!」
「結構だね。抱くならまだ、豚のほうがマシだ」
「豚?豚よりわたしのほうが綺麗だわ。豚よりわたしの体の方が魅力的だわ!貴方、失礼よ!わたしは公爵夫人になる女なのよ!」
「いや、豚だろう」
と、看守がボソッと呟いた。
「お前は罪人だ。刑罰が決まるまで大人しくしていろ」
「わたしは何も悪いことなんてしていないわ。みんなに愛される可愛いアイリスであるわたしが何をしたと言うの?
貴方、頭がおかしいんじゃないかしら?」
「おおーい、誰か代わってくれ!俺は2時間が限界だ。次の当番早めに入ってくれ!」
「ええ?嫌ですよ。一人3時間交代で行こうと言ったじゃないですか!」
「ここにいたら頭がおかしくなる!」
「ほらあ!やっぱり貴方、頭がおかしいのね。ふふふ」




