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愛してました、たぶん  作者: たろ
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ロニー!!!

ロニーに会いに行けたのは、治療を完全に終わらせてからと言われて1時間後だった。


病室に行くと、包帯だらけで顔にも痣ができていた。


話によればロニーはアイリスに殴られた時にテーブルに頭を強く打ちつけて意識朦朧となっていたそうだ。

それでも時計を離さないのでアイリスは殴ったり蹴ったりしたそうだ。



どんなに痛かっただろう。

仲の良かった友人に裏切られて辛かっただろう。


わたしなんかのために痛い思いをしたと思うと、ただただ涙が出てきた。

ベッドで静かに寝ているロニーの頭をずっと撫で続けた。


「シャノン様」

と声をかけてきたのはリーサだった。


「リーサ、ごめんなさい。貴方の大切なお姉様にこんな怪我をさせてしまって。

謝って済むとは思ってはないの。でも今は謝ることしか出来なくて、本当に申し訳ありませんでした」

わたしはリーサに頭を下げ続けた。


「シャノン様、頭をお上げください。何も悪いことはしていないのに謝らないでください。

姉にとってシャノン様はとても大切な人なんです。自分のせいでシャノン様が心を痛めていると知ったら姉はつらいと思います。

姉は大丈夫です。強い人です。きっと、きっと、意識を取り戻します」


「そうよね、ロニーはわたしたちを置いて逝くわけないわよね。うん、大丈夫だよね」


それからもロニーは目を覚まさず眠り続けていた。



◇ ◇ ◇


わたしは、ロニーの部屋で寝泊まりして看病をしている。


喘息の発作が出るといつもロニーがそばにいてくれた。

それだけでいつも安心した。


今度はわたしがずっとロニーのそばにいてあげたい。


リーサに代わりますと言われてもわたしは譲らなかった。


子どもの頃、寝込んでいるとよく読んでくれた本を何冊か病室に持ってきた。


ロニーに聞こえるように読んで聞かせた。


わたしとロニーの昔話を聞かせた。


そうして5日を過ぎてロニーが意識を取り戻した。


「……っお嬢様…」


小さな小さな声で、わたしを呼んだ。


「ロニー!目が覚めたのね」


わたしは子どものようにわんわん泣いてロニーを抱きしめた。


「ロニー、ロニー!大好きよ!ロニー!」


あまりにもギュウギュウに抱き締めたのでロニーに怒られた。


「お嬢様、痛いです‼︎」


「あ、ごめんなさい」


ロニーはまだキツそうだった。なのに抱きついたので苦しそう。


「ロニー、お水飲むでしょう?」


水差しからコップに慌てて水を注いでロニーに飲ませた。


「お嬢様、昔よくわたしがお嬢様にしてあげていましたね、まさかお嬢様にしてもらえるなんて、変な気分です」


「ほんとうね、いつもロニーのお世話になってばかりだったわ」


はっと気づいてわたしはベルを鳴らした。



コンコン


「シャノン様何か御用ですか?」


リーサが顔を覗かせた。


「ロニーが目を覚ましたの!」


リーサは、その場に立ち尽くし涙を流していた。

「お姉様!みんなに心配かけて!もう!心配したんだから!」


リーサもまたロニーに抱きついて

「痛い!」

と怒られていた。


その後、先生がロニーを診てくれて異常がないことがわかった。


もちろんまだまだ怪我は治っていないのでしばらくは安静にしないといけない。


わたしはもうしばらくロニーの病室で一緒に寝泊まりすることにした。





















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