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鳥がいた。
「ダメよ...!帰らないで...!」
「私のこと、介抱してくれなきゃ...!」
「え」
「ちょっとお腹空いたのよ...。
何か作ってくれるとか、その、お風呂を沸かしてくれるとかしてよ...」
「ええええ」
「ほら、部屋、入ってよ...!」
酔っ払って、力が抜けてるはずなのに。
帰ろうとしてる俺のスーツの裾をぎゅっと
掴んで。
はなそうとしない。
もしかして、大分、酔いさめてきた?
てかさ。
だったらもう、俺、帰ってもいいよね?
用済みだよね?
結局のところ。
俺のスーツの裾は引っ張られ、
破けるかと思ったので、俺は彼女の部屋に入る事にした。
「お邪魔します...」
廊下を歩き、リビングへと
通されたその時。
バサバサバサバサっと。
羽音がした。