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歩さんとペイちゃんの物語〜発達障害の実話  作者: mckee
母としての壁
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ズリバイの開始

一人座りはおろか、まだ寝返りをしないねぇ?と言っていた矢先に急に寝返りが出来て喜んでいました。しかし、ほぼ同時にずりずり動き出したのです。座ることに関してはまだまだ危なっかしい状態からズリバイが開始となったのです。


ハイハイの前段階であるズリバイなのですが、腰がまだ座っていないからか、手と腕の力だけでずーりずーりと前進するようになったのです。歩さんはこの微妙なズリバイに関しては芋虫と呼んでいました。


確かに腰やお尻は多少クネクネと動きはあったものの、足がほとんど動かない様は芋虫のようでした。


今まで動きがなかったので、喜ばしい反面、困った事が起きたのです。

それは、拾い食いです。


髪の毛を始め、棚の下などに入り込んだカピカピになったお米、小さなおもちゃ、ティッシュ、請求書や重要書類といった紙という紙全般、全てが食べ物と化したのです。


不器用なズリバイをフル稼働し、一日中食べ物を徘徊して探しているような状態でした。

その頃歩さんの家では、ハンディタイプのゴミが集まる場所は半透明のになっている掃除機を使っていた為、掃除機もその対象となり、無理矢理掃除機を押し倒してうまい具合にロックが外れるとものすごい速度でわたゴミや髪の毛、食べカス等を口に入れモグモグ食べ出すのです。


例え、掃除機が自分に向かって転倒して今のは痛い!というものであってもお構いなしでした。

もちろん、掃除