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異界の旅人  作者: ろーりんぐ
《第五章》
70/107

無題6

 (ある男の日記)


『 全く、無駄な力を使ってしまった。


  少年の死を知った者達が、私を倒そうと、次々に私に襲い掛かってきたのだ。


  だが、更なる力を得た私の前には、どんな者も敵ではない。


  しかし、少しだけ油断をしてしまった。


  顔に傷を負ってしまったのである。


  全く、あの少年以外は、全てゴミ以下だ。


  少年の心臓を喰ったら、直ぐにでもこの世界を滅ぼしておくんだった。


  私に歯向かうと言うのなら、望みどおりに滅ぼしてやろう 』



  〜次ページ〜



『 あの少年の居た世界は、キレイさっぱり滅ぼしてやった。


  少しは気分が晴れた。


  顔の傷が少し痛むが


  これ位は魔法を使わずとも、自然に治るだろう。



  さて、次は何処に行こうか。


  “万物の力”を持つ者を探さねば 』



  〜次ページ〜



『 何という事だ!


  顔の傷が治らない。


  どんな治癒魔法を行っても、一向に治らないのだ。


  もしやあの時、呪を掛けられた?


  だとしたら、どんな呪だというのだ!


  私の知識をもってしても


  その原因も、その解呪の方法も分からない。




  そうだ、万物の力を持った者だ。


  そいつの心臓を喰らえば、知識と魔力が得られる。


  それで方法を見つけよう。


  だが、如何すればいい?


  こんな顔で、誰が私を信用すると言うのだ 』



(苛立ちからか、字が乱暴に書きなぐられている。かなり読みづらく、汚い言葉も書かれている)



『 私は仮面を被る事にした。


  怪しいが仕方が無い。


  なるべく見目が良い物にしたつもりだが、


  これで、どれ程の人が信用してくれるのだろうか。


  いや、この傷を利用して、人を信用させる手もあるかもしれない。


  憐れみ、同情させるのだ。


  そうだ、そうしよう。




  ああ、早く喰いたい。


  万物の力を持った者の心臓を 』



(その後、異界を次々に渡った事が記されている)



『 見つけた。


  万物の力を持った人間だ。


  まだ赤子だった。


  もう少しだけ成長させれば


  今よりももっと、力が安定するだろう。



  成長させる為には、親は必要だ。


  まずは親を懐柔させよう。



  私と主を信用させた、あの旅人のように。



  まずは怪しまれぬよう、事は慎重に運ばねば。


  あの少年の時のようになっては、目も当てられないだろう。


  そうだ、私の術で、少しづつ精神を壊してやろう。




  そうすれば、子供が成長する頃には、


  親は喜んで、子供を私に差し出す事だろう 』





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