アイリスはどうなった⁉︎(本人視点)
久しぶりにウィリアムから連絡があったの。
この前服を買えなかったことを文句言わなくっちゃ!
指定された場所に行くと居たのはマイラっていうウィリアムの家の侍女だった。
「ウィリアムは?」
なぜこんな娘が居るの?
わたしはイライラしながら睨みつけた。
「ウィリアム様は後ほどこちらに来るとおっしゃっています。アイリス様に見ていただきたい物があります」
「なあに?面倒くさいわね」
マイラが手から差し出したものを見て、キョトンとした。
「あら、シャノンのお母様の形見の懐中時計じゃない。どうしてここにあるの?」
マイラの目がキョロキョロし始めた。
奥の方を見ると見覚えのある女が蹲っていた。
「シャノンの侍女じゃないの?貴方が盗んで持って来たの?中々やるじゃない!」
侍女はわたしのほうを向いて怒って言った。
「アイリス様じゃあるまいしわたしは盗みなどしません!」
「はぁ?何を言ってるの!わたしは盗んだことなんてないわよ!」
「ラウル様をシャノン様から寝取ったじゃないですか!」
「何言ってるの、貴方!
ラウル様はわたしを愛しているからシャノンを捨てたのよ!シャノンはラウル様に抱いてもらえない哀れな娘なの!」
「シャノン様が邸を出た後ラウル様が言った言葉をお忘れですか?
『はあ?
何を言ってるんだ、お前はシャノンを抱けない時の性の捌け口だ!その辺にいる女と一緒だ!
ただ穴があるから挿れているだけだ、娼館に行かない時の代わりでしかない』
こうも言ってましたよね?
『『愛してる』って言ったじゃない!』
と貴方が言ったら
『言ったんじゃない、お前がシャノンに全て話すと言ったから仕方なく言ったんだ!そのせいでシャノンは出て行ったんだ!』
『シャノンと別れるって言ったじゃない!』
『それもうるさいお前の口を塞ぐためについた嘘だ!』
お忘れですか?」
クスッとシャノンの侍女は笑った。
「貴方はラウル様に愛されてなどいないのです」
わたしは持っていた懐中時計を侍女の顔に向かって投げつけた。
「うるさい!うるさい!お黙りなさい!」
侍女はクスクス笑いながら言った。
「返して頂いてありがとうございます。手間が省けました」
懐中時計を握りしめた侍女は小馬鹿にした笑いを続ける。
マイラが慌ててわたしに詰め寄って来た。
「アイリス様、あの時計はウィリアム様に頼まれて盗ってきた大切なものです」
マイラの言い方にイラッとしたわたしは怒鳴った。
「そんなの知らないわ!!
もう!仕方ないわね。早く返しなさいよ!それは私たちのものなのよ!」
「これはシャノン様のお母様の大切な形見です。貴方たちのものではありません」
「いいから返しなさい」
わたしの近くに置いてあった棒で侍女の背中を何度か殴った。
ふと見ると脇腹辺りに赤い綺麗な血が服に滲んでいた。
「綺麗な血……」
その美しい血を見たくてさらに殴ったら血が脇腹あたりからどんどん流れていった。
床に滴り落ちる赤い血がわたしをゾクゾクさせてくれる。
手が疲れたので今度は足で蹴った。
そしたらまた血が溢れてくるの。
楽しくて楽しくて何度も殴って蹴ってを繰り返したわ。
そしたら今度はマイラが邪魔して侍女に覆いかぶさってきたの。
「邪魔よ!退きなさい!」
「止めてください!ロニーが死んでしまいます!お願い!止めてください!」
「ふうん、その侍女ロニーって言うの?
生意気な女ね。ラウル様はわたしを愛しているの!貴方の妄想になんか付き合っていられないわ!時計をいい加減離しなさい!」
ロニーは、どんなに殴られても蹴られても懐中時計を離さなかった。
頭にきたわたしはロニーを立たせてまたさらに殴りつけた。
ロニーはフラフラになりテーブルに頭をぶつけて意識朦朧となった。
とても楽しかった。
流れる血が綺麗で興奮した。
マイラもついでに殴った。
けど血が出ない。
今度は蹴った。
まだ血が出ない。
仕方ないので殴るのと蹴るのを繰り返した。
ここにナイフがあればもっともっと綺麗な血が見られるのに…と思いながらマイラを殴り、ロニーを殴った。
そしたら扉が開いて、何故かわたしは押さえ込まれた。
「痛いわ!離して!わたしは公爵夫人になる女よ!触らないで!」
わたしの目の前で、屈強な男たちがマイラとロニーを抱き抱えていた。
ロニーは布で流れる血を止められていた。
「駄目よ!せっかくの綺麗な血を止めたらもったいないわ!流してあげて!
見て!なんて綺麗な血なの!」
わたしはうっとりと血を見ていた。
◆ ◆ ◆
【好きです!あと何回言ったらわたしを好きになってくれますか?】
完結しました。もしよろしければ読んでみてくださいね。
 




