66.新能力テスト
「久々っスねぇ、岩飛び兎の山!」
「ここそんな名前だっけ?」
「違う」
「わぁ、本当にウサギがそこらじゅう飛び跳ねてますね……!」
「はいはい、女性陣、合体能力の準備してー」
僕らはワイワイと、まるでピクニックのように『岩飛び兎』のいるラビト山に来ていた。
「はい、では私から……『速度低下』!」
ブライアが敵の速度を低下させる弱体化能力、速度低下を僕ら全体に掛ける。
「おっ、けぇ~。じゃあ、私が~、『速度強化』~!」
ブライアの速度低下で若干間延びした口調になったリーピアが、今度は速度を上昇させる強化能力、速度強化を同じく僕ら全体に。
「おっし、じゃあ最後っス! 歩幅強化ッ!」
元の速度に戻った僕らに、すかさずレンジャーの職業固有能力、歩幅強化を。
本来ならそれは彼女にしか適用されない能力だが――
「お、おお!」
「凄いね!」
能力の開発に励んでいた女性陣以外では初めてその効果を身に受ける僕ら。
『超速強化』の効果は、劇的だった。
こんなスピードで身体が動かせるなんて、信じられない。
「時間は短いっスからね! さ、どんどん捕まえましょう!」
言って、やはり先陣を切るのはフリッター。
徒手空拳で、矢も使わずに『岩飛び兎』を捕らえるのが今回のミッションだ。
「よーし、やるぞっ!」
「うむ!」
「私たちもね、ブライア!」
「はい、頑張りましょう!」
そして、効果が切れる5分と経たないうちに、僕らは目についた全ての『岩飛び兎』を捕らえて、採取任務を達成するのに十分な毛を刈り取れたのだった。
「やったー! 大成功だね!」
「ここまで容易に行くとはな……」
「ま、実害ないタイプのモンスターっスからね」
「とはいえ、以前はあんなに捕らえるのに苦労したもんね。フリッター以外じゃ、こんな芸当できないと思ってたのに」
「やっぱり素のスピードの違うフリッターさんほどキレのいい動きは出来ませんけど、私、人生で最高に素早かったと思います!」
フリッター以外、僕らは身体を素早く動かせる嬉しさに大興奮していた。
「おっと、もう切れるっスね。男性陣は消耗、どうっスか?」
「性別で消耗が変わるとも思えんが……うむ、何もないな」
「だね。いやあ、心強い能力だよ、フリッター、リーピア、ブライア!」
こうして、女性陣3名の能力を組み合わせた合体能力『超速強化』の実験は、上々の成果を上げてくれたのだった。
因みに、本日の夕食は兎のステーキとなりました。
本当にフリッターの言ってた通り、肉が柔らかくておいしかったよ!
(つづく)
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