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歩さんとペイちゃんの物語〜発達障害の実話  作者: mckee
全ての始まり
4/54

産後鬱

歩さんは退院時に迎えに行った私に対して1番最初に言ったのは、


「ねぇ、mckee。よく三回もしたよね。わたしはもう二度と出産しなくていい。」


よほどトラウマになったらしく、以降歩さんは妊娠・出産はしていないし、予定もありません。


歩さんは通常より長く約2週間入院しました。

ふくよかな体格のせいか、傷口のふさがりが悪く、本人も元々痛がりな為、この痛みに耐えて育児等到底出来ない、と嘆いていましたが、ペイちゃんより先に退院が決まったのでした。


肝心のペイちゃんは、NICU=新生児集中治療室にいました。


ペイちゃんは2000ちょっとの低体重で産まれました。様々な検査をしたようですが、軽い黄疸の治療のみで、あとは体重を増やすことだけが目標でした。胎内で体重が増えなかったことに関しては不明とされました。


ミルクと母乳の混合で順調に体重を増やし、産まれてから一ヶ月後に退院となりました。


でも、このタイムラグは歩さんを狂わせていたのです。ペイちゃんがいない生活を2週間も送ってしまったのです。


産後、私の家に滞在していた歩さんに対し、ずっと寝てばかりではなく、乳が張っていなくてもせめて4時間置きとかに搾乳をした方がいいと言いましたが、目の前に赤ちゃんがいなく、泣いてあやす相手もいない環境では中々起き上がれない状態が続きました。


傷口の痛みもあり、そんな中毎日NICUに搾乳を届けなければならない。


それも恐らくこの頃は苦痛でしかなかったのです。


目の前に我が子がいない、一緒に寝た事もない、おっぱいを欲しがる鳴き声も聞こえない、我が子に対する執着心を持てないでいました。


そうかと思えば、携帯で撮ったペイちゃんの写真を見ては


「小さく産んでごめんね。私、あなたのママにちゃんとなれるんだろうか?」


と泣いていたりしていました。


これは後に産後鬱であったのだろう、と私も歩さんも予想しています。気分にムラがあり、今まではイライラしてもうまく交わしてきた旦那さんとのやりとりもうまく出来ず、電話でさえもカッとなった状態で怒鳴る事が続いていました。


泣く、沈む、怒る、負の連鎖でした。


一度鬱々した状態に入ると色んな理由をつけてペイちゃんに会いに行くのも辞めた日もありました。


しかし、行った日は決まって泣いて帰ってくるのです。


その度に話を聞き、ペイちゃんはどこも悪かった訳ではないのだし、結果無事に生まれている。何も泣くことはないんだ、と言って聞かせたりしました。


そして、そんな状態の中でも歩さんと旦那さんにとっては念願のペイちゃんの退院が決まったのです。


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