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博多商人借金返済大作戦

第四話


ついに博多の町に平穏が訪れた。

しかし、それとは別にまずしなければならないことがある。それは・・・


蜷尻「金策せんなぁぁぁぁ!」


私は集まる家臣たちに向かって声を上げた。

私の武士団は莫大な借金がある。それもこれもあの元寇共が原因なのだ。

だがしかし、奴らが逃げた以上、我々には時間がない。

金が無いというのはつまり、返済することが出来ないということだ。

商人たちからは返せる見込みもないのに大量の金を借りているし、このままでは武士団が路頭に迷ってしまうだろう。

だからこそ、早急に金を集めなければならないのだが・・・


尾脇「そもそも、商人から借った金ばどげんして返すか考えとるとか?」

蜷尻「いえ、全くもって」

私は首を横に振る。

尾脇「やったら、考えるまでもなかろう。」

そう言って雀右衛門は立ち上がる。


尾脇「商人どもから借った金ば返しゃず、踏み倒すしかなかばい!!」

私は雀右衛門に叫ぶ。


蜷尻「そげんこっが出来っわけなかじゃなかと!!そしたやあては斬首じゃ!!」

尾脇「蜷尻どん!貴様の頭は馬糞で出来とるんか?だいたい、今更返しても無駄なんよ!わしはあいつらに大金ば貸す代わりに保証人となった。当然うちも返す事は出来ん。おはんの借金はわしん借金でもあるばい。」

「「「そうばいぞ!殿んおっしゃることごもっともばい!」」」

と、他の武士たちも口々に言う。


雀右衛門が言い放った言葉に反論の余地はなかった。

確かに雀右衛門の言った通り、今から返したとしても意味はない。

私は覚悟を決め、雀右衛門に問うた。

蜷尻「雀右衛門・・・どげすれば良い?」

雀右衛門は立ち上がりながら答える。


尾脇「殿、うちが思うに、まずは商人たちば皆殺しにするべきばい。それから、商人たちん持ち物ば売り払えばなんとかなるやろう。」

蜷尻「馬鹿もん!雀右衛門どん!!そげんこっ出来っ訳無かろ!?」

尾脇「いや、出来るばい。」

蜷尻「ないごてだ?我が主んあてが命じたとしてん無理な事くれ分かっちょっであろう!」

雀右衛門はニヤリと笑いながら答えた。


尾脇「・・・「商人がわしらの取り立てに腹を立てて族滅を仕向けた」・・・これならどうやろう?」

私は衝撃を受けた。確かにそれは筋が通っているように思えるからだ。

それに、この方法ならば「商人たちが自分たちを追い込んだ原因を作った」のだから、お咎め無しの可能性だってあるだろう。

何より、今の我々には時間がないのだ。

ならば、一刻も早く行動に移したほうがいいだろう。私は雀右衛門の提案に乗ることにした。


蜷尻「それで行こう!まずは商人たちに策を弄しよう!!!」

こうして、私達は商人たちを罠へとハメるべく策を練ることになった。


そして、1か月の日が経った。――――――――――――


商人たちは今日もいつものように店を開き、商売をしている。

しかし、今日の彼らにはいつものような活気が無かった。

その原因は一つ。

先日、武士団の長である蜷尻強右衛門豊久によって出された手紙である。

内容はこうだった。


『わいたちん借金は返済せん。もし取り立てを行った場合一族郎党全てを殺す。』


もちろんこれは冗談だろう。そう思いつつも、万が一本気であった場合を考えてしまう。

そうなれば、彼らに残された道は二つしかない。


「あの男の機嫌を取るために金をせびられるだけ貢ぐか、もしくは刺客を送って殺して一切合切むしり取るか。」


そんなことを商人たちが考えている中、一人の男が彼らの前に現れた。

?「お初にお目にかかる。私はこの博多にて刺客をしております、國宗くにむね 紀久のりひさと申します。以後、よろしくお願い致します。」

商人たちの前に姿を現したのは、博多の刺客を名乗る國宗という男だった。商人の一人が彼に問いかける。

商人「一体貴方はどげん用件でここしゃぃ来られたんかな?」

すると彼は、

國宗「蜷尻という男に困っていると風の噂で。お主たちの借金取り立ての手伝いに来た。」


は?何を言っているんだこいつは? 商人たちの間に動揺が広がる。

そりゃそうだ。いきなり現れて、「私が来た!」と言われても信じられるか!!と。

しかし、藁にもすがらないわけにはいかない彼らは、彼の話を聞くことにした。


商人「どげすれば良かかな?」

そう尋ねると、

國宗「簡単なことだ。おぬしらは我らが刺客「黒羽黒組」を雇え。その後、蜷尻強右衛門の自宅を襲撃し借金を完済させる。」

商人「なぬ?」


なんだそのふざけた名前は? それに、借金を返すのに刺客を雇う意味はないのではないか?

そう思った商人だったが、彼らが貸した金は大金であり、返済できないのであればケツの毛一本でもむしり取るべきなのは絶対必要だ。

商人「・・・・分かった。頼む。」

こうして、商人は刺客「黒羽黒組」を雇い、蜷尻への借金返済へと向かうことになった。


――一方その頃、蜷尻たちは

尾脇「しゃぁて、そろそろ奴らも動く頃合いとね。」

蜷尻「そろそろやろうね。まあ、おいはまだこいで上手きくとは思うとらんなじゃけどねぇ。」

尾脇「大丈夫ばい!きっと上手ういくばい!!」

蜷尻「まぁ、もう雀右衛門を信ずっしかなか。さあて、そいでは作戦会議を始めようか。」


「「「「「応!!!!!」」」」」


――

――

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