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38支援職は真の魔族四天王と戦う

ゴトン、ゴトン、魔族四天王の両腕が地面に落ちる。


「さあ、一体どうやって俺に爆炎を撒き散らす気だ?」


「キ、キィェェェェェェェェェェェェエ!!!!!!」


俺は意地悪く言った。


爆炎魔法は両腕から爆炎を撒き散らすモノだ。


この魔族の能力は炎に特化したものだろう。


いくら魔族でも、複数の属性の魔法が使えるとは思えない。特に爆炎魔法はやっかいなものだから真っ先に両腕を切断させてもらった。


俺だけならいい……この場のエルフの人たちに被害がでる。


もちろん、これで無力化できた訳ではない。


通常の炎の神級魔法も使える可能性が高い。


「こ、こうなったら、我輩の神級魔法で!」


「ジョシュア様、頑張ってください。あたしが治癒魔法で両腕を接着します!」


加速。


俺は加速の符術を使った。


高速でジョシュアに近づくと両脚を切断した。


「ひ、ひぃ」


「何やってんの? このボケ? てめえ、あんなクズに負ける気?」


全く、この四天王……弱いけど、それより女魔族の醜悪さが酷いな。


「い、痛いザマス。痛い、我輩の両脚が痛いザマス!」


ようやく痛みが襲って来たか。


これなら魔法詠唱なんて満足にできないだろう。


「い、今治癒の魔法と身体強化の魔法をかけるから! あんな人間ごときに負けんじゃないわよ!」


「す、すまないざます」


!!


魔族四天王、ジョシュアは女魔族の治癒魔法で両足をたちまち接着した。


……その上。


ガキン!?


剣を抜いたや否や、俺に斬りかかるジョシュア。


「は、早い!」


「当たり前ざます! 人間風情にいつまでも後れをとっていると思わないで欲しいざます」


「何言ってんのよ! あたしがいなけりゃ、あんたなんてただのチンピラ魔族じゃないの!」


そうか!


魔族四天王という割にはあまりにも弱い。だが、こいつの真の強さは、この女魔族とセットで発揮される。神級の光魔法でも、こんな短時間で両手、両足を接着することなんてできない。


できるとしたら、聖女位だろう。


つまり。


「お前、エミリーとか言ったか? お前、聖女か?」


「はあ? 魔族のあたしが聖女な訳ないっしぉー! あたしは魔女! そう、魔女エミリーよ!」


「つまり、お前が本当の四天王か?」


「ふふっ! 気がついちゃったぁ? そうよ、あたしと組んだ魔族が四天王になんのよ。そう、確かに実質あたしが四天王しょ!」


!?


ガキン


「おしゃべりはそれ位にするざます。人間のお前達のことだから、身体強化の魔法か魔道具でここまで動けるざますけど、身体強化された魔族の動きについてこれる筈がないざます!」


「うっ!」


俺はジョシュアの剣をギリギリ剣で受けたものの、返す刀の剣をまともに脇腹に喰らってしまった。


「メンドクサイなぁー。もう、ジョシュアを最恐の戦士にするから、よろしくー」


「ちょ! エミリー! それって、わたくしに死ねって!」


「そうよ。メンドクサイから、最恐になる代わりに死んで頂戴。今まで散々いい思いをしたっしょー? だから、いいっしょ! あっはははははは!」


「そ、そんな! 裏切りざます!」


「はあ、何、それは魔族には誉め言葉っしょー。そら、さっさとあたしの最恐化魔法受ける!」


「ッ!?」


ズズズズズズズズッ


世界を震わすような地響きが、響き渡った。


見れば、漆黒の鎧を着た、魔族ジョシュアの姿が歪み、ありえない魔力の翻弄の圧が俺達を襲っていた。

俺は思い知った。俺はエルフのためにこいつと対峙した。


だが、俺は思い知らされた。


今までの魔族との戦いなど、無意味と思わせるものの存在を。


1000年前の悪夢の再来。そう、人類の敵。世界の破壊者――――。


人類の最大の敵――――それが魔王直属の魔族四天王だと言うことを。


「グアアアアアアア……!!」


ジョシュアは突然大声で叫んだ。それは人外の声だった。


何を言っているのかわからない。ただ、異形の声だという事はわかった。


「なんだ、これ……?」


俺は疑問の声をあげてしまった。ジョシュアはその姿を変化させ、理解できない物体となっていった。それは目玉、無数の目玉が俺達の前に現れた。


「人間、それがこいつの本当の正体! 受けるしょー」


魔族の本性、それは、本来、決してこの世に存在している筈もないもの。本来であれば、決してある筈のない異形のものなのだ。魔族以外の生きる者、例え魔物であったとして、生きているという事を理解できる形をしている。だが、魔族の本性には生き物として当たり前のそれがなかった。


