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異界の旅人  作者: ろーりんぐ
《第四章》
44/107

12.目覚めの朝に……

 明るく暖かな日差しに誘われ、早夜は目を覚ました。

 そして、眩しさにショボショボとする目を擦ろうとして、可笑しな事に気付いた。


「あれ?」


 右手が動かない。

 いや、動かないのではない。誰かの手に握られ、動くのを阻まれている。

 では左手で、と思ったのだが……。


「あれあれ?」


 此方もまた、誰かの手により動かす事が出来なかった。

 一体誰が、と見てみれば、左右にそれぞれリカルドとシェルが居る。

 彼らは早夜の手を握ったまま、ベッドに突っ伏した状態で眠っていたのだ。


「そっか、2人とも心配して付いててくれたんだ……」


 夕べの事を思い出す。

 熱も完全に引いて、体調もすっかり良くなっていた。

 それも皆彼のお陰、と礼の一つでも言いたくてその姿を探すのだが、その姿は見えない。


「あれ? リジャイさんは……」

「何だ……一晩中ついていた私達より、あいつの事が気になるのか……」


 不意に声を掛けられビクリと躰を震わす。

 見れば、シェルが目を開き、此方に目線を投げかけていた。


「シェルさん!? 起きてたんですか?」

「と言うか、お前の声で目覚めたんだが……」

「え!? ご、ごめんなさい……」

「いや、どちらにしろ、起きねばならない時間だしな」


 そう言って、シェルは上体を起こして軽く欠伸をした。そして前髪を後ろに撫で付け、ふと早夜の視線に気付いて目を向ける。

 思わず固まる早夜に、シェルは一言。


「おはよう」


 その何気ない言葉と仕草に、何処か色気を感じてしまい、早夜は思わず赤面してしまう。


「あ、う……お、おはようございます……。あ、あのシェルさん。そろそろ手を放してくれませんか?」

「ああ、これか……」


 彼の大人の色気に当てられ、手もまだ繋いだままな事もあり、気恥ずかしい早夜はしどろもどろである。

 一方シェルは、そんな彼女の手を握ったまま腕を上げ、にっこりと笑い掛けてきた。

 その笑顔を受け、何だか嫌な予感がして、ギクリと肩を震わす。


「放して欲しいのか?」


 顔を強ばらせながらも早夜は素直に頷いた。

 しかし、彼はズイッと顔を近づけると耳元で囁いたのだ。


「駄目だ、放してやらない……」

「えぇっ!?」

「熱を出して心配させた罰だ」

「そ、そんなぁ……」


 そんな情けない声を出す早夜に、シェルはクツクツと笑う。

 ふと吐息に擽られ、息が届く程に彼の顔が近くにあるのだと気付いた早夜は、思わずその口元に目をやってしまった。

 シェルはそれに気付き、ニヤリと不適に笑う。


「言っただろう? 罰だと……。何なら、目覚めのキスでもするか……?」


 甘く色気を含む、低い体の奥に響く声。ゾクリと背中を走った痺れに身を縮込ませるが、そんなのはお構い無しに彼は顔を近づけてくる。


「キッ――!!?」

「しっ、リカルドが起きる……」


 早夜の手を握るシェルの手に力が込められ、今まで余裕のあった眼差しも、今は熱を帯びたものに変わった。

 早夜は、彼の本気を感じ取り戸惑う。

(だってシェルさんは、アイーシャさんが……)

 その時、彼の鼻先が掠め、早夜はギュッと目を瞑り身体を強張らせる。


「安心しろ、もうあんな乱暴な口付けはしない……」


 吐息混じりの掠れた声で言われ、いよいよ唇が触れそうになった時――。


「うわぁっ!!」


 リカルドが突然、大声を上げて飛び起きた。


「っ!!」

「チッ」


 早夜は驚いて目を開き、シェルは素早くその身を離すと同時にその手も放した。

(た、助かったぁ。でも、シェルさん今、チッて言った。チッて)


