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44支援職の幼馴染、無自覚ハーレムを作っているレオにドン引きする

俺は放心している姉をほおっておいて、幼馴染のシエナと改めて再会を喜びあった。


シエナとはつい先程合流したばかりだ。聖女アナベル様の圧力に一旦はシエナの死刑が確定しそうだったが、ギリギリ間に合い、王はシエナに無罪を言い渡した。


それだけではない。勇者パーティ時代の賃金未払いの件もアナベル様は言ってくれた。


……おかげで。


俺もシエナも、もう奴隷じゃない。王は適切な賃金以上の賃金を支払ってくれた。おかげで俺達はすぐに身請け料を支払い、平民に戻ることができた。俺の先程までの主人はアリスだったが、俺の身請け料支払い額に快く承諾してくれて、俺は無事平民に戻れた。


もちろん、アリスは『これからもずっと一緒のパーティだぞ!』と、言ってくれた。


俺はシエナを見つめて、思わず思っていたことを言った。勢いって大事だよな?


「シエナ……お互い平民になって良かった。なあ? 良かったら、俺と結婚しないか? 俺は、俺は幼馴染の時のシェニーも勇者パーティの時のシエナも大好きだよ」


「レ、レオ……わ、私なんかが……そんな」


「何を言ってるんだ? 俺を蹴とばしたことだろ? 君は涙を流して悔やんでたじゃないか? 俺だって同じ立場ならそうしていた。しなきゃ、殺されるかもしれない。だから、気にすることはないよ」


「レ、レオっ!!」


「シエナ!」


シエナは俺の胸に顔を埋め、手を大きく広げて俺を抱きしめて来た。


俺も優しくシエナを抱き寄せた。


「ほ、ほんとに私なんかでいいの? 私、こんな女だよ?」


「シエナはいつも優しくて、俺の唯一の心のオアシスだよ。だから、お願いだ、俺との結婚に『うん』と言ってくれ」


俺がそう言うと、シエナは濡れた目で俺を見上げた。そして、唇が動いた。


それは、絶対『うん』と言おうとしていたヤツだ、だが。


「「「ちょっと待ったぁー--!!!!」」」


何故かアリス、シャーロットとクロエが待ったをかける。


いや、勘弁してくれないかな? 俺は一生で、多分最初で最後の告白をしてるんだ。


邪魔しないでくれないかな?


「な、なんでシエナさんなの? 普通、王女というステータスの上、流れ的に私が正ヒロインだぞ!」


「いえ、最近はやりの受付嬢職の私が正ヒロインです! あんなに応援してたのに、ぱっと出の王女なんかにかっさらわられてたまるもんですかぁ!」


「違うのです! 奴隷という、今、最も正ヒロイン率が高い、僕が正ヒロインなのです!」


「「あんたは本当の奴隷じゃないでしょぉー!!!」」


何故かアリスとシャーロットがハモる。


しかし、この三人は何言ってるんだ? みんないいヤツだけど、ここは俺とシエナとの仲を祝福して欲しいな。そもそも何が不満なんだ?


「なあ、みんなどうしたんだ、突然? 俺にはさっぱり事態が呑み込めないだが?」


「……そ、それは」


「そんな! 女の子からそんなこと言わせるなんて」


「ぼ、僕、もうパンツの中びしょびしょなのに!」


はあ? 意味が解らない。そんな時、放心していた筈の姉さんがこう呟いた。


「レオ、あんたいつからそんな女ったらしになったの? お姉ちゃん、怒るわよ!」


「へぇ?」


いやいやいや、意味が解らん。アリスは仮にも王女様だろ? 俺なんて奴隷だったんだぞ。そんな、俺がまるでアリスを誑し込んだみたいに言われたら、反論したくなる。


「姉さん、誤解だよ。俺とアリスはそんなじゃないよ。さっきまで主人と奴隷の関係だったんだぜ。俺達の間にそんな、好きとか、恋愛感情なんて、なあ、アリス?」


「……しゅ、しゅき、レオ♡」


「へ?」


俺は焦った。まさか、ほんとに俺のことを? だとしても、さすがに氷の受付嬢のシャーロットさんは違うよな。ここはワザと振って、盛大に氷の微笑で、俺のことを見下げ果ててもらおう。


