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愛してました、たぶん  作者: たろ
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アイリスお父様の悩み事②

公爵家からの手紙の返事は、


『離縁などあり得ない。もし離縁したとしてもアイリスを娶ることはない』


と言う返事と


『誓約書


わたくしアイリス・ベンジャミンは何があってもラウル・ベルアートに迷惑をかけないことを誓う』

という、写し書きが入っていた。




1カ月程かかったが調書が届いた。


「旦那様、調書ができました」


調書の中に書かれていた内容に驚きを隠せなかった。


『アイリスは騎士団に度々顔を出し、差し入れを持っていき騎士達とも良好な関係を築いている。ラウル・ベルアート公爵とも会っていた。


ベルアート公爵とはこの3カ月程アイリスと夜ホテルに泊まることが度々あった。


ベルアート公爵は、あまり邸に戻らずアイリスの他に未亡人や市井の女性と過ごすことがあった。


シャノン公爵夫人は、邸を出ていき今現在行方が分からず捜索中とのこと』



わたしは調書をぐしゃっと握りつぶしてしまった。


だから、アイリスは騎士団に行くことができなくなったのか。


普通、騎士団には令嬢達が見学に行くことができる。

アイリスもよく行っていたと聞いていたが、突然禁止になったのだ。抗議をしたが全く相手にされなかった。


(娘は確かに考えが甘い。だが、公爵はいったい何を考えているんだ。娘以外にも女がいるなんて……娘は遊ばれていただけなんだ!)


わたしは、公爵家にこの調書を送り抗議した。

そして一度話し合いをした。




◇ ◇ ◇



アイリスは、まだ公爵との結婚ができると思い込んでいる。


「お父様もご存知だと思うけど、ラウル様とわたしは何度も閨を共にしているの。愛し合っているの。シャノンとはすぐに別れるっておっしゃってたの!」


わたしは何度もアイリスに伝えた。


「そのことは一度公爵に話しに行った。

うちの娘を傷モノにした責任をとって欲しい、娶っていただかないとこちらも醜聞になると伝えたんだ」


「わたしは傷モノではないわ!ラウル様の大切な女性よ!」


ハア……


「アイリス、手紙の中に写しが入っていた。これはお前が書いたんだろ?」


『誓約書


わたくしアイリス・ベンジャミンは何があってもラウル・ベルアートに迷惑をかけないことを誓う』


「ええ、書いたわ

それがどうしたって言うの?」



「『アイリス、自分には妻がいる。問題を起こせば公爵としても騎士団副隊長としても醜聞になり困ることになる。悪いが誓約書を書いてくれ』

と言われたから会えなくなるのは嫌だから書いたわ」


それを聞いたわたしは怒りに震えた。


「お前の純潔を奪っておきながら酷い人だ」


「え?純潔?奪う?」


アイリスがポカンとしている。

わたしは怪訝な顔をした。


「アイリスの純潔を無理矢理奪ったんだろう?」


「お父様、何を言ってるの?わたし学園の高等部では何人も恋人がいたのよ」

とコテンと首を傾げた。


「お、お前は……」


わたしは青い顔になり小刻みに震えていた。


「わたしはラウル様が好きだから差し入れに少し媚薬を入れてみたの」


ふふふ、と笑うアイリス。


「そしたらわたしを朝まで離してくれなくて、とっても幸せだったわ」


(媚薬?媚薬とは何のことだ?そんなものどこから手に入れたんだ?)



「お父様、でも数回しか使ってないのよ?だって元彼から少しだけ貰ったものでなくなっちゃったから。彼がわたしを抱いてくれたのは媚薬のせいだけではないわ」


「公爵は誓約書をもとにこちらからの訴えも縁談の話も受け入れることはないと言ってきた」


「あれはラウル様の醜聞にならないように書いただけだわ。わたしとの結婚が醜聞になるなんてあるわけないわ!愛し合っているんだからみんなに祝福されて幸せになるのよ」


「……アイリス……お前はわかってない」


「わかってないのはお父様よ!ラウル様に聞いてみて、わたしを愛しているって言ってくれるから」


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