16.王都からの依頼
普段前書き書かないんですけどちょっと宣伝です。
今回は『まちがいだらけのプリンセス』や『妄想★マテリアライゼーション』とのクロスオーバーネタが多めです。そちらも気になった方は是非読んでみて下さいね。
https://ncode.syosetu.com/n6777gl/ 『まちがいだらけのプリンセス』
https://ncode.syosetu.com/n8271gl/ 『妄想★マテリアライゼーション』
「改めて、よろしくっス!」
「ああ、俺たちのほうこそよろしく」
「歓迎するわ!」
「フリッターさん、ううん、フリッター。これからはギルドメンバーだね」
僕たちは紆余曲折あり、4人目のギルドメンバーであるレンジャーのフリッターさんを仲間にした。
これで僕たちのパーティは……
僕:戦士系(軽装備)
簡単な攻撃魔法と特殊能力『短時間催眠』持ち(※リーピアとの協力で『無敵催眠』を発動可能)
リーピア:魔道士系(軽装備)
簡単な支援魔法と特殊能力『幻惑系限定バフ』持ち(※僕との連携で『無敵催眠』を発動可能。なお、彼女だけが催眠を限定的に解除可能)
ガルデ:戦士(重装備)
魔法の類は一切使えないが、大剣を武器にパワフルで強力な攻撃を繰り出せる。
フリッター:レンジャー(弓装備)
魔力を込めた弓による連射が可能。動きが素早く、罠などの発見・解除も得意とする。
というバランスとなった。
「割とバランスがいいパーティになってきたよね」
僕は言うが、リーピアは少し不満そうにしている。
「まぁ、基本的に私とスレイドがいれば『無敵催眠』で敵なしなんだけどさあ、回復担当がいないのよね、回復担当が」
「あぁ、それは思ったっスね」
フリッターも同意する。ガルデも続けて言った。
「神官……もしくは、白魔道士は欲しいところだな」
僕はうーん、と思った。
「そうだねぇ。確かに、回復役がいるのといないのとでは、冒険の難易度に大きく差が出るしね」
難易度云々を言ってしまえば、根本的に僕とリーピアが健在なら問題はない。
とはいえ、僕らが不意打ちなどを食らって『どちらかが戦闘不能』になれば発動できなくなる能力である、というポイントは押さえておくべき弱点だろう。
特に、今回は相手が友好的だったから何事も起きなかったが、僕が監禁された事件のときのような問題が起きたり、フリッターが悪意ある行動で僕らのうちどちらか片方を戦闘不能にするタイプの冒険者なら、僕らは負けていた。
「そっスね。アタシはそもそもアンタらが悪意ある人だなんて思わなかったけど、相手が悪意を持って近づいてきたら弓矢ぶっ放して殺してますし」
フリッターは中々怖いことを言う。しかし、そういった冒険者同士の殺し合いがあるのも事実である。
今回のように『鬼ごっこ』なんかで決着をつける冒険者のほうがむしろ少数派である、とも言える。
「やっぱり探そうか。回復役を」
今回のフリッターみたいに、都合よく仲間になってくれる上に僕たちの能力を黙っていてくれる誠実な人がいればいいんだけど。
「回復魔法を使う人間が誠実だなんて限らないしね」
リーピアは何やら見てきたような口調で言う。
ガルデも同意する。
「むしろ世の中、聖職者のほうがよっぽど汚い事をしている現実がある」
身も蓋もないが、教会と政治の癒着なんて珍しくもない。
自らが率先して腐敗する教会だってあるくらいだ。
「ま、気長に探しましょ。無理してSランクとか受ける気はないんでしょ? 受けても『無敵催眠』でラクショーな案件はいくつかあるかもっスけど」
フリッターのそんな言葉に僕はうん、と答えた。
「悪目立ちしちゃうからね。Aランクを真っ当な実力でクリアしつつ、たまにズルさせて貰うくらいが今のところは丁度いい、って僕は思ってる」
という事で、当面の目標はAランクのクエストを普通にこなしつつ、機会があれば回復魔法を使える神官、または白魔道士を探すことになったのだった。
◆◆◆
「あら『居眠りドラゴン』の皆さん、新しい仲間が増えたんですか?」
冒険者ギルドの受付のお姉さんが、僕らに話しかけてくる。
「うん、そうなんだ。レンジャーで、フリッターっていうんだ」
「よろしくっス!」
「はい、元気いい挨拶ですね。ふふ」
それからお姉さんは思い出したように手をポンと叩いた。
「ところで、『居眠りドラゴン』の皆さんに直々にやってもらいたいクエストが届いてるんですけど、受けてみますか?」
僕らはざわめく。
名指しのクエストなんて、初めてじゃないだろうか。
「案件によってはお受けできかねますが、聞かせてもらえますか? 皆も、良いかな?」
僕がギルド代表として、そう切り込んでみた。
皆は一斉に頷く。
「では……」
◆◆◆
いわく、王都ベルロンド付近にある『ドラゴンの道』にて、近々『勇者』と『聖女』なる存在が『魔王』を倒すための行脚を行うという話であった。
勿論それは、多くの勇者候補とそのお供でしかないのだろうが……
王都に住んでいる『ある金満家の魔道士』が、僕たちに『世界を救う勇者と聖女がいるのなら手助けをしてあげて欲しい』などという、随分スケールのデカい依頼を冒険者ギルド宛てに投げかけてきたのだとか。
「ゆ、勇者に聖女に魔王、って」
僕は依頼のスケール感に大分困惑したが、話からすると『金満家の魔道士』さんはどうやら『国を救う』ためなら何でもする、みたいなスタンスであちこちのギルドに声をかけているんだとか。
道楽というには、大分行き過ぎたボランティア活動だな、と僕は思った。
「ってか、南大陸の中でも最大級の規模を誇る王都の金満家ってどんだけ金持ちなんスかね」
フリッターさんはやや呆れ気味に言う。
「報酬額からしても、相当なモンよね」
二つ返事で引き受けようというリーピア。
「俺は受けても良いが……魔王のいると言われる中央大陸へ続く『ドラゴンの道』か。A級の化け物がうじゃうじゃいる場所だな。どうする?スレイド」
対して、ガルデはやや慎重。僕は思案した。
「そうだね……」
世界を救う、なんて大それたことは僕たちに何も手伝えない気がするけど。
でも、少し僕はワクワクしていた。
「『ドラゴンの道』、ね。僕たちにピッタリのスポット、って気はするし、腕試しも兼ねて頑張ってみようか?」
そうして、ギルド『居眠りドラゴン』は、勇者と聖女の手助けのため、少しでも『ドラゴンの道』に蔓延る魔物達を討伐しよう、というその難易度Aの受注クエストを受けることにしたのだった。
(つづく)
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