「びびったー! 今、すっげー怖い夢見た……」

「あ、あの、リカルドさん? おはようございます」


 動悸が激しい胸に手を置くリカルドは、その声に振り向く。そして、早夜を見ると嬉しそうに笑った。


「ああサヤ、おはよう。もう大丈夫みたいだな、良かった。

 あー、シェル兄貴……も、おはよう……?」


 何やら、シェルの方から不穏なものを感じ取り、汗を流すリカルド。


「……ああ、おはようリカルド。実にタイミングの良い目覚めだな……」


 にっこりと笑顔を張り付かせ、シェルは言った。


「……? タイミングって……兄貴、なんか怒ってる?」

「ははっ、私が怒っている? リカルド、まだ寝ぼけてるんじゃないのか?

 それより……いつまで手を握っているつもりなんだ。それじゃサヤが起きれないだろう?」


(〜〜〜っ!! シェ、シェルさん、他人の事言えませんよっ!!)

 そう心の中で叫ぶが、まるでそれが聞こえたかのように、シェルが此方を向く。


「ん? 何か言ったか?」


 そうにこやかに聞いてきたので、早夜は思い切り首を振る。シェルの笑顔には有無を言わせぬ迫力があった。


「ああそっか。ごめんな、サヤ」


 リカルドは一度、名残惜しそうにギュッと握り締めてからその手を離した。

 早夜も、手を包む温もりが消え、少し心許なく感じた。


「いえ、こちらこそ夕べはご迷惑を掛けました……」

「迷惑なんて思ってねーよ。本当にもう大丈夫なんだよな?」

「はい。リカルドさんこそ、飛び起きる程の怖い夢って、一体どんな夢を見たんですか?」


 何となく気になって聞いてみた。


「え? うーん……あれ? わりっ、何か思い出せねー……」


 リカルドはそう言うと、暫しの間腕を組んで思い出そうとウーンと唸って見せた。

 その様子が何だか可笑しくて、早夜はフフッと笑う。


「そんなに悩まなくともいいですよ」

「そっか?」

「フフッ、そうですよ」


 早夜とリカルドはそんな感じで笑い合う。二人の間にほのぼのとした空気が漂う。

 そしてシェルは完全に忘れ去られていた。そんな二人の様子を、面白く無さ気に見ている彼の額には青筋が浮かんでいる。

 彼の怒りが爆発するのは時間の問題だろう。



 +++++



 〜クラジバール・ロイの屋敷〜


 まだ熱で朦朧とする中、リジャイは目を覚ます。

 自分の状況と状態を理解しようと首を巡らすと、ポトリと額から濡れた布が落ちた。


「何だ、起きたのか……」


 リュウキは落ちた布を手に取ると、傍らに置いてある盥の中の水に浸し、ギュッと絞った。そして、それを再びリジャイの額に置いてやる。

 それは第三の目の上だった。


「あははー、これじゃ僕、魔法使えないねー」


 彼の魔法はこの額の目から魔力の放出によって行われる。いわば彼の弱点のようなものだ。

 リジャイの言葉に、リュウキは一瞬目をさまよわせる。

 彼も実は隠してよいものかと迷ったのだ。しかし、熱を下げるのが先決とそれを行ったのだ。


「別に、今は使う必要は無いだろ?」

「そうだけど……あれ? そういえば、ロイロイとムイムイ(カムイ)は?」

「彼奴等なら、別の部屋で寝ている。一応、交代でお前の看病をする事になったんだが……彼奴等、一向に起きる様子がない……」

「あはは、それはお気の毒様。

 ……でもそっか……リュウキが看病してくれてたんだ。

 一応、お礼言わなくちゃね、ありがとー」

「一応って何だ、一応って……」


 礼を言うならもう少ししっかり言うべきなのではと思わなくもないムエイことリュウキ。

 今はこの場には二人しか居ないので、リジャイは普通に彼の事をリュウキと呼んでいる。

 暫し二人の間には、静かな時間が流れる。それがあまりにも自然で安心するものだったので、何だか落ち着かなくなったリジャイは何かを思い付き、ニヤリと笑った。


「そうだ、そうだ。僕、リュウキに言っとかなきゃいけない事があったんだよねー」

「……何だ?」


