シャノン、出掛ける
父との話し合いの後、ロイズとノエル様が心配してわたしに会いにきた。
説明をすると
「なんだそれ!シャノンの親父、不器用すぎる」
ロイズは、わたしと先生の説明を聞いて固まっていた。
ノエル様は、多少ご存知だったみたいで
「ほんと素直じゃないんだから。でもシャノンちゃんに泣かれるからってこっそり毎晩シャノンちゃんの顔を見に行ってたなんて……面白すぎるわ」
と、クスクス笑い出した。
先生は呆れながらも父をフォローした。
「あいつはシャノン嬢が可愛くて仕方なかったんだよ。でも素直になれなくて拗らせ過ぎていたんだ。
そんな態度をしていたらシャノン嬢に捨てられるぞって言ってたら、見事に捨てられただろう?
あの時のあいつの落ち込んだ姿はかなり面白かった。
まあ見ていられないほど酷かったけどね」
「みんなにご迷惑とご心配をお掛けしました。まだ父を許すことも信じることも出来ませんが嫌われてはいない事はわかりました」
◇ ◇ ◇
お父様との話し合い後、数日が経ったが除籍のことはまだどうするか決まっていない。
まだラウルとの離縁も出来ていない状態なので、ラウルとの話し合いをしてから決めることにした。
長年無視され続け嫌われていると思っていたのに、実はわたしを大事に思っていた不器用な人だと分かったが、未だにわたしの心は彼を拒否している。
「ロニー、今日は一人でお買い物に行ってこようと思っているの」
「ダメですよ!一人は危ないと言われていましたよね?」
「護衛の方達に相談したら、いつも二、三人はわたしに付いているからそこにダンを加えるから大丈夫ですってお返事いただいたの」
「お買い物ならわたしが行きますのに」
「先生とノエル様がもうすぐお誕生日なの。二人は日にちが近いんだって!
だから、お二人にお礼を兼ねて何かプレゼントをしたくて街に行きたかったの」
「今日はわたしも用事があってついて行けませんが、絶対にダン様達から離れては行けませんよ。
ボッーとして迷子にならないように気をつけてくださいね」
「もう、わたしを何歳だと思っているの?」
わたしが怒ってプクッと頬を膨らませると、ロニーはクスクス笑い出した。
「シャノン様はずっとわたしの可愛いお嬢様ですから…ふふ」
わたしは街にお出掛けなので、淡い黄色のワンピースを着ることにした。
「シャノン様、そろそろ寒い季節ですので上着も着ていってくださいね。あ、それからお金も持って行かないとお買い物は出来ませんので」
「もう!いくらなんでもお金がないと買い物できないくらい知っているわ!」
「だってお金を持って一人でお買い物などしたことがないでしょう?」
「……う……た、たしかに……」
わたしは初めてのお買い物に少し浮かれていたのだった。




