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愛してました、たぶん  作者: たろ
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ウィリアム、捕まる

シャノンを助け出した侯爵は、我に返りいつもの冷静沈着な姿を取り戻した。


「……コ、コホンッ!………シャノン……大、丈夫か?」


侯爵は精一杯の勇気を出して話しかけた。


「お父様、助けていただいてありがとうございました。わたしは大丈夫です」


シャノンは父が自分のことを心配したことに驚いた。


小屋に駆けつけてくれた時、あんな心配そうな声でわたしを呼んだことも信じられなかった。


「そ、そうか……」


「「・・・・・」」


また、二人の沈黙がしばらく続いていたら、先生が声をかけてきた。


「シャノン嬢、とにかくここから出よう。邸に戻ろう」


わたし達は小屋を出て邸に戻ることにした。


立ち上がろうとしたら、お父様が黙って手を差し出してくれた。


わたしはその手を掴み立ち上がった。


立つと右足首に痛みが走った。


「っ痛!」

先生が足を診て、

「軽い捻挫かもしれないな。歩けるかい?」

と聞かれた。


「大丈夫です。少し痛んだだけですから」


「キャッ!」

お父様がわたしを子どもを抱くように抱っこした。


「え?ええ?」


「歩くと痛いだろう?」


わたしは真っ赤な顔を父の肩で隠した。そのまま抱っこされて邸に戻った。


チラッと横を見たら先生とダンがニヤニヤと笑っているのが見えたが気付かないふりをした。


(恥ずかし過ぎる…)




◇ ◇ ◇


わたしは恥ずかしすぎる抱っこで邸に戻った。


ベッドに寝かされて先生が診察してくれた。

やはり挫いたみたいで足が腫れてきた。

先生が足首を冷やしてから包帯で固定してくれた。

叩かれた頬は少し赤くなっていたが冷やしてもらったのですぐに落ち着いた。


「しばらくは安静にしていなさい」


「わかりました」

先生にお礼を言った。


わたしは邸で寝泊まりしている客室のベッドに使用人に運んでもらい横になった。


お父様はいつの間にかいなくなっていた。


ロニーが心配してわたしのいる部屋に慌ててきた。


「シャノン様、大丈夫ですか?」


「ロニー、大丈夫よ。引き摺られた時に足首を挫いたみたいなの。大したことないわ」


「ご無事で良かったです」


「ありがとう。心配ばかりかけてごめんね」


「ほんとですよ!!

『シャノンが連れ去られた!』

って大声出しながら邸を飛び出した旦那様を見てびっくりしたんですよ!」


「お父様が?」


「はい!わたし達は手分けをして今までシャノン様を探していたんです。

見つかったって知らなくて今さっき他の騎士の方が教えに来てくれたんですよ!

知らせが遅過ぎます!

わたし、わたし、シャノン様に何かあったらと思って…」


ロニーが泣き出した。


「ロニー、ごめんなさい。心配かけて」


「ほんとですよ!これ以上心配かけないで下さい!」



わたしはそのあと疲れてそのまま寝てしまった。








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