 その何かを企てていそうな笑顔に、何となく嫌な予感を覚え、リュウキは身構える。

 警戒する彼に、益々笑みを深めるリジャイ。

 彼は口を開いた。


「実はねー、早夜にチューしちゃった。しかも3回も……」

「…………」


 ニヤニヤと笑うリジャイはリュウキの反応を窺う。

 しかし、長い沈黙の後、彼は黙ってリジャイの額の布を取り替えた。

 てっきり怒られるか、殴られるかすると思っていたリジャイは、予想に反した行動に肩透かしを食らう。


「……怒らないの?」

「怒って欲しいのか?」

「うん、出来れば……」

「何だ? それは……」


 眉を上げるリュウキに、リジャイは曖昧に笑う。

 彼には別に被虐趣味はない。ただ、今日は誰かに怒って欲しくなったのだ。

 するとリュウキは、一度溜息を吐くとリジャイを見据える。


「……怒っているさ。

 だが、病人に手を出す訳にはいかないだろう。お前が治ったら、思いっきり殴らせてもらうさ。きっかり三回、な」

「うわー、それは今から怖いなー。でも、殴られるって言えば、リカルド王子にも殴られたよ、グーで」


 するとリュウキは、クッと笑った。


「それは……後で良くやったと褒めてやらなくてはな」


 リュウキがそう言うのを、リジャイはニヤニヤとして聞いていた。


「あー……そんな事、言ってていーのかなー?

 リカルド王子のあの様子。

 あれは完全に、早夜に惚れてるね……」

「………は?」

「あの早夜を見る目つきといい、それに僕にとった行動。

 あれは間違い無く嫉妬だねぇ」

「い、いや、ちょっと待て! あいつは……リカルドは、女が苦手だった筈――」

「えー? そーなの? 早夜に対しては、最初からそんな感じは全然無かったよ。手とか握ってたし……」

「て、手を握って……?」

「あー、後、シェル王子様も何か怪しかったなー、昨夜は廊下で2人で居たし……何かいい雰囲気だったような……」

「なっ、何だと!?」

「そん時早夜、熱があったみたいなんだけど、熱を測ろうとしたシェル王子様が、早夜の額に自分の額を押し付けた所を丁度リカルド王子が目撃しちゃって、それをキスと勘違いしたリカルド王子は――」

「ま、まて! ちょっと待ってくれっ! 何かつっこみ所が沢山あるんだが……ちょっと頭を整理させてくれ……早夜が、熱……? それは大丈夫なのか!?」


 すると何故かリジャイは、何とも不思議な笑みを作り頷いた。


「うん、大丈夫。僕が治しといたから……」

「そうか、よかっ――……ハッ! まさか、今回のお前の熱は!?」


 リジャイは驚き目を見開く。


「うわっ、凄い察しの良さ。ははっ、そのまさかだったりして?」

「なっ!!

 …………。

 なぁ、リジャイ、前から思っていたんだが、何でそこまで……?

 その……早夜を好きなのか……?」


 好きかという質問に、何処か透き通った笑みを浮かるリジャイ。


「さて、何故でしょう?」


 彼ははぐらかした。

 しかし、リュウキはそれが気に入らなかったようで、不機嫌そうに目を眇めた。


「俺は真面目に聞いてるんだが……?」

「フフッ……それよりも、実は早夜を狙って、他国から侵入して来た奴らが居たんだ……」

「っ!! 何? どういう事だ?」

「一人は捕らえてあるよ。ある場所に閉じ込めてる。後で尋問するつもり」

「じゃあ、もしかして、あの血はその時の――」

「もう一人は、思わず殺しちゃった。君の事を化け物って言ったから……」


 そう呟くリジャイに、リュウキは何も言えなくなってしまう。


「あれだけは如何しても許せなかった……紅い瞳の化け物なんて言葉……」

「……リジャイ……」




 その時、この部屋の扉の外には、ロイが立っていた。

 少し前から居たのだが、何となく入るタイミングが掴めずにいた。

(ウーム、どうしたものか……。オハヨウと陽気に挨拶して入るべきか? いや、そんな雰囲気じゃないだろう。ノックして……は不自然だろうな。ここは我の屋敷なのだし。下手に乱入すれば盗み聞きしていたのがバレてしまう……)


