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異界の旅人  作者: ろーりんぐ
《第二章》
13/107

~砂漠の国クラジバール~

『 熱い熱い砂漠の国 《クラジバール》


  ()の国は砂漠のオアシス


  オアシスは旅人の渇きを潤す


  だが、渇きを潤す為のそのオアシスは


  獲物を誘き寄せる為の罠


  一度(ひとたび)その罠に囚われれば


  逃げる事など叶わない 』








「確か、此方の方だったな……」


 そう呟き手を翳す。見渡す限りの砂、そしてジリジリと暑い太陽。

 急がなくては干からびてしまうと考え、男は目的の場所へと急ぐ。


 男は砂避けのマントを被っている。頭まで覆うタイプのものだ。

 そこから覗く瞳の色は金色。

 その他は確認できない。


「いた……」


 黒い髪の男が倒れていた。

 男は鎧を纏い、そしてその造りはアルフォレシアの物だと窺える。

 様子を見れば脱水症状と熱射病になっているようだ。


 男は「フム」と頷くと、懐から札を取り出す。

 自らの額に当て気を込めると、札は淡く輝きだした。そしてそれを倒れている男に貼り付ける。

 すると札の光が男に吸い取られるように消えて行き、それと同時に男の顔色も良くなっていった。


「よしっ」


 男は満足げに頷くともう一枚別の札を取り出す。


 だが、その札に気を込めようとした時だった。


「だめだよ。彼はこのままクラジバールへと運ぶ」


 不意に声を掛けられ、金目の男は振り返る。


「キサマ……何故ここに……」


 そこには、金目の男と同じ様に砂避けのマントを被った男が立っている。


「何故って僕も彼が来た時に魔力を感知したんだよ。あれ程の魔力だもの、気付かない方がおかしいよ」


「そうか……迂闊であった……」


 チッと舌打ちする。


「まぁ、君程の感知能力を持った人間なんて、今の所この国……いやこの世界には存在しないけどさ……。でも今回は、あの魔学者殿の発明した感知装置に引っかかっちゃったんだよ。

 それでさ、城の中は大騒ぎで『敵だ、敵が攻めてきたんだー』とか『いや、異界の者が迷い込んで来たに違いない』とかってさ。

 そこで僕に様子を見て来いって命令されてさ。だから僕はここにいる、というわけ」


「では異界人だと報告するのだ。こやつは我の屋敷へと運ぶ」


「えー!? でもこの人、アルフォレシアの鎧着てるよ。それに、この黒髪って……例の“魔眼使い”じゃないの?」


「こやつが何者でも、だ。我はこやつを助ける」


「……うーん……ま、いっか。分かったよ、城の人間には彼は異界人だって報告するよ」


「……すまぬのだ……」


「でも、その鎧は捨てなきゃね。アルフォレシアの人間ってバレちゃうよ」


「わかった」


「フフ、じゃあ、これは貸しにしといてあげるよ。後でちゃんと徴収するからね」


「うう……キサマの貸しは怖すぎる……」


「あはは、まー覚悟しててよ」


「では我はこやつを運ぶとしよう」


「じゃあ、僕が序でに一緒に運んであげるー。あ、これはサービスだから安心してね? ロ イ ロ イ」


「っ!! ロイロイゆーな!!」


 そして、金目の男が突っ込んだ言葉を最後に、彼らの周りに魔法陣が現われ何処(いずこ)かへと消えていったのだった。




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