5.ゴミための街
マシューの案内で、彼の街を訪れる早夜。
新たな仲間たちが出てきます。
(先程の人間、まったく魔力が見えなかった……)
屋根の上を渡り歩きながら、カンナは少々動揺していた。
(それに、あれは私が見えていたと言うのだろうか?)
そんな風に考えていたカンナは、その時ピタリと足を止めた。目の前に人が立っていた為である。
「やあ、見つけたよ、カンナ」
「……あなた様でしたか。このような所でお会いするとは……」
そこに立っていた人物。
額に第三の目に右側の顔と腕に刺青のある男。
そう、リジャイである。
「それにしても、大分動揺しているみたいだね。術が雑になってる。
お蔭で君を見つけられたよ……何かあった?」
「先程、私の力を持ってしても魔力の見られない人間に会ったのです。それだけならまだしも、その人物は私が見えているようでした」
リジャイの目がスッと細められた。
俄に彼の気配が強くなる。
「へぇ……それは凄いねぇ。どんな人間だったのかなぁ……」
その強くなった気配に、カンナがピクンと反応する。
その顔は何処か恍惚としたものであった。
「それは……少年のような少女のような……不思議な感じの人間でした……」
「少年のような少女のような……?」
リジャイは首を傾げる。想像していた人物とはイメージが合わない。
それから改めてカンナの方を見た。
彼女は依然として恍惚とした表情を浮かべている。
「それにしてもさぁ。前から思ってたんだけど……僕って君に対して命令ってした事無いけど、何でいつも言う事聞いてくれる訳?」
カンナは頬に手を当て、ホゥッと息を吐く。
「リジャイ様の願いは、例えそのように言って無くとも、既に命令なのです……。リジャイ様の言葉には言った事を、相手に実行させる力があります」
そんな訳の分らない言葉であったが、リジャイは理解したようだった。
「それってつまりさぁ、お願いって言いながら、実はそれは端から命令で……しかも、言葉で人を誘導させてるって事?」
「はい」
「アハハ! それじゃ、僕ってサイテーな人間じゃん!
んー……でもまぁ、僕の本質を見抜いてるって訳か……。
じゃあさ、僕が今の君の請け負っている命令を取り消すって言ったらどうなるの?」
するとカンナは、今までの恍惚とした表情を引っ込め、無表情になった。
「それは、どうにもなりません……」
「もし、王様とかが、取り消せと命令したら?」
「……それも無駄です」
リジャイは目を見開く。
「……ふーん……この国の王様でも?」
「同じ事です……」
「何故、と聞いてもいい?」
するとカンナは、先程の恍惚とした表情に……いや、先程よりもそれは更に強く出ているようだった。
「あの魔力を感じた時……私は覇王がやって来たのだと思いました……。あの力は、全てのものを統べる力……私を支配してくれるかもしれない力……」
「……つまり、君はその人物に会いたいんだね? ナイール王子の命令はもう関係ないの?」
「いいえ、命令は取り消されない限り、執行いたします」
「ふーん、そっか。じゃあもうその事はいいや。他に何か気付いた事ってある?」
「はい、ございます」
「それって何?」
「私の他にも、この国に潜入している者がいるようです」
「っ! それってクラジバール?」
「いいえ、他の国のようです」
その言葉に、リジャイは納得し頷き言った。
「もういいよ、僕の用は済んだから……」
カンナはそれを聞くと、彼に対して深く一礼し、たちまち姿を消し去った。
こうなればもう彼女を見つけるのは不可能だ。
「うーん……ちょっと、厄介になって来たかなぁ……。そうだよねぇ、他の国も早夜の事、気になるよねぇ……潜入してない訳無いもんねぇ……」
そして、チラッと自分の左手を見る。
その小指には、早夜の髪の毛が巻き疲れており、リジャイはそっとそれに触れたのだった。
「ようこそ、俺達の街へ!」
そう言って通されたのは、鉄板を繋ぎ合せた様な不恰好で巨大な門だった。
