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42支援職の幼馴染、処刑される

俺は処刑場に来ていた。帝都から俺の故郷の国、サンテマリノ王国に立ち寄り、主人のアリスと国王陛下に挨拶をして宿に戻ったところで突然の来客があった。


客は聖女アナベル様だった。


聖女アナベル様は王女であるアリスへの挨拶もそうそう、突然俺の前で膝を折り、俺に詫びた。


あまりに急なことで驚いたが……アナベル様が俺に伝えたことは衝撃的なことだった。


それは……シエナが……いや、俺の幼馴染のシェニーが処刑された。


シエナがあのシェニー? シエナはシェニーだったのか?


その事実に驚いた上、シェニーが処刑された。それも勇者パーティが聖女アイリス様を死に追いやった罪を被って。


アナベル様は泣いて俺に謝った。彼女は実の妹のアイリス様を死に追いやった勇者パーティの悪行を暴いた。そして、国王にその罪を断罪するように求めた。


そして、その結果もたらされたものは……


奴隷の義務の不履行。奴隷であるシエナは聖女アイリス様の身代わりとして死ぬべきであったと断罪され、死刑にされた。


アナベル様は勇者パーティと共に行動たことがあり、シエナに全く罪がないことを知っていた。


そう、全てはあの悪辣な勇者アーサーのせいだ。しかし……勇者アーサーはこの国の王子であり、国王は我が子かわいさのために、無実の奴隷シエナ一人に責任を負わせた。


シエナの刑が執行されたのは3日前だった。


俺が処刑場に着くと、シェニーがいた。首だけが、晒されていた......


俺は膝をついた。頬に涙が伝った。俺の心のよりどころだったシェニー……家族から追放されても、シェニーだけが涙を浮かべて俺を見てくれた。


勇者パーティの頃も、シエナだけが俺を支えて、気遣ってくれた。


それに! それにシエナは無実なのに!


涙が止まらなかった、嗚咽が止まらなかった。


「お前、こいつらの知り合いか?」


誰かが来た。


この街の市民だろう。身なりは貧しそうだった。


「俺の妹が餓死して死んだのに、こいつらは豪華な飯を食って」


「私の子供も栄養が足らなくて」


「お前も仲間か?」


「そうです。仲間です」


『ビシ』


石つぶてが飛んで来て、頭に当たる。


たくさんの石つぶてが飛んで来た、顔や頭に当たる。俺はひたすら堪えた。


彼らの気持ちはわかる。勇者パーティは悪名高い、この国は飢饉に瀕していたが、勇者パーティはあちこちの街で、食糧も金もない街の人達に無理に豪奢なパーティを開かせた。皆、食べるものも満足にないのに、勇者アーサーと剣聖エミリア、魔道士ルビーは豪華な食事と酒に酔いしれていた。だけど、俺やシエナは一度も参加したことがなかった。


シエナは無実なんだ、なのに!


でも、彼らが俺やシエナへの嫌悪の気持ちがなくなる訳もないのもわかっていた。


勇者パーティはそれほど嫌悪されていた。


しばらくすると彼らはいなくなった。夕暮れ時だからだ。


そして、時間が来た。首が晒されるのは3日間。


そろそろ時間だ。


そして、再び俺に声をかける者がいた。


「あんた、この子の知り合いか?」


男だった。奴隷……処刑場の処刑人だろう。


「俺の幼馴染です」


「お前の......」


「この子は本当に罪を犯したのか? 俺は学がない、罪状は書いてあるが、読めねえ。本当にこんな子が罪なんて犯すものなのか?」


「シエナは無実です」


俺は強く訴えた。


「何も! 何もしてない! ただ、奴隷だからという理由で殺されたんです!」


「わかった」


男はそういうとシエナに近づき、彼女の髪を一房切った。


『遺髪』だ。


「これを持っていけ、この事は黙っていろ、俺が罪に問われる」


俺は男に礼を言うと、いくらか金を渡した。


目的は遺髪だった。聖女アナベル様が教えてくれた。


シエナの遺髪を手に、聖女アナベル様の教会へ行った。


俺はシエナを教会の片隅に弔った。重罪人は埋葬も葬式も許されない。


体は魔導兵団の新しい剣や魔法の試し斬りに使われる。


その後はごみとして投棄される。


重罪人は全てを踏みにじられる。


密かな葬儀、俺の他、アリス、シャーロット、クロエ、そして聖女アナベル様が参列してくれた。


シエナにはお墓を作ってあげられなかった。咎人には埋葬も墓も許されない。


シエナの遺髪を百夢花の木の下に埋めた。……シエナが故郷を懐かしめる様に。


……


……


……


俺の中で何かが爆発しそうだった。


その時、俺に声をかける者がいた。


「……レオ、久しぶりね」


「……ね、姉さん、どうしてここに?」


「さあ、どうしてだろうね。……ただ私はここで」


姉さんがそう言った瞬間、姉さんの首がゴロリと転がった。


……


……


……


姉さんの後ろには、いつの間にか、俺が倒した筈の魔族四天王、ジョシュアが立っていた。


「あ”あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” !!!!!!!!!!!!!!!」


俺の叫び声と共に、俺の中の何かが壊れた。




「と、言うのが剣聖様から伝えられた未来? だったのではないですか? フレイヤお姉さん?」


「ど、どうして……どうしてあなたが生きて……る……の……シェニー」

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