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愛してました、たぶん  作者: たろ
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シェリル夫人のお茶会

「ロニーおはよう」


今日はお休み。

シェリル夫人の邸のお茶に呼ばれた。


「今日はロニー、お手間かけるけどよろしくね」


「もちろんでございます。今日は久しぶりにシャノン様のドレス姿。気合を入れさせていただきます」


公爵邸を出ていく前に運んでおいたドレスが何枚かある。


市井に下りるのだから必要ないかもしれないと思い捨てるつもりでいたドレス。


ロニーが


「貴族とのお付き合いがあるかもしれません。何枚かは運んでおきます」


と言って、わたしのお気に入りだけを数枚運んでおいてくれた。


その中の一枚、淡いブルーの柔らかなシルクの生地、贅沢なレースやフリルが施された女性らしく優美なデザインのドレスを選んだ。


帽子・手袋・パラソルもロニーが運んでくれていた。


ロニー曰く

「実は一人で運べませんでしたので、信頼できる公爵邸の使用人何人かと運びました」


と聞いた時にはびっくりした。


夜会の後、体調が悪いと部屋に篭っていた時に邸のみんなが心配してくれてたけど、わたしの事情を知っている者もいたのね。

まあ、ほんとに食欲もなくなり睡眠もとれなくて体調を崩したけど。


その中の一人に執事のセバスがいたから動きやすかったそうだ。


主を裏切ってわたしのために動いてくれた。

わたしの居場所も内緒にしてくれたセバスには感謝だわ。


朝食を摂り急いで準備を始めた。


ロニーは久しぶりだと言って、全身のマッサージからメイク、髪型までたっぷり3時間をかけて綺麗に整えてくれた。


今日はギュウギュウのコルセットはやめて身体を締めつけないティーガウンにした。


これで気分が悪くならずに過ごせるわ。


(久しぶりの戦闘服だわ。わたしも気合を入れなくっちゃ)



ノエルさまが伯爵家の家紋の入っていない馬車を用意してくれた。


わたしが公爵家とは違う家紋の入った馬車に乗るわけにはいかないのでほんとに感謝しかない。


ロニーももちろん侍女として付いてきてくれた。



◇ ◇ ◇


アンブライト公爵邸は、伯爵家から馬車で40分ほど走った場所にある。

王城に近く、ベルアート公爵邸よりも広い敷地があり私兵も沢山いる。


トーマス様は、団長職ではあるが今は騎士団を取り纏めているというより執務のほうがメインで王城内の執務室で過ごすことが多い。


シェリル夫人は、社交界の華と言われる一人で、彼女の所作はとても美しく40歳を過ぎても今なお美貌を失っていない。


彼女の圧倒的な存在にわたしはいつも憧れていた。


結婚から半年後家を出て3ヶ月、バタバタとしてお顔を出していなかったシェリル夫人のお茶会。


今日はどんな方々がお見えになっているのか考えただけで恐ろしいわ。


気合いよ気合い!


色とりどりの薔薇が咲いた庭園に招かれたわたしは、座っている方たちに向かってカーテシーをした。


席に座っていたのは三人。


一人はもちろんシェリル夫人。


隣の席にはもう一人の社交界の華と言われるヴィクトリア・マイナー公爵夫人が座っていた。


反対の席には、元王女でありアンブライト公爵家嫡男ジャックの妻であるマリアンナ様が座られていた。


カーテシーをして頭を上げると三人は和やかにわたしを見ていた。


「本日はお招きいただきありがとうございます。失礼ではありますがわたくしはただいま訳あってシャノンとだけ名前を名乗らせていただきたく思っております」


もう一度深々と頭を下げた。


「シャノン様、お話は伺っているわ。頭を上げなさい」


マイナー公爵夫人の優しい声色にホッとして頭を上げた。


席に座ると侍女が紅茶を淹れてくれた。

ダージリンティーのいい香りがした。


テーブルにはサンドイッチやティービスケット、プチフルールなどが並んでいた。


(まさかの雲の上のお二人がいらっしゃるなんて……どうしよう)


ドキドキのお茶会が始まった。


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