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歩さんとペイちゃんの物語〜発達障害の実話  作者: mckee
母としての壁
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二ヶ月検診

まずは、二ヶ月検診を乗り越えなくてはなりませんでした。

この二ヶ月検診に対して私達は回答が得られるのでは、と甘い考えがありました。


なぜなら、ペイちゃんが生まれた病院は第三次救急外来に指定される高度な技術が確立されている大きな病院で、小児科医だけでも軽くみて10人以上はいるのです。


恐らく病棟医とかも合わせれば、かなりな人数がいるはずです。

この中にはきっとペイちゃんに対する答えをくれる医師がいる、と思っていたのです。


歩さんは入念に質問や疑問の漏れがないように携帯等に質問やペイちゃんに対する疑問を全てメモして挑みました。


検診に着くと、まずは身長や体重の測定からでした。

それに関しては低体重児ならではの成長としては全く問題なく、全て範囲内であるとのことでした。


しかし、一度に飲むミルクの量の相談とかをしたところ、もう少し減らせないかな?

と言われてしまい、内心これより減らしたらペイちゃんは絶対に一日中寝ない、と思ったそうです。


まず、ミルクの飲み時間に関して聞きました。

すると、低体重児なのでまだまだ哺乳力も弱い部分もあるでしょう。様子をみましょう、というようなニュアンスの回答だったようです。


ずっと泣き続ける事に関しても、夜泣きのような部類であって昼夜逆転は遅かれ早かれ治りますから、との回答でした。


その他に1つずつ質問を潰していくよりも、回りくどく聞くよりもと歩さんは決意して、

「ダウン症とかではないんでしょうか?」

と聞きました。


すると、医師は何を言っているんですか!

と言い、まるっきり相手にされなかったそうです。


必死に、ではこのつり上がった目は?!

この潰れた鼻は?!

猿のようにますかけ線ではないけれど、明らかに親指が短く、人差し指と離れているところは?!


とにかくありったけの疑問を全て医師に伝えました。

すると、医師は他の医師を呼び、3人の医師で歩さんに対して反論を始めたそうです。


こんなにキリっとした綺麗な目はとっても美人な証拠じゃないか、手だって何ともない、哺乳力だって、入院時の記録を見る限り問題ない、そして


お母さんダウン症ってね、私達は見ればわかりますよ。

ペイちゃんは順調に育っています。

何にも心配いりません。お母さんの心配のしすぎです。


そう言われても引き下がれない歩さんは、ではせめて検査だけでもしてもらえませんか?!

すると、医師たちは少し怒った様子になったそうです。


いいですかお母さん、検査する為にはこの小さな体から何ccも血液を採らなければならないのですよ?可哀想だとか思わないんですか?



もう戦意喪失した歩さんは、とぼとぼした足取りで帰ってきました。

私の思い過ごしならばいい。

でも、これで今後ペイに何かが出た場合はどう対処するの?この辺では1番大きい病院だよ?

その病院が私を全否定するんだから、今後どうすればいいの?


そう呟きながら、歩さんは本当に覇気のない顔でペイちゃんを見つめていました。


歩さんは後に言いました。

私はあくまでもダウン症とかじゃないんですか?と。とかってのは、その他の障害の可能性を含めて言ったのだと。

素人で何も分からないで聞いているのです。ただ無知な私たちの代表となったのがダウン症だっただけで、もしかして?!に対して全否定ではなく、少しでも耳を傾けて欲しかった…と。もう少し大きくならなければ何もわからない、様子をみましょう、でも良かったんじゃないのかと。


私はそこまで詰め寄られて言われるほどペイちゃんは問題ない、と言われたことに正直驚きましたが、私の子供にも育てにくい子供というのは実際いるので、そんなものだったろうか、とか低体重児とはそういうものなのだろうか、とか考えはどんどん深みにはまっていくようでした。


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