プロローグ
幼馴染――意外とこの関係は面倒くさい。
近過ぎるが故に、距離の計り方が難しからだ。
そんなことを感じるのは、互いの性別が違うからだろうか?
同姓同士であったら、何のわだかまりもなく楽しく過ごせるのだろうか?
いや、そもそも、幼馴染が仲良くある必要はないし、幼馴染だから仲良くなるのは必然ではないだろう。
過ごした時間が長いだけで、気の合わない者同士だっているはずだ。
でも、そうはならなかった。
気が合うかどうかは別として、時間は絆を強くする。
自然と一番仲は良くなるし、一番の理解者にだってなれてしまう。。
そんな相手が異性であったら、気にならないわけがない。
幼いころから共に過ごし、時間の大多数を共有してきた。
それでも――兄弟じゃない赤の他人。
いつしか、幼馴染は自分の特別だった。
でもそれじゃあ駄目だった。
それだけだったから駄目だった。
そして――
気付いたころには――何かを失くしていた――
幼馴染だったからいけなかったのだろうか?
幼馴染じゃなければ上手くいっていたのだろうか?
そんな風に思う時もある。
でも――諦めている訳じゃない――
僕は失くしてしまったモノを取り戻したい――
そんな希望を――そんな夢を――まだ見ている――
そして八月――均衡を破る電話が鳴った――