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臭いものには蓋を

それから数日、私たちはなんだか気力が抜けて過ごしました。

口を開けば障害の話しか出てこなくなりそうで、なぜかその話題だけを避けていました。


そんな時、歩さんから1本のムービーが届きました。

再生すると、ペイちゃんが上半身ご飯まみれで顔や頭にもご飯、もちろん洋服も手も全部ご飯だらけなのです。


私は電話しました。歩さんは陽気に

「見た!?ちょーうけるっしょ!?全身ご飯だらけ!!本当にペイはよ!!」

と笑っていました。


話を聞くと、お食事椅子を自分で炊飯器の前へと移動させ自分で蓋を開け、手を突っ込んで食べていたと言うのです。しかも、もう間も無く炊ける状態のかなり熱いお米の状態に手を突っ込んで食べていたそうなのです。


歩さんはどんどん暗い声になりながら、

「すごいでしょ!?自分で炊飯器の蓋を開けて、手を突っ込んで原始人みたいに米食べて…。。。思わず笑っちゃってさ!!もう怒る気力もなくてムービー撮っちゃったよ!!…………熱くないんだよ!ペイはさ!!」


そう言って歩さんは声を殺して泣くのです。

もう胸が痛くなりました。


求めていた答えのはずなのに、答え=ゴールではない現実が歩さんの心に深く突き刺さったのです。


どうにも消化できない棘が私の喉にも突き刺さり、飲み込もうともがいても中々飲み込めずにいました。しかし、歩さんと話し合う事にしたのです。


私なりの答えだとか、道しるべも何もなく、ただただ現状を打破しなくてはならない!そんな思いだったのです。


数日ぶりにゆっくり会う機会があり、私は歩さんの家に行きました。何気ないそぶりで

「あれからどう?」

と聞くと、歩さんは

「相変わらずだよ。」

と普段と変わらないように見えて何かがおかしかったのです。


そう!それはいままで何かペイちゃんが悪さをすると時には度が過ぎてバシーン!と叩いたりしながらも、これは触ればダメなんだよ!怪我するんだよ!!とある意味毎回真剣にぶつかっていたものが一切なくなっていたのです。


ちょうどその時、ペイちゃんは1番歩さんがイラっとしてしまうおしりふきを一気に何枚も何枚も出していました。


今までならば、間違いなく

「ペーイ!!!やめなさーい!!!」

と喝が入るタイミングだったのですが、歩さんは無言でさっと取り上げ、おしりふきを黙って回収して、取り上げられたことが気に入らず泣き叫ぶペイちゃんに対して何も言わずに無言を貫いたのです。


ペイちゃんではなく、歩さんがおかしい。

「ねぇ、ちゃんと何回でも教えなきゃいけないと思う!執着心が強い時は別なものに標的をそらす、隠す、それでもダメなら繰り返し教えるしかありません、って先生も言ってたじゃない!」


先生は時間がオーバーしながらもペイちゃんを怒りっぱなしの環境を心配して様々な対策を最後に教えてくれていたのです。


歩さんは、しばらく気まずそうな顔をして、ポツリと呟きました。

「だって、ペイは障害なんだからしょうがないじゃん。」


その時、私は一瞬にして沸点に達しました。

「何言ってんの?!おまえ何考えてんの!?障害なら何やったって許されるのかよ!?そんな子供にしたいのかよ!?いけないことはいけない!悪い事は悪い!これを教えるのは親の役目なんだよ!!!ペイだって、少しずつ成長してるじゃん!!!おまえがそれを潰すわけ!?」


歩さんは私の剣幕に驚き、泣きつつも

「だってぇ。ペイは何回教えても教えても覚えない!障害だったんだって分かったら、もう怒る必要ないじゃん!!」


もう本当に歩さんの頭を思いっきり叩きたいくらいの気分になり、

「おまえとはしばらく話もしたくない!!!」

と捨て台詞を吐き、私は急いで歩さんの家を出ました。


久しぶりに歩さんに対して本気で怒りを持ちました。

しばらく怒りは収まらず、私から連絡することはありませんでした。



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