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愛してました、たぶん  作者: たろ
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ロスワート侯爵様はシャノンを想う

スティーブ・ロスワート侯爵は、26歳の時に妻のジョアンを流行病で亡くした。


この時、実は両親も同じ流行病で亡くなっていたのだった。


シャノンは身体が弱く喘息で入院をしていた時だった。

流行病に邸のみんなも罹ってしまった。


侯爵も王都から離れ領地を廻っている最中だった。

早馬で両親と妻のジョアンが流行病になったと聞いて、王都では足りなくなった薬を領地から持って帰っている最中にみんな亡くなってしまった。


邸に帰るとまだなんとか生き延びて寝込んでいた使用人に薬を飲ませた。

おかげで何人もの使用人は助かった。


しかし、両親とジョアンには間に合わなかった。


ロスワート侯爵は、失望の中、運良く助かったシャノンを抱えて生きることになった。


まだこの頃は父親が侯爵だった。

スティーブ・ロスワートは父親の死後ロスワート侯爵の名を継いだのだ。


まだまだ勉強中だった彼にはシャノンを育てる余裕はなく使用人に任せっきりで、侯爵の仕事をこなしていた。


シャノンの顔を見るのはいつも彼女が寝付いた後だった。


それでも邸に居る時は、毎日会いに通っていた。


もともと忙しく子育ては妻に任せっきりでたまに会うだけだったが、妻が亡くなったあと彼女の寝顔を見るのが唯一の癒しだった。


そのことは今もシャノンは知らないことだが、家令のクリスはそんな主を生温かい目でいつも見ていた。


(旦那様、起きている時にお会いすればいいのに、不器用なお方だ)


シャノンはもともとあまり会わない父親に懐かず人見知りをしていた。

母親を探して泣き続ける娘に父親の侯爵が会いに行くと嫌がってさらに泣き続けるのだ。

それが彼女に会うことを遠慮してしまう原因にもなっていた。


それは、シャノンが大きくなってもきっかけを掴めずそのまますれ違う原因になっていた。

さらに二人とも似たような性格で、人見知りが激しく話すのが苦手だったので尚更だった。


二人とも上手く語り合うことが出来なかったのだ。



侯爵は、シャノンが病気で寝込んでいる時は、夜中に看病をしていた。


喘息の発作が始まると、寝ているのがキツく呼吸が荒くなるので、椅子に座ってシャノンを抱っこしたまま背中を摩って寝かせていた。


朝方、呼吸が落ち着くとベッドに寝かせて、自分は自室に戻るという生活をしていた。


入院中も伯爵の妻とジョアンが従姉妹だったので無理言って頼んで夜遅く会いに行っていた。


全くシャノンには伝わらない愛情だったのだ。


主治医である伯爵も家令のクリスや侍女長達、知っている者からすると、なんと不器用すぎる愛情だと苦笑いをしていた。


伝わらない愛情にシャノンはいつも落ち込んでいた。


しかし、侯爵は仕事が忙しくシャノンを放って置いたのは確かなので、シャノンに伝えることは今更だと思っていた。

なのでみんなに口止めをしていた。


侯爵は不器用すぎる男だった。








◆ ◆ ◆ ◆ ◆


➖ 作者の独り言 ➖


我が家の娘は人見知りが激しくお話が苦手でした。仕事が忙しいパパに会えない小さな頃はなかなか慣れず、パパをみていつも

泣いていたり固まっていたのです。ちなみに喘息で身体が弱く入退院を繰り返していました。


そう、シャノンの小さな頃は我が家の娘と一緒でした。


パパは娘とお友達になるために頑張っていましたよ!


そして男の人が苦手な娘はパパのお友達も苦手で話しかけられると泣き出していました。


人見知りが激しい子っているんです……よ!

シャノンの性格は少し我が子に似ております





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