海上襲撃!夜襲をかけた鎌倉武士!
第二話
そして、翌日
私たちは引き続き敵の遺体から戦利品を回収した後、再び元寇討伐へ向かった。
これが日の本ならば今頃博多の街で戦勝祝いだったが、元寇の侵攻激しくそうは言ってられない状況であった。
しかし、目立った首級はほとんど鎌倉幕府御家人の少弐氏、大友氏らが挙げており、我らは美味しい戦場にありつけず日々不満をためていた。
そんなある日のことである。
武者A「おい聞いたか?なんでも九州各地の農民どもが元軍の残党狩りをしているらしいぜ」
武者B「なんだと?」
武者C「ほんとかそれ?」
私は驚いた。まさか元軍があれだけ暴れたのに戦う気なのか?
・・・まあ、合戦後に毎回落ち武者狩りしている逞しい戦闘民族のような農民がうじゃうじゃいるこの九州。
元寇もさぞはた迷惑だろうなぁと思っていると、
武者A「ああ、どうもそういうこと(落ち武者狩り)ではないようだ」
武者B・C「「ん?」」
武者A「何でも、此度の戦による徴収(意味深)により九州各地で飢饉が起こっておるそうだ。食料を得るためとのことで盗みを働いているらしい」
武者B「ほう、それはまたご苦労なことだな」
武者C「ああ、だがこれで我らの元寇退治も少しはやりやすくなるかもしれぬ」
武者A「しかし、少弐・大友氏によって「勝手な襲撃は許さぬ」との令によって陸路がダメになった為、あいつら海路から元寇の停泊船に入って盗みを働いてるそうだ。」
武者B・C「「なるほどな~、まったく九州の農民は逞しか!」」
私はこの話を聞き、ある考えを思いついた。
蜷尻「こっそり夜中に元寇から略奪&族滅して、此度の借りを返してやるわい!」
私達は意気揚々と部下に計画を話した。
蜷尻「夜襲ばい!夜襲ばい!夜陰に乗じて元寇を襲撃して、金目の物と首を根こそぎ奪うのだ!」
「「「おお!!!」」」
こうして我々は深夜2時ごろ、元寇を襲撃した。
私はまず、元寇の船から船員をあぶりだすためには火矢を放って船を焼き払い、ついでに煮詰めた糞尿や牛馬と人の死体を徹底的に投げ入れ、乗船した。
乗っていた兵たちは余りの臭いと暑さで簡単に甲板に出てきた。
私は「元寇は族滅じゃあ!」と鬨の声を言って士気を上げ、武士団で彼奴らを散々痛めつけ、殺害した後、
元寇の首級を上げて逃げ帰った。
こうして博多の夜、海では凄惨な事件が起こったのだった。
私達のあげた首級はたった1夜で10にも上り、我々の憂さ晴らしは完了した。
こうして我々が元寇を襲った一連の騒動は、
『蜷尻騒動』として室町時代初期まで九州の1部で伝わることになるのだった。
この大勝利をきっかけに我が家臣団は1夜にして120両(約960万円)の大金を稼ぐことが出来(当時の武士の平均俸禄は約300石。1石=4万円)、皆で戦勝祝いの酒宴を催すことにしたのであった。
昨日の戦いの後、部下たちは奪った軍船の船員たちを捕まえて慰み者(意味深)にしていた。
私はその様子を見つつ酒盛りをして楽しんでいた。
すると、そこに突然大太刀をもった若者が現れた。
どうもこの若造が私のことを気に入ったらしく、いきなり「俺のものになれ」と言って来た。
私が無視し続けていると「おはんの事が好きったい♥」と無理やり犯そうとしてきやがったので、殴って黙らせた後腹に一撃を入れて海に捨ててやった。ざまぁw
「おぬしら何やってんだ?」と他の武士団の部下たちが呆れていたその時、一人のご老体と数人の侍がこちらに向かってきた。
老人「わしの名は邊 仁左衛門 蝶二(ぴょん にざえもん ちょうじ)と申す。此度は博多湾での元寇討伐、まっこと見事であった。」
私は、(なんだこのおっさん?)と思いつつも適当に対応した。
蜷尻「いや~それほどでもなか!おいはこれぐらいのことしか出来ませんばい」
邊「謙遜する必要は無か!この歳であの大軍を相手に一歩も引かずに夜襲を仕掛け、戦い抜くとは見上げたものでごわす。」
「「ごわすごわす!」」と他の武士たちも賛同する。
(あれ?意外と好評?もっと馬鹿にしられると思ったのだが・・・まあいい。褒められて気分が悪くなることはない。)
と心の中で思いながら、
「お主らも海で夜襲を仕掛ければ、元寇の首も宝物も乱取りしほ・・・」
と言ったところで私は気がついた「あ、これはマズイ・・・・」 と
邊「うむ?どうされたかのう???」と言うご老体に対して、
私は「いや、関係なか!」と話を切った。
蜷尻「あ~もう疲れたけん、宴はしまいじゃ。帰らせて貰おうかね。明日また博多の戦場で!」
と私は言うと部下と共にそそくさと陣に帰った。
次の日の夜、私達は引き続き元寇から再度戦利品と首級を略だ・・・回収しようとしたが、先ほどの元寇襲撃の話を聞いた邊氏は早速、
邊「夜襲ばい!夜襲ばい!夜陰に乗じて元寇を襲撃して、金目の物と首を根こそぎ奪うのだ!」
と、我々の戦法を盗み実践していたのであった。
また、此度の襲撃以降元寇の兵たちが警戒してしまい、博多の海岸付近に大量の兵を配備されてしまい、元寇達も海の奥に引っ込んでしまった。
なので首や宝物を回収したくてもなかなか手が出せない状態となってしまった。(それでも、武士団は夜更けを待っては海へ出て略奪を行っていたが。)
こうして、またも貧乏武士に戻ってしまった私は海に向かって
蜷尻「元寇ども!!首ば持ってこんかー!!」
と叫ぶ毎日を送る羽目になってしまったのだ。(́・ω・)
――
完
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