シャノン、お父様と話す②
「シャノン様、貴方はわたしの大事な大事な愛する主なのです。お馬鹿で抜けててとっても優しくて可愛いんです……」
わたしはロニーの言葉に嬉しくも
「やっぱりわたしってお馬鹿さんなのね」
とボソッと言って頬を膨らました。
それを見て泣いていたロニーが、クスッと笑った。
「もう、シャノン様!わたしもっといい事言ったじゃないですか?」
「あら、どんなにいい事言っても『お馬鹿』で帳消しよ!さらに抜けてるなんて酷いわ!」
わたしもクスクス笑った。
二人でクスクス笑っていると、お父様が口を開いた。
「わたしは本当に最低だったんだな。はっきりと言われないと気づかなかったよ。
シャノン、この前はお前に話しただけで詫びたつもりだった。
だが、違ったんだな。ロバートにも散々言われたよ。
シャノンの信頼を取り戻したかったら行動で示せって!そして、今までシャノンがどんな思いで過ごしてきたか考えてみろと言われたんだ。
ロニーに言われなかったらシャノンがあの邸で一人でどんな気持ちでいたかなんてわからなかったよ」
ロニーに向かってお父様は頭を下げた。
「今までシャノンをいや、シャノンの心を守ってくれてありがとう」
わたしに振り向いて、さらに深々と頭を下げた。
「許して欲しいとは言えないが、謝罪させて欲しい。
わたしはシャノンを駒とか思ったことはなかったが、そう思わせる事を言った。
君が一人でいる事がどれだけ寂しいかなんて考えてなかった。
シャノンとどう向き合えばいいかわからず避けて逃げていたんだ。
すまなかった」
「わたしはお父様に愛されたかったの。
認めて欲しかったの。
お母様の思い出を語り合ってみたかった。
わたしを見て欲しかったの」
わたしは涙が止まらなかった。
お父様を許すとか許さないとかもう自分でもよくわからなくなってきた。
でも一度壊れた心は簡単に元には戻らない。
許すとかではない、まだこの人を信じられないのだ。
「お父様、わたしは貴方をまだ信じることは出来ません。
……でも聞きたいことがあります」
お父様がわたしを見つめた。
「………お母様は隣の国のお姫様だったってロニーの事件の時に聞いたのですが……わたしの髪の色は王家でしか受け継がれない色だとウィリアム様に言われました」
「話すのが遅くなってすまない。ジョアンは、国を捨てて侯爵家に嫁いできたんだ。だから、ジョアンの出自を知っている者は少ないんだ。我が国の王族と宰相達など上の方達だ。
ノエル様の母上は隣の国の陛下の妹なんだよ」
「ウィリアム様は外国を回っていた時にわたしのことや髪の話を知ったと言っておりました。王族の銀髪の者が少なくなったので、わたしは高く売れると言われました」
「あいつはシャノンを売るつもりだったのか!」
お父様の顔が鬼の様に怖い。
「わたしはお母様のことを知ろうとしなかった。
お父様に見捨てられて、お母様は亡くなったのに、お母様にも捨てられた気持ちだったの……です。でも寂しくなると懐中時計の音を聞いてお母様を思い出すのです。矛盾してますよね」
「シャノン、すまない。
ジョアンのことは邸ではクリスしか知らない。クリスが誰かに話すことはなかったはずだ。
本来ならわたしが君に伝えるべきだったのだが………会話すらなかったから…本当にすまない。
ジョアンはとてもシャノンを愛していた。君を置いて逝くのはとても辛かったと思う」
「あまり記憶は残っていませんが、懐中時計の音が好きで聴かせてもらっていたことは薄らと覚えています。
わたしは愛されていたんですね」
「当たり前だ」
まだまだお母様のことを聞きたいことはあった。
でももう一つ聞きたいことが残っていた。
「お父様、あと一つお聞きしたいことがあります。
どうしてお父様は先生のお邸にいらっしゃったんですか?わたしが連れ去られたと気づいて下さったと聞きました」
◆ ◆ ◆
ちょっとまとめ
シャノンの結婚は卒業してすぐの18歳の時4月です
公爵の家を出たのは19歳の半年後くらいで10月ごろ
事件が起きたのは3か月から4か月くらい経った頃の1月くらいです。
分かりにくくてすみません。
アバウトな感じで時期の設定はしていなかったです。




