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愛してました、たぶん  作者: たろ
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シャノン、団長夫婦に会う

ラウルとの話し合いから数日経ったある日のこと。


いつものように先生の執務室で事務仕事をしていた。


書類と睨めっこはお手のもの。人と関わるより気が楽。


「シャノン嬢、今日は昼頃お客様がみえる。一緒に君も食事をすることになっている。ロニーには伝えてあるので、邸に一緒に行くよ」


「先生、わたしの知り合いですか?」


先生はにっこりと笑った。


「あぁ、君とは久しぶりじゃないかな?」


「どちら様でしょう?」


「それは会ってからのお楽しみだね」


先生はにこにこ笑いながら、教えてくれなかった。



◇ ◇ ◇


先生の邸に着くと、広い客間に通された。


そこには懐かしい顔があった。


「シェリル夫人!」


わたしは彼女の前に行くと、まずはカーテシーをした。


「お久しぶりで御座います」


「綺麗なカーテシーね」

にっこりと微笑んでくれたのは、9歳から2年間勉強を教えてくれたシェリル夫人だった。


「シャノン、久しぶりだな」


その横に立っていたのは、ラウルの上司にあたる騎士団全隊員をまとめている団長のトーマス・アンブライト公爵様だった。


シェリル夫人は、母の友人である。

母が亡くなり一人で邸で過ごすことが多いわたしを不憫に思い、教育係と名乗りつつ、わたしをいつも邸から連れ出してくれたのだ。

シェリル夫人のお家にはわたしと同じくらいの子ども達が三人いて遊びながら勉強を教えてくれた。


ノエル様と同じくらい大好きなもう一人の母である。


「おじ様!ひどいわ!」


わたしは、先生と呼ばないといけないのについいつもの呼び方になってしまった。


「いやぁ、誰かわからないほうが会えた時の嬉しさが倍になるだろうと思ってな」


「うふふ、でもおじ様ありがとう」


「さあ、シャノン嬢お腹が空いただろう。昼食にしよう」


おじ様とノエル様、トーマス様とシェリル夫人、そしてわたし。


「トーマス様、この度は私事で心を煩わせてすみませんでした」


「何故、シャノンが謝るのだ?君は何も悪いことなどしていない。悪いのは全てラウルだ」


「そうよ、シャノン。全て話は聞いたわ。辛かったわね」


二人ともわたしのことを心配してくださっていた。


そう思うだけで、心がポカポカと温かくなった。


「ありがとうございます」


「シャノン、君は子どもの頃から我慢をし過ぎて笑顔を忘れて人形のようだった。それはもちろん君の父親のせいでもあるが、身体が弱く人見知りで話すのも苦手だった。

伯爵からラウルとの結婚後も固い表情のままだったと聞いたよ」


「ラウルは、結婚してからも仕事が忙しくあまり邸には帰ってきませんでした。

わたしは、彼の良き妻にはなれませんでした。話が下手なので会話も続かなかったし」


わたしはラウルのことを考えるとうるっとしてしまった。

自分では彼と穏やかな生活をしていたつもりだった。


「彼にとって良き妻って何?シャノンは精一杯頑張ったのでしょう?報告は受けているわ」

シェリル様が言った。


「ロニーはシャノンの味方だけどわたしやノエルの友人でもあるのよ。何かあったら報告をお願いしていたの」


「え?ロニーが……」


ノエル様もにっこりと微笑んだ。


「ええ、ロニーは貴方のことがとても心配でいつも私たちに報告してくれていたのよ。ラウル様があまり邸に帰ってこないのでシャノンちゃんが落ち込んでいるって聞いていたの」


「そうね、まさか浮気していたとは思わなかったけど」

シェリル夫人の顔は怒っていた。










































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