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1歳の誕生日

電話では和解しつつも、お互いに次の子に対する気持ちのすれ違いから小さな喧嘩を何度もしていました。顔を合わせれば子供についての喧嘩となるため、家庭内別居のような状態は大喧嘩以来続いていました。


しかし、そんな中ペイちゃんが1歳を迎える日となりました。

お互いに旦那の仕事が忙しく中々家族全員で誕生日当日に祝う事が出来ない為、子供の誕生日当日にお互いを呼び合ってワイワイお祝いするというのが恒例行事となっていたので、ペイちゃんの誕生会も歩さんとペイちゃん、私と子供達3人の計6人で行うこととなりました。


そういった当日行う誕生会では、改めて週末とかに実家などで家族全員で仕切り直しがあるため、なるべくお金をかけないようにするためにホットケーキを重ねてデコレーションしたり、土台のスポンジだけを買ってきて薄くクリームを塗ってお菓子を盛り付けてみたり、工夫をしてケーキ代を抑える事と、あとのご飯は普段と変わらないけど、なんとなく可愛く盛り付けてみたりすることがいつも行われていました。


その日は歩さんがペイちゃんの為にスポンジだけを購入して砂糖を少なめにした生クリームを立ててお菓子などを添えて可愛らしくデコレーションしていました。


誕生会の最初に全員でハッピーバースデーを歌い、この日のビックリイベントの一つであるクラッカーをコッソリと私は子供達に回していました。


「ハッピーバースデートゥー…パン!!!!!」

歌い終わる直前にフライングした我が子に

「早い早い!!あははは〜!!!」

と笑っていたのは一瞬で、なんとクラッカーの紙のリボンがケーキのロウソクに引火し、

「キャー!!!火が!!!火が!!!」

もう大騒動でした。引火を更に広げないために大人二人は写真を撮る為に構えていた携帯やらカメラを捨てて必死に消火活動にかかる非常事態になりました。


すぐさま鎮火しましたが、細いリボンのような紙を伝ってあちこちの料理の上にも紙の焦げが残り、火が消えた頃には爆笑の渦でした。


歩さんは笑いすぎて涙を流していました。そして、子供達に向かって

「今日はみんなペイちゃんの為に来てくれてありがとう!ペイちゃんは髪の毛を引っ張って抜いちゃったり、おもちゃを壊しちゃったり、みんなの嫌がることたくさんしちゃいます。ペイちゃんに嫌なことされたら、私にすぐに教えてね!一生懸命教えていけばきっとペイちゃんもわかるようになります!どうか、これからもペイちゃんのお友達でいてね!ペイちゃんはみんなの事が大好きです!」


と、言いました。私はこの子供達に対する言葉に込められたメッセージ、歩さんの決意、そういったものが伝わってきてじんわりとしました。


旦那さんとの不仲もあるかもしれない。でも、そんな中でもペイちゃんの発達障害に対して向き合っていく姿勢をハッキリと述べたように感じられたのです。


私に言ってね、というのは絶対に逃げずに私がきちんと対処する。

一生懸命教えて行く、というのはいくらでも繰り返し教える覚悟。

そういう風に私には聞こえたのでした。


その大騒動からの誕生会はとても楽しい時間となり、最後にデザートとして最初のケーキが登場しました。みんなでケーキを食べ出すと、ペイちゃんは右手にスプーン、左手にフォークを持ち、犬食いしていました。


「スプーンとフォークの意味がない!!」

とみんなで笑いました。しかし、その笑い合う楽しさが少しでも伝わったのか、ペイちゃんは終始機嫌も良く、ケーキを犬食いしながら最後はケーキを枕に寝てしまったのです。まぁ、すぐに起きてまた夜中まで起きるのですが…。


一緒に片付けをしながら、歩さんが私に言いました。

「私さ、なんでもかんでも悲観するとどうしても落ち込んでダメになっちゃうって分かったよ。今日はペイがどんなにひっくり返しても笑って過ごせて、純粋にとても楽しかった。私の気持ち一つで世界の見方が変わるんだって思った。私は楽しくやっていきたい。」

私も同意しました。

「元々うちらはそうじゃん?なんかそれが最近なかったね。悲観するのではなく、笑いながら進もう。大丈夫。うちらならできるよ。」


もう悲観した物言いはしない。そう決めた瞬間でした。

ずっと先をみて悲観するのではなく、日々を楽しく過ごす!これが毎日の目標となりました。


ただし、まず私たちは発達障害というものに対しての理解が全く足りないから勉強しよう。もう一度臨床心理士の先生に会いに行こう!と二人で話をしてその日は解散しました。



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