「お? ロイロイじゃねーか! んな所に突っ立って何してんだ?」

「っ!!!」


 いきなり声を掛けられロイの尻尾の毛が逆立った。振り返れば、爽やかな笑みを浮かべてカムイが立っている。

 通常時でさえ声の大きな彼である。しかも空気が読めないとくれば、中の二人にバレるのも時間の問題かもしれない。


『しー、バカッ! 声が大きい!!』


 ロイは声を潜めて、慌ててカムイに言った。


「あん? 何だって?」


 だが、カムイは更に大きな声で聞いてきた。


「〜〜〜っ!!」


 やはりカムイは空気が読めない。

 ロイは苛立たしさに牙を剥きそうになるが、その時“ガチャリ”と部屋の扉が開いた。

 開け放った扉からは、リュウキが呆れた顔をして立っていた。


「何してるんだ? こんな所で……」

「おお、ムエイ! おはよーさん! いい朝だな!」


 そうカムイが爽やかに挨拶をする中、ロイは必死に言い訳する。


「ちっ、違うのだ! 決して盗み聞きしていた訳じゃないのだ! ただ、タイミングが掴めなかっただけなのだぁっ!!」

「何だ、ロイロイ盗み聞きしてたのか」

「違うのだぁー!」

「……何でもいいが、ロイもカムイも、交代で看病する事忘れてただろう……」


 苛立ちを押し隠し、低く静かに告げるムエイに、『あっ』と二人の声が綺麗にハモった。そして強張った顔で互いに顔を見合わせると、素直に謝罪の言葉を口にした。


「いやー、悪かったなムエイ。ここの寝床、あんまり気持ちがいーもんだから、熟睡しちまったゼ」

「うおー、すまぬ、ムエイ! お詫びに何でもするのだ!」


 一気に騒がしくなる室内。

 そんな中でリジャイは、顔を顰めていた。


「うーん、頭に響くー」


 そんな彼らにリュウキは疲れた顔で溜息を吐く。


「お前達、いい加減にしてくれないか? 悪いと思うなら看病を変わってくれ。俺は昨夜から一睡もしていないから正直眠い」


 その言葉に二人共慌ててリジャイのベッドの脇に座った。


「わかった! しっかり看病するから、安心するのだ!」

「おう、ゆっくり寝てくれ!」

「……だから、もうちょっと静かに喋ってー……」


 彼等だけにするのも何だか少々心配だな、と思わなくもなかったが、睡眠欲の方が勝って彼等に任せる事にする。


「じゃあ、俺は寝るから、何かあったら起こしてくれ」

「多分何も無いから安心するのだ」

「そうだゼ、心配すんな!」


 自信満々に胸を張るロイとカムイ。不安を煽られるのは何故だろうか。やっぱり一緒にいるべきだろうか。とムエイがそう思い掛けた時、彼が手に掛けていた扉が開いた。


「おはよーございます! 私、ムエイ様の看病のお手伝いに来ましたー! て、あれ?」


 元気よく扉を開けて入ってきたのはミリアであった。

 彼女は、開けてすぐに目の前に愛しいい人物が立ってる事に気付き、顔を赤らめる。


「やだっ、ムエイ様が私を迎えてくれるなんてっ!!」

「やったミョ、ミリア! まずは、おはよーのチューから始めるミョ!」

「えぇっ!? やだー、そんなっ、ミリアはずかしー!」


 もじもじと恥じらう様子を見せながらも、ミリアは手を組むと目を瞑り、顔を突き出してきた。

 リュウキはそんなミリアに顔を引きつらせると、彼女を横にずらす。


「悪いが俺は昨夜一睡もしてないんだ。だからこれから寝かせてもらう。あの二人に看病の仕方を教えてくれると助かる……」


 リュウキはそこまで告げるとそのまま部屋を出る。その後ろ姿が草臥れて見えたのは気のせいであろうか。

 ミリアは部屋を出ていくムエイを残念そうに見送りながら力強く頷いた。


「はい! ムエイ様の頼みですもの、張り切ってやらせて頂きます! おやすみなさい!」


 ムエイたっての頼みに、鼻息荒く中にいる二人に色々と指示しだしたのだった。




「何だか、どっと疲れが増した気がする……」


 肩を落としてまた溜息を吐くリュウキ。そんな彼にイーシェが話しかけてきた。


「もう少し辛抱するミョ。ミリアが真実の恋に気付くまでは、もう少し時間がいるミョ」


 思わぬ言葉に目を見開き、イーシェを見る。


「ミリアはムエイに、父親の姿を重ねてるんだミョ。両親が死んでから、ミリアは弟や妹達をたった一人で面倒見てきたんだミョ。頼れる存在に憧れているだけだミョ。

 でもそれは、自分自身で気付かないといけない事なんだミョ」


 リュウキはまじまじとイーシェを見やると、呆然として言った。


「じゃあ、今までの言動は……」

「ミリアはイーシェと違って純粋で真っ直ぐミョ。イーシェはそれを壊したくないんだミョ。

 だからムエイも、もう暫くは我慢するんだミョ。

 ミリアもムエイの本名と婚約者を知ったら、きっと諦めがいくミョ……だけどそれは、もう暫くはヒミツだミョ」


 イーシェはにっこりと笑うと去っていった。

 その場に残されたリュウキは、首を振りどっと疲れて呟く。


「俺の本名と婚約者だと? 俺の正体に気付いてたのか?

 ……まったく、今回は驚く事が多すぎる……。何だか、俺も熱が出そうだな……」




 △▼△▼△▼




 〜日本・一時帰宅その後 其の十二〜



「ほ〜れ花ちゃん、七段階変形だ〜♪」


 楓が花ちゃんに何やら贈り物をした。

 それは、花ちゃんよりも大きな、ロボットの玩具だった。


「オオ〜!! スゴイノデツ〜〜!」

「ちゃ〜んと、合体もするぞ〜、そ〜れ♪」


 ガシーンと口で擬音を言いながら、楽しげにそれを見せる。

 花ちゃんは頬に手を当て、言葉にならない奇声を上げている。


「コレハモウ、“ロボットノ舞”ヲ踊ルシカナイノデツ!」

「んん? ロボットの舞って、翔さんが大笑いしていたやつか?」

「僕ハ、アレカラ修行ヲシタノデツ! 格段二、パワーアップシテイルノデツ!!」


 フフフと不適に笑う花ちゃん。何分ちっちゃな口でそれをしても、全く不適には見えないのだが……。


 そして始まる“ロボットの舞”。


 確かに、自身が言っていたとおり、その踊りは前のものに比べて数段パワーアップしていた。正にプロ顔負け。

 しかし残念かな、その顔はやはり何処か微妙で、先程奇声を上げた時と同じ顔で踊っている。

 そう、常にその顔で……。

 どうわらパワーアップしたのは踊りだけではなかったようだ。




「……マタ笑ワレテシマイマツタ……マダマダ修行ガ足ラナイノデツ……」


 踊りを披露した後、花ちゃんは一人楓から貰ったロボットの玩具に寄り掛かっている。

 視線の先には夕焼け空。

 そうして夕日を眺めながら黄昏ている、哀愁漂う花ちゃんなのであった。





 =今回のお話=

 今回はちょっとほのぼのしてみました。ホッとしたくて。

 シェルはやっぱりなんかエロいです。一応本気モード入れてみました。まだ軽い本気モードですが……。

 リカルドはなんか、本能で感じ取ったんでしょうかね、夢という形で……。

 クラジバールの面々ですが、カムイがいると楽です。一気に場面が明るくなるような気がします。彼の存在もちょっとホッとします。

 イーシェですが、普段のあれはフリだったんですね。中身は結構シビアだったりします。


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