「シャーロットさんも俺のこと好きだったりしてね、はは」


「す、好きです……レオ様♡」


「ええ?」


いやいやいや、これがあの氷の受付嬢? 何、顔を真っ赤にしてんの? 何モジモジしてんの?


マズイ、これでは姉さんに怒られる。姉さんは怒ると俺を、パイルドライバーの実験台にするんだ。何度も脳天を地面にぶつけられて、意識がなくなるまでずっと続く。


俺は最後の砦、ニセ奴隷でエルフのクロエに聞いた。


「ク、クロエは俺のことなんて、何とも思ってないよね? いや、里を救ったことは感謝してくれてるかもしれないけど、そんなシチュなかったもんな?」


「ぼ、僕はレオ様の声を聞くだけで、おしっこじゃないのが出ちゃいます! もう、パンツがびちょびちょなのです!」


おしっこじゃないのって何? なんでパンツがびちょびちょなの? 意味わかんないだけど?


は!? と、気が付くと、フレイヤ姉さんが俺を軽蔑するような目で見ていた。


「ね、姉さん、これは違うんだ! わ、訳があるんだ!」


「いや、訳も何も、みんなあなたに恋する乙女の目になってるじゃないの! 何人誑し込んでいるのよ! まさかと思うけど、実の姉の私まで狙ってないでしょうね!」


「いけません。フレイヤさん! それ、フラグになります」


何故か聖女アナベル様が姉さんを止めた。フラグ? 何のことだ?


「いいですか、フレイヤさん。未来は変わりましたが、レオ君がどこかの国王になるか、魔王を滅ぼすのは間違いありません。これがどういうことかわかりますか?」


「えっと、どういうことですか?」


「ですから、魔王を討伐すれば、最低貴族! それに、多分レオ君ほどの人なら、どっかの王位にはなります、わかりますか?」


「ますます意味がわかりませんが?」


「ですから、英雄色を好むと言うし、貴族や王になれば、実の姉や妹を側室とできるし、何人も側室や愛人がいてもいい訳です」


「え? あの? いくらなんでも?」


この二人は一体何を錯乱してるんだ! 俺が姉さんを側室にするとかある訳ないだろ!


「国王ですよ? 大貴族様ですよ? お金がいっぱいですよ? 実は私も未来の夫の候補筆頭に考えているのです」


ちょっと、この聖女様、何を言い出す? それに何を俗物的なこと言ってんの? 聖女なのに?


気が付くと、フレイヤ姉さんが俺をジーと見ていた。


「……未来の王様……それに、お金♡」


「そうです。質素な教会ではなく、王宮で優雅な生活♡」


俺は狼狽えたが、辛うじて聖女アナベル様に苦言を申し上げた。


「聖女様がそんなこと考えたら、ダメでしょ!」


「無欲な聖女もお金にはときめくのです」


「……お、お金」


フレイヤ姉さん~、マジで俺の側室入ろうとか画策しないで欲しい、マジで。


だが、俺は重大なことを忘れていた。そう、俺はシエナに告白している最中だったのだ。


「ねえ、レオ君、ちょっといいかな?」


「あ!? ごめん、邪魔が入ったけど、シエナの気持ちは?」


シエナはさっきまでと同じ真っ赤な顔だったけど、何故か目は潤んでいなかった。


どっちかと言うと、ハイライトが消えた目をしていた。


「この、女ったらしいぃー!」


バチーンと盛大に平手打ちの音が響いた。


なんでこうなった? 俺には皆目わからなかった。

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