そこを潜ると、なるほど、“ゴミための街”と呼ぶに相応しいようなガラクタが沢山あった。
「なぁサヤ、今このガラクタ見て“ゴミための街”って思ったろう?」
マシューは早夜の傍らに立ってその顔を覗き込むと、ニヤッと笑った。
早夜は図星だったので彼を見て瞬きを繰り返す。
「え? 違うんですか?」
「ははっ、違うんだな、これが」
「じゃあ、何で……」
「まぁ待て、俺らの仲間紹介すっからさ、そしたら教えてやるよ」
早夜はパッと顔を輝かせて笑った。
「マシューさんのお仲間ですか!? それは是非、会ってみたいです!」
そんな様子の早夜を見て、マシューも嬉しそうに笑うのであった。
その後ろで落ち込んでいる男が一人、リカルドである。
(何で、あそこで弟なんて言ったかな、俺……)
一人反省し、後悔から溜息をつく。
最初は、マシューにからかわれるのが嫌で、咄嗟に付いた嘘だった。つまり早夜のことなど考えてない、自分本意で身勝手な嘘。此方が傷つく道理は無いのである。
しかし……ふと前に目をやると、マシューと楽しそうに笑う早夜がいる。
それを見ると、ズキンと胸が痛むのだ。
(ついさっきまで、あの笑顔は、俺に向けられていたのに……)
そんな思いと共に、今すぐ二人を引き剥がしたい衝動に駆られる。
ハッとして、ぶんぶんと首を振った。
(な、何を考えてるんだ俺!?)
初めて感じるその感情に、戸惑うリカルド。
その時、ふと早夜が此方を見た。
リカルドは何か言おうとするが、なかなか言葉が出てこない。今更何を言ったらいいのか思い浮かばなかった。
早夜もまた何か言いたげであったが、直ぐにマシューに声を掛けられ彼の方を向いてしまう。
そして再び胸に燻ぶるあの感情……。
その感情こそが嫉妬と呼ばれるものだという事に、リカルドは気付いていない。
分からぬ故に、そうやってまた悶々と思い悩むのであった。
(おーおー、悩んでる悩んでる……。まぁ自分で蒔いた種だ。もう暫くそうしてろ)
マシューは横目でリカルドを捉えながら、フンッと笑う。
今早夜に声を掛けたのも、ワザとである。
「あの、マシューさんのお仲間には、いつ会えるんですか?」
リカルドの悩みもマシューの思惑も知らぬまま、期待に頬を染めた早夜がマシューに尋ねる。
「ああ、もうちょっと奥に行った所だ。そこは集会所になっててな、いま皆はそこにいる筈だ」
そう説明される間、この街の者達が遠巻きに此方を見ていた。
子供の姿もあり、そーっと家のドアの隙間から覗いている。
早夜がそれに気付き、笑いかけるが、子供達は慌てて中に引っ込んでしまう。そういった者が殆どだった。外からきた者に怯えているような……そんな感じ。
そうしてマシューの言っていた集会所に着く。
その入り口の横には、椅子に座った老人がウトウトとしていた。
「よう! ガマじぃ、客連れてきたぞ!」
マシューが声を掛けると、その老人はビクリとして、寝ぼけ眼で此方を見た。
どうやらこの人物が噂のガマじぃらしかった。
彼の顔には無数の傷が存在しており、右足が膝の先からなかった。それから、口髭を生やしており、その身体は歳の割にはがっしりとしている。
彼は懐からパイプを取り出し口に咥えると、火を点けふかし始めた。ぷかぷかと紫煙が上がる。
「ほぉ、リカルドの坊ちゃんと……其方はどちら様かね?」
その声はやたらとしゃがれており、少々聞き取り辛かった。見ると、彼の喉の部分には大きな傷があって、この声のしゃがれ具合はその傷のせいらしい。
一体これ程までの傷をどういった経緯でつけたのだろう。声帯にまで及ぼすほどだ。命の危険もあっただろうに。
「ガマ蛙みたいに酷い声だろ? だから皆、ガマじぃって呼んでる」
彼の喉の傷を見ていた事に気付いたマシューがそう教えてくれた。
どう反応したらよいか分らず当の本人を見てみると、別に気にした様子もない為、改めて彼に向き直る。
「えぇっと……はじめまして、ガマじぃ、さん? 異世界の日本という国から来ました。
