7/16
姫抱っこしろとかマジかよ
「何よ...その顔...上司の言う事、聴けないって言うの!?」
「あ、や、俺はもう、あなたの部下ではありませんし...」
「じゃあ、身体から力が抜けて困ってる女のひとのこと、助けられないって言うの?」
俺は折れた。
「はい、分かりました。
直せばいいんですね...」
その後。
目のやり場に困らなくなったと思ったら、
今度の命令は重労働だった。
「ありがと...次は...姫抱っこで、私の家まで送って頂戴」
「ええええええ...」
「何よ、その嫌そうな顔...」
「私、そんなに重くないわよ。
ほら、くびれもあるの。結構痩せているんだから...」
そう言ってスーツの上着をめくって見せて。
綺麗なボディラインを俺に見せつけてきた。
「山野井さん、相当、酔ってますね...」
「体重は44キロなの...。その上腕二頭筋なら
軽々と運べるよね...?腹筋も凄そうだし...」
俺は確かに、学生時代は
バスケの強豪校のバスケ部にいたから、
マッチョといえばマッチョなんだけどな。
山野井さん家がどこか分からないからな。
そこはそれ、姫抱っこでどこまで運んだらいいんだわからないのはごめんだぞ。