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28幼馴染は後悔する

「は!」


私は寝汗をかいて嫌な夢から目覚めた。夢? いや夢ではない筈だ。私は……死んだ筈?


「ようやく目を覚ましたようね。3日も眠っていたのよ」


「せ、聖女さま?」


目を覚ますとそこは冒険者ギルドの病院のようで、聖女アナベル様がいた。


「わ、私は何故生きているのですか?」


「私のユニークスキル『聖騎士団』でアークデーモンを滅ぼして、あなた達を復活させただけよ」


「え?」


ユニークスキル『聖騎士団』。聞いたことがある。聖女には特殊なユニークスキルを得る者がある。その中でも最強クラスに強力なのが聖騎士団だ。聖女専用の騎士団。召喚魔法の一種だが、呼び出されるのは神の使いである天使の騎士団。


「私の妹が勇者パーティと帯同中に死亡したって……ね。あの子は私みたいに戦闘力はないけど聖女としての治癒力は私より優秀だった。あの子が生きていれば何人の人々が助かったことやら……実際、あの剣聖エミリア達は私では完全に復活できなかったわ」


「ご、ごめんなさい聖女さま。わ、私がちゃんと肉壁を務められなかったばかりに」


「そんなことを言うのはおよしなさい。あなたとビアンカさんはまともな人です。ですから自分を卑下するようなことは止めてください。そうでないとアイリスが浮かばれません」


聖女アナベル様がアイリス様の姉だった。知らなかった。しかも自分まで復活させてくれるなんて……奴隷の私を……聖女様に復活魔法をお願いする際は貴族ですら没落しかねない寄付が必要だ。その貴重な復活の魔法、セイクリッドリザレクションを奴隷風情の私に使ってくれた。あまつさえ私のことを……まともな人……だなんて……私はまともな人じゃない。レオ君にしたことを考えたら咎人だ。


「せ、聖女様。私はまともな人間なんかじゃありません。死んだ方が良かった人間です。御恩は感謝します。でも、どうせ救うなら……もっとまともな人に……お願いします」


「レオ君のことね?」


「ど、どうしてレオ君のことを?」


不思議だった。レオ君のことはアナベル様に話したことはない。なのに何故?


「アイリスからの手紙にあなたのことが書いてあったの。だからあなたが以前のパーティメンバーのレオ君に対して罪悪感を抱いているって……あなたは悪くありません。あなたにそんなことを強要した勇者アーサー達が悪いのです」


「ち、違うのです。それだけじゃないのです!」


泣いた私にアナベル様は笑顔を向けてくれた。


「それもアイリスから聞いてます。子供だったあなたが責任を感じる必要はありません。あなたが罪悪感を持つこと自体があなたの善性を証明する証です。ですから自分を責めるのはおよしなさい。レオ君は立派な人のようね。きっとあなたのことを悪くなんて思ってないわよ」


「せ、聖女様ぁ!」


私は聖女様の赦しの言葉に涙が溢れて来た。


「ビアンカさんも昨日目覚めたわ。だから安心してね。それと、これから私は勇者アーサーとエミリア、ルビーにちょっとざまぁして来たいの。私達聖女だって人間よ。どこまでも清らかな心なんて持てない。アイリスの手紙で彼らがどんな人間かわかったわ。だから彼らを試した。私は彼らを見極めたの。本当に報告の通りアイリスが事故で死んだのなら私に危険が及ぶ筈がない。でも、自分の目で見てはっきりわかった。アイリスが死んだのは勇者アーサーに見殺しにされたに決まっているわ。だから教えて? アイリスがどういう風に亡くなったのかを? 安心して、アーサー達があなたに危害を加えることは許さないわ」


私はアナベル様にアイリス様が亡くなった時のことを話した。バレたら勇者アーサー達の報復が怖かったが、話した。アナベル様を信じた? いや……信じてはいなかった。アナベル様自身が言っていた。聖女も人間だと……アナベル様が真実を聞き出すために嘘を言っている可能性はある……でも私は話した。当然だ。どうせアナベル様のおかげで拾った命……アナベル様のために無くすならそれは私の命の使い方としてはマシな方だと思えた。少なくても勇者アーサーのために肉壁として死ぬ運命より遥かに意味ある死に思えた。


全部話すとアナベル様は私を抱きしめて泣いた。当然だろう、自分の肉親がアーサーなどのために犬死したのだから……だが、アナベル様から出た言葉は意外なものだった。


「あなたが生きていて良かった。アイリスの死は無駄じゃなかった。あの子は立派な聖女でした」


聖女とはこれ程清らかな人達なのか? 私は半分アナベル様に騙されていると喋ったが、どうも違うようだ。一通り話すとアナベル様はこう言った。


「あなたは勇者パーティから抜けることができます。昨日サンマリノ王国の国王と話がつきました。あなたは明日奴隷商に引きわたされます。ごめんなさいね。あなたを奴隷から解放することはできないのです。私の一存でそんなことをすれば……それに聖女は金銭をほとんど持ち合わせてなくて……」


「い、いえ十分過ぎます。こんなに良くしてもらって、ありがとうございます」


聖女様はやはり清らかな心の持ち主だった。奴隷にこんなに良くしてもらえるなんてあり得ない。これから奴隷商に売られて新しい主人に買ってもらう。


勇者アーサーは性的な方向では私を必要としなかったけど、新しいご主人様はきっと……女奴隷にとってそれは当たり前のことだった。


『こんなことならレオ君にもらっておいておけば良かった……私の初めて……』


男の人は初めての女性を好むと聞いたことがある。ならせめてレオ君に……私だってレオ君なら嫌じゃない……むしろ……。


ああ、私はレオ君を愛してたんだ。


自分の心に気がついて、途方にくれた。奴隷の私には叶わない恋。


何とか身請け料を払って平民になれれば……でも、レオ君にあんなことした私には……資格ないよね? ね? レオ君?


あくる日私は奴隷商から出荷された。

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