「レオ様、気をつけて、嫌な予感がするね。何なのあれ? っていうか、どうやって戦えばいいのね?」


「クロエ、俺もわからない。だけど――あれは、人類の敵だ。この世界から細胞の一片だって消し去ってやる」


「レ、レオ様……怖いよ。お、お願い、無理はしないのね……」


「クロエ、何も心配するな……俺に考えがある」


「……レ、レオ様」


俺達のやり取りを聞いて、魔族エミリーが俺たちを嘲る。


「さあ、人間よ! 死んで! 魔族四天王の力が見れるんだから、本望しょー!!」


「……」


決してこの世に存在してはいけないものがある。


本来であれば、決して存在していないもの。


それが魔族、俺達の根幹には恐怖というものが襲い掛かっていた。


それは、本来存在してはいけないモノへの恐怖だろう。


だが、それを心で殺して剣を構える、すると。


シュルシュルシュル! と唸りを上げてたくさんの目が集まり、一本の短剣のような触手になった。


それは、更にいくつにもに別れて、凄まじい勢いでクロエを貫こうと迫っていた。


「ま、まさか……」


そして、複数の短剣がクロエを貫いた。


「けふっ!?」


「ク、クロエ!!」


俺は慌ててクロエの元へ飛びこみ、クロエを貫く短剣のような触手を切り裂いて後ろへ下がる。


「へえ、人間にしては中々やるわね。命と引き換えにMaxまでドーピングしたジョシュアに対してそこまで動けるとはね、でも、最後は惨めに命ごいするっしょー」


「クロエ、今、治癒魔法をかけてやる!」


「……レ、レオ様」


「喋るな、治癒したら、少し離れたところで、自分の身を守るだけに専念してくれ!」


「は、はい、わかったのね」


俺は高速で移動し、魔族の目の一つを剣で粉砕していた。


簡単に粉砕できる目、だが、目は無数にある。


これがとてもダメージになっているとは思えん。


「ならば!」


魔族はたくさんの目を俺にに向かって襲い掛からせた来た。ギリギリギリ! 異音を奏でて襲い掛かってくる眼はかなりの数だったのだが、俺の剣の腕前によってたちまち数百がブツブツっと切り裂かれる。しかし、それは戦術を間違えていた。


「くっ!?」


「レオ様!」


切断された眼から毒々しい色の液体が飛び散り、その一部が俺の身体にかかった。すると、ジュワっという音と共に煙が上がり、俺の服が焼けただれてしまった。


「毒液か? 魔物にそういう類のものもいるけど、魔族の目玉おやじもまさにそうだったとはな!」


「レオ様! 気を付けて!」


「ああ、わかってるよ。クロエ!」


俺が斬りつけた目玉は数百にも及ぶのに、目玉たちは分裂、再生を繰り返し、再び先ほどとほぼ変わらない数になる。少し位の斬撃では、大したダメージを与えられないようだ。敵の数が圧倒的であり、しかも下手に反撃すればこちらの方が甚大なダメージを負うことになる。俺にはダメージを与える術がなく、回避に徹する。だが、いつまでもそんなことを続けていれば、俺の体力が底をついた時が敗北の時となる。


「それなら!!!!」


俺の叫びと共にゴウッと唸りを上げて、剣に激しい闘気が渦巻く。それは、魔族をもってしても目を見開き、恐怖するしかないものの筈だった。俺はありったけの闘気を集めると、剣にその力を注いだ。そして、俺の得意な剣の奥義。


「冥王破妖斬!!」


魔族は、その攻撃が自身にとって危険であることは理解していただろう。だが、理解していてもそれを避ける術はヤツにはなかった筈だ。俺の剣はヤツに逃げる場所等与えなかったのだ。周囲数百メートルがその影響範囲だ。そして、ヤツは少しでも防御する為だろう。目玉が集まり、再び魔族の姿へと変わる。そして、魔力を駆使して、魔法壁を作り、防御態勢を必死に整える。そんなヤツを俺の剣の奥義、冥王破妖斬の斬撃と闘気奔流が飲み込む。


だが。


「人にしておくのは惜しいね――でも、その程度でこいつを倒すことができると考えていたのなら、甘すぎっしょー」


女魔族の声の直後、闘気の残照が消えてった後には、一切ダメージを受けていないジョシュアの姿があった。いや、少し位はダメージ受けていると信じたいが、ジョシュアはなお、そこに無傷であり続けていた。


「なんだと……」


そして、再び魔族が多数の目玉に姿を変えると、目玉が短剣の形に姿を変え、それは俺の身体を貫いた。

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