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愛してました、たぶん  作者: たろ
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ラウル、シャノンに会う

シャノンが出て行ってもうすぐ5か月になる。


一度シャノンに会ったが話し合うことなく終わった。


それからすぐに謹慎処分となる。

騎士団でのアイリスとの情事がわかってからすぐに退団となった。


それをきっかけとして、騎士団さらに王宮内で不貞を働いた者達を見つけ出して膿を出し切る事になった。


目に余る者には、減給、謹慎処分が言い渡されるらしい。


アイリスが売った薬を買った者は謹慎処分になった。


俺は、アイリスやウィリアムが捕まるまでは外出禁止令を出されている。


その間、何度もあったアイリスの突撃行動には頭を悩まされた。


会えばまた愛情もないのに抱きたくなる怖さと、まだ時折り彼女を欲しくなる体に、自分でもどうする事も出来なかった。

頑なに会わないようにするしかなかった。


アイリスが捕まったと連絡がきた。


しばらくしてウィリアムも捕まった。

シャノンが事件に巻き込まれたと聞いた時には、どうして自分が助ける事が出来なかったのか、そばにいる事が出来なかったのかとても悔まれた。


今さら何もしてあげられない悔しさと後悔しかない。


仕事は、今は屋敷で出来ることはしていたが、ほぼ父上と母上に代行してもらっていた。


醜聞になってしまった俺では、誰もついて来てはくれなかった。


俺の事がきっかけで騎士団や王宮の不貞問題を追求された貴族達には、厳しい目で見られている。

仕事にも差し障っている状態で、父上が代行する事でなんとか問題を収めてもらっているが、かなり厳しいところだ。


父上と話し合い一から出直す事になった。

父に公爵の地位を返す事になった。


俺は廃嫡にはならずもう一度下積みから始める事になった。


王都を離れてベルアート領に向かう事になる。


シャノンとの離縁は決定的だ。


今さら会ってはもらえないかもしれないが、ヘンドリー伯爵に頼んでみることにした。



◇ ◇ ◇



ヘンドリー伯爵家に向かったのは手紙を出してから10日後だった。


客室に案内されるとそこにはシャノンと伯爵が座っていた。


俺は二人の前に座った。


「ヘンドリー伯爵お忙しい中時間を作っていただきありがとうございました」

伯爵に礼を言ってからシャノンを見た。


前回はあまりシャノンを見る余裕がなかった。


今のシャノンは、邸にいた頃とどこか違って見えた。

いつも自信なさげで儚く見えていた彼女が今は強い意志を持ち、人の目をきちんと見られる女性になっていた。


「ラウル、いえ、ベルアート様、前回は感情的になってしまい申し訳ありませんでした」


「シャノン、自分の甘さが招いたことで君に辛い思いをさせた。申し訳なかった。

だが、愛しているのはシャノンだけだ。他の女性に気持ちを移したことはない。信じてもらえないかもしれないが君を愛しすぎたんだ。だから君を壊したくなかった。本当にすまないと思っている」


「ベルアート様、わたしにはもう謝罪は必要ありません。貴方は騎士団を退団となり公爵の座もお義父様にお返しになったと聞きました。しっかり罰は受けております」


「しかし、それでは…「もうよろしいのです。ベルアート様…」」

シャノンは、わたしの謝罪を遮った。

そして……


「ベルアート様、愛しておりました。でももう終わったのです」


「え?」


「もう愛は消えました。


アイリスの事だけではなく振り返ってみるとラウルはわたしのことを愛していたとは思えなかったのです。


いつも優しく微笑んでくれたけど、貴方の心の中が見えることはなかった。

そう、ただただ優しかっただけ。


わたしを愛でて見ているだけだった。


わたしも愛してはいましたが、貴方の表面だけを見て愛していただけ。たぶん愛していると思っていただけだったのだと思います。

お願いします。離縁してください」


「もう一度一緒にやり直すことはできないだろうか?」


無駄だとわかっていても言わずにいられなかった。

シャノンが俺を瞳に映している今しかないと思ったのだ。


「もう終わったのです」



「………わかった。すぐに離縁状は提出する」

シャノンの言葉が胸に突き刺さった。

自分が招いた結果だとわかっていたが、やはりハッキリと言われるのは辛いものがあった。


「……よろしくお願い致します、ではこれで失礼致します。もうお会いすることはないでしょう」


シャノンは席を立ち部屋を後にした。


これが彼女との最後となった。









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