桜花早夜と言います。早夜と呼んで下さい」
深くお辞儀をして笑いかけると、目の前の老人は目を丸くする。
「ほほぅ、異界の人かね! じゃあ、客人として、もてなさねば」
老人は傍らに置いてある杖を取ると立ち上がる。
そうすると彼はとても背が高いのが分った。背筋もしっかりと伸びて、老人とは思えぬ雰囲気を醸し出している。それは見る者に、何処か武人を思わせた。
「異界から来られし客人よ。我々は貴女を心より歓迎する。
ようこそ、我らの街へ……」
彼の紡ぐ言葉は厳かに、そして優雅に一礼した。
「うわっ、何か別人みたいだぞ、ガマじぃ。そんな挨拶、一体何処で覚えたんだよ」
マシューが驚いたようにそう言うと、茶目っ気たっぷりに片目を瞑ってきた。
「何、昔とった杵柄というやつだ」
その後、ガマじぃは椅子に座り直すと、またパイプをふかし紫煙を吐き出すのだった。
そして、早夜はマシューに中へと案内される。
最初に出迎えてくれたのは、左の目に眼帯をした綺麗な女性だった。
「あら、マシューお帰りなさい。リカルドさんもご一緒なのね? そっちの人はどちら様?」
「ああ、ただいまサニア。この子はサヤと言うんだ。サヤ、彼女はサニアと言って、実は俺の愛する女性だったりする」
マシューは少し照れたようにそのサニアと言う女性の肩を抱くと、早夜にそう紹介した。
紹介された彼女も、恥ずかしそうにしていたが、何処か嬉しそうに彼に寄り添っていた。
「うわぁ、なんか素敵です。お二人とも凄くお似合いです!」
幸せそうな二人の姿に、早夜も何だか嬉しくなる。こちらまでつられて、照れてしまいそうだ。
「そうだ、上の奴等には、お前から早夜を紹介してやるんだぞ?」
マシューはリカルドを見て、そう言った。
「はっ? 俺が!?」
「当たり前だろ? お前が連れてきたんだから」
「あー、うん、まぁそーなんだけどな……」
リカルドは早夜を見る。
早夜もチラッと、リカルドを見た。
そしてやっぱり気まずくて、直ぐに互いに目を逸らしてしまう。
(さて、最後のチャンスだぞ。ちゃんと紹介できたら許してやる……)
マシューはそんな2人の様子を眺めながら、心の中で呟く。
その後、彼はサニアに何やら耳打ちし、彼女は何か驚いたようだったが、早夜の方を見ると頷いて、出て行ってしまう。
「どうしたんですか?」
「秘密だ」
マシューはそう言って、意味あり気に笑みを浮かべた。
そうして二階へと上がり、ある部屋に通される。
そこには数人の男性がいた。
そして――。
「こいつはサヤと言って、この前異世界からやってきた。そんでもって、リュウキの……弟だ!」
おおっ、とどよめきが起きる中、マシューは額に手を当てハァッと溜息を吐く。
(最後のチャンスだったのに、バカ王子め!)
早夜をチラッと見て、あれっと思った。傷付いた様子も、怒った様子も見当たらなかった為である。
そして、少々緊張した面持ちで前に出ると、
「はじめまして、僕は桜花早夜と言います。どうぞ皆さん、早夜と呼んでください」
ちゃんと僕と言っている事から、リカルドの言うとおりに、弟に徹する事を決めたらしい。
(サヤは何つーか……真面目と言うか、素直と言うか、健気だよなぁ……)
しみじみと思うマシューであった。
「リュウキ様の弟ッスか!? それならオイラ達は大歓迎ッス! オイラはハルって言うッス! ヨロシク!」
最初に手を差し出してきたのは、目元全体を布で覆った少年だった。その布には、丁度眼にあたる部分に、星のマークが描かれており、まるでピエロのように見えた。
「ええっと歳は少し下くらいかな? よろしくね、ハル君」
早夜はその手を握り返す。
ハルは一瞬動きを止め、もう一方の手で早夜の顔に触った。そして首を傾げ、顔を近付けると、クンクンと匂いを嗅いだ。
「ハ、ハル君!?」
流石に恥ずかしくなってハルの手を離す。
ハルはニパッと笑うと言った。
「なるほどー、そーゆー事ッスか! サヤも大変ッスね!」
(な、何が!?)
