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博多商人死す~前編~

第五話


――そして時は戻り、商人たちは刺客「黒羽黒組」を雇った後、蜷尻家を襲撃することとなった。

刺客「黒羽黒組」総勢45名。全員が屈強の男達であり、中には先の元寇合戦に参加したものもる。

彼らの仕事はただ一つ。借金取りとして、蜷尻家に殴り込みをかけるだけだ。

商人がこの胡散臭い者共に仕事を請け負った理由は簡単。依頼料が恐ろしいほど安かったからだ。


刺客「くひひっ、それにしても良い稼ぎになりますぜぇ商人の旦那方。」

刺客の一人が言う。

蜷尻家の者たちは、借金を踏み倒そうとした罰により一族郎党皆殺しとなるはずだ。

その後、家や武具等を丸ごと懐に入れることができる。こんなおいしい話は滅多にない。

ちなみに、一族郎党皆殺しといっても、実はとある理由で本命の蜷尻豊久が助かる仕組みになっていたのだが、それを知っているのは彼ら刺客のみ。


準備を進める中で商人に対して國宗が、

國宗「おっといけねえ。商人の旦那方、俺達が襲う蜷尻という男の似顔絵はござらんか?出来るなら上等な浮世絵師で。」

商人「あるぞ。これがそうだ。」

國宗はその絵を見て、

國宗「(ゴクリッ)よし、これで間違いなさそうだ。かたじけない。」

と言った。


商人「なんね、こいつん顔ば調べてどうする気かね?」

國宗「いえ、実はちょっと知り合いなので。もし生きていたら助けたいと思いましてな。」

商人「そりゃ無理な相談ばいな!契約にはこいつらは族滅ちゅう約束になったはず。」

すると國宗はニヤリと笑いながら言った。

國宗「ふっ、冗談ですよ。まあ見ててください。」

そう言って彼は刀を手に持ち、蜷尻家急襲を開始した。


――そして現在 商人たちが襲撃の準備をしている間も刺客「黒羽黒組」は着々と準備を整え、蜷尻の館の偵察や、武器を集めたりしていた。


刺客A「伝令!!奴らが動き出したようですね!」

刺客B「ああ、そのようだな。だが慌てる必要はない。國宗様が戻られるまではここで待機だ。」

刺客A「へいっ!!・・・にしても、なぜあんな安い値段でこんなちんけなシノギをしなければならないんですかね???」

刺客B「まったくだ。國宗様に聞いた話では、借金を返さない馬鹿どもがいるらしいからな。それを懲らしめろということだろう。」

刺客C「まあ、俺は金さえ貰えればそれでいいんだがよぉ。しかしあいつらの親玉である蜷尻って野郎はどんな面なんだろーなぁ?」

刺客A「さぁなぁ?でも風の噂だと相当ブサイクらしいぜ?」

刺客C「そいつは楽しみだぜw」

刺客B「おめぇら無駄口たたくんじゃねぇ。あと5分でここを出る。各自、抜かりなくな。」

刺客一同「おう!!」


―――刺客終結の少し前、國宗は

國宗「・・・ウッ・・・ふう・・・、やっと会えたね蜷尻どん♥」


君たち読者(いるのかな?)は覚えているだろうか?第2話にて酒盛りをして楽しんでいた時に突然大太刀をもった若者の事を。

彼の名こそ國宗であった。彼は蜷尻を合法的に手籠めにする為商人に近寄りこの仕事を承ったのだった。


商人「おいおい、大丈夫かあんちゃん!?ちかっぱ汗ばかいとーが・・・。」

國宗「ん?ああ問題ありません。ちょっと昔の夢を見ただけですから。それより商人殿、例のものは持ってきましたかな?」

商人「おお勿論持ってきたぞ。これだ。」


そういうと商人は紙に包まれたものを渡してきた。

國宗「ふむ、確かに受け取りましたぞ。では早速作業にかかります故。」

そう言うと國宗は包みを開き中に入っていたものを刀で切り裂いていった。

そしてその中から出てきたものは・・・?

商人「おや、こりゃ一体何とな?」

國宗「ふふっ、それはね・・・」

そう言って國宗は自分の右眼の眼球を取り出したのだった。


――そして現在に戻る


刺客A「頭!!もうすぐ時間です!」

刺客B「分かった。全員配置につき次第攻撃を開始する。ただし当主の蜷尻だけはくれぐれも殺すんじゃないぞ。生かして捕えるのが今回の仕事だからな。」

刺客C「了解しました!!」

刺客たちはそれぞれ所定の位置に着きその時を待った。


刺客A「敵さん準備はできたみたいですね。」

刺客B「ああ、だが油断するなよ。相手はあの元寇合戦で有名な蜷尻だ。どんな手を使ってくるかわかったもんじゃない。」

刺客C「そうだな。念のため気を引き締めていこう。」

刺客A「それにしても國宗様遅いなぁ・・・」

刺客B「きっと何か野暮用があったに違いない。もう少し待とう。」

刺客A「そうっすね・・」

刺客B「・・・しかし、遅いな・・・」

刺客A「本当に遅いっすね・・・」


刺客B「おかしいな???」

刺客A「まあ、しょうがないでしょう」

刺客C「どうやらそろそろ時間のようだな」

刺客A「そのようですね!よし、みんな行くぞ!!!」

刺客一同「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


刺客たちが一斉に行動を開始したその時だった。


蜷尻「待たせたのう!!さぁ始めようではないか!!」

突如として現れた蜷尻らが刺客たちの目の前に現れたのだ。


刺客A「なんだこのお兄さん!?ほッ・・・いつの間に!?」

刺客B「そんなことは今はいい!早く奴を捕えるんだ!!」

刺客C「俺に任せろ!!秘剣『鼠返し』!!!」

刺客Cが放った必殺の一撃は蜷尻に向かって一直線に向かう。

刺客A「決まった!!」

しかし次の瞬間。


グサァ と肉を突き刺した音が辺りに鳴り響いた。

刺客A「え?」

刺客B「おいおい嘘だろ・・・?」

刺客C「貴様!?・・どこから・・・」

尾脇「ふん。最近ん刺客とやらもこげなとか」

なんと尾脇の手には刺客Cの心臓部が抉られていた。

そしてそれを目の当たりにした刺客達は言葉を失いその場に立ち尽くしていた。

刺客A「こ、こいつらは化け物だ!!!逃げろー」

すると刺客の一人が恐怖に耐え切れず逃げ出したのだが・・・。


「「「「「刺客どもは族滅じゃあああああああああああああああああ」」」」」

と嵐のような鬨の声で蜷尻・尾脇の武士たちが一斉に襲い掛かってきた。


刺客A「囲まれた!?まずい!」

蜷尻「何がまずい?申して見よ!」

刺客A「ぎゃああああああああああああああああああああ」


刺客B「くッ、お前たち!!散開しろ!!」

あっけなく惨殺される刺客たちは、各々散らばって攻撃を避けようとした。

だが、逃げる刺客Bの足が何かによって躓いてしまった。それを見ると、

刺客B「なっ!?一体誰が!?」

寝藁で隠されていたが、そこには既に死体となり全身血まみれになった國宗の亡骸だった。


刺客B「國宗様!?なぜこのようなお姿に?」

蜷尻「ふふふ。答えは常世であの破廉恥物に聞っがえ!」

と言って蜷尻は刺客Bを殺害し、全ての刺客を皆殺しにすることが出来たのだった。


――

――

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