首を傾げる早夜。
そして今度は、真っ赤なバンダナがやけに目立つ、長髪の男性が横から出てきた。
「よろしくぅ、サヤ♪ オレ、デュマってんだ。でも何かサヤって女の子みたいだよね。もし女の子だったらオレ、アタックしてたかも!」
思わずギクリとする早夜とリカルド。ハルが後ろで、クスクスと笑っている。
「やめてくれデュマ、お前が言うとシャレにならん気がする……。あっと、俺はキースだ、よろしく」
デュマの言葉に顔を顰めながら出てきたのは、朝起きてそのままやって来た様な、ボサボサ頭に無精ひげ、そして丸メガネを掛けた男性。彼には、右腕がなかった。
「何だよキース。それってどーゆー意味なワケ?」
デュマはキースをギロッと睨んだ。
「いつでもサカッてるお前の事だ、男に手を出してもおかしくないって言ってるんだ」
「何だって!? オレは女の子しか興味無いってーの! そう言うキースこそ如何なワケ? 全然女っ気ゼロじゃん。もしかして、そっちの気があるんじゃないの?」
「何だと!?」
「何サッ!」
ギリギリと睨み合う二人。
その時、そんな二人の頭をグーで殴る者がいた。
「〜〜〜っ!!」
「つっ〜〜〜!!」
2人とも涙目で頭を抑える。相当痛かったようだ。
彼らを殴った人物は、薄い水色の髪をした、とても綺麗な顔立ちの男性だった。
その男性は、一言も喋る事無く2人を睨むと、早夜を見てニコッと笑った。
「イッテーよセイン。お前さー、見かけによらず馬鹿力なんだから、手加減しろよー」
「こいつはともかく、俺まで殴るな……」
「こいつはともかくって、どーゆー事よ……」
「そーゆー事だよ」
また睨み合う2人。そんな2人を、水色の髪の男性はもう一度睨むと、拳にはーっと息を吐きかける。
「わ、わかった、もう喧嘩はしないって!」
「そ、そうだ! だからその手を下ろしてくれっ!」
2人とも慌てて、必死に止めようとする。すると彼は、わかれば宜しいと言うように、腕を組むと頷いた。
そして、改めて早夜に向き直ると、彼は無言で右手を差し出した。
呆気にとられていた早夜は、はっと気が付くと、彼の手を握り返した。
「あの、えーと……よろしくお願いします」
だが、彼はニコニコと笑って何も言わない。
ただ、水底を思わせるような深い蒼の瞳が、キラキラと早夜を見返すばかり。
首を傾げる早夜に、リカルドが声を掛けた。
「あー、えーとだな、サヤ……」
「何ですか? リカルドさん」
早夜は、初対面の人達の前で不機嫌な顔をとってはいけないと、笑顔を張り付かせたのだが、リカルドにとっては相当の圧力となっているようだった。
彼はだらだらと汗を流しながら言った。
「そ、そいつはな、セインって名前で、喋れないんだ」
「喋れない!?」
早夜は笑顔をとき、驚きの表情となる。
リカルドは何処かホッとして答える。
「ああ、舌が無いんだ」
ビックリして早夜はセインを見る。
彼は苦笑して口を開いて見せた。彼の舌は、半分ほどで無くなっていた。
「ちなみに、オレには耳が無いよ」
そう言って、デュマが髪で隠れた、耳を見せてくれた。
そこには、大きな傷とぽっかりと開いた穴しかなかった。
「オイラは、目玉が無いッスよー」
あっけらかんと、ハルも言った。
言葉も出ない様子の早夜を見てマシューは思う。
(流石にショックが大きいか……女の子にはちときついかったかもな……)
そして、早夜の頭にポンと手を置く。
「これが、俺達の街の名の由来だ」
「え?」
早夜はマシューを見上げる。マシューはフッと笑うと、肩を竦めた。
「ここの人間達は皆、どっかしら欠けていたり、俺みたいに目立つ傷を持っている。そういう奴らは、この世界では社会的に排除されちまうんだな、これが……」
「ええっ!? そんな……」
排除と言う言葉に心を痛める早夜。
「そんな奴らが寄り集まってできた街なんだよ、ここは……。
社会から打ち捨てられた者の集まる街、だから“ゴミための街”って言うんだ」
「そんなっ! ゴミなんかじゃありませんっ! 皆さんは、ゴミなんかじゃ絶対ありません……」
早夜の目からは、ぽろぽろと涙が零れていた。何よりも悲しかったのは、この人達が自分達の事をゴミと受け入れてしまっている事だった。
「ああそっか、そーだよな……ありがとうな、サヤ。俺らの為に泣いてくれて……」
そう言ってマシューは、早夜の頭を優しく撫でた。
「ったく! ちょっと泣き虫なんじゃないの? サヤは」
真っ赤なバンダナのデュマも早夜の肩を軽く叩き言った。そんな彼の目は、少々赤くなっている。
「そう言うお前は、よく人から貰い泣きするけどな」
隻腕の男キースが横から言った。彼は早夜を見ると、フッと笑った。
「まっ、サヤ。お前が思うほど、俺達はそんなに悲観してないから、大丈夫だ」
「そーッスよ、これでもオイラ達は、けっこー楽しくやってるんスよ! ゴミだからと言って、悲観したら駄目ッス! 寧ろ、ゴミとして誇りを持ってるんスよ! ゴミにはゴミなりの使い道があるんス!」
ハルが明るく言った。
セインも早夜の手を取ると、両手で包み込み優しく頷いた。
早夜はそんな彼らを見て、涙を拭うと笑った。
それは、とても可愛らしく透き通るように綺麗で、思わずこの場にいる者達はドキリとするのだった。
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〜日本・一時帰宅その後 其の五〜
「オオー! 凄イノデツ! アレハ何デツカ? 絵ガ動イテイマツ!」
花ちゃんは今や、テレビに夢中だった。
あの後、蒼と亮太は学校へと行き、花ちゃんは何故か翔太郎の膝の上にいた。
そして、翔太郎がテレビをつけ、映像が映し出された瞬間、大興奮する花ちゃん。
その番組は、アニメ番組だった。
「あれはねー、アニメって言うんだよ」
いつものように、翔太郎の隣に座っていたマリアが答える。
「アニメ、デツカ?」
マリアから教えて貰った言葉を口の中で復唱すると、再びテレビにかじりつく。
どうやら花ちゃんは、このテレビとアニメが気に入ったようだった。
「そう言えば花ちゃんは、何を食べるのかな?」
翔太郎達にお茶を出しながら、蓮実が花ちゃんに尋ねる。
花ちゃんはかじり付いていたテレビから顔を離し、蓮実に向き直って答えた。
「何モ食ベ無イノデツ。日ノ光ト水ガアレバ、生キテイラレルノデツ!」
「へぇー、そうなんだ、植物の光合成と一緒か」
蓮実が納得するように頷くと、マリアも感心したように言う。
「凄いねー、エコだねー」
その時、テレビの番組がCMへと切り替わった。
『これであなたの育てている、植物達も元気イッパイ! ○○製品の肥料はいかが? 家庭菜園も観葉植物もこの肥料があればオールオッケー! I LOVE フラワー! あなたのお庭も素敵に変身♪』
肥料のCMだった。
ふと、静かになった花ちゃんを見てみれば、花ちゃんはうっとりとそれに見入っていた。
「は、花ちゃん?」
「アイ〜〜、何テ素敵ナンデツカ……アノ中ニ浸カッテ、心モ身体モ、癒サレタイデツ……」
CMでは、丁度その肥料が花壇いっぱいに撒かれている所だった。
「お、温泉感覚?」
呆然と、花ちゃんの様子に見入る3人だった。
さて、今回の事ですが、また新しいキャラクターが出てきて、結構大変です。
特にセインにはセリフがありませんから、忘れてしまいそうになります。(ごめんよ、セイン)
後、マシューのニット帽は、サニアの手編みだったりします。 この2人は、マシューの猛アタックでくっつきました。(サニアは美人だから、ライバル多かったのさ)
花ちゃんの事
彼の好きなアニメ。 今後大きく関ってくる予定です。 どのように係わってくるかは、読んで確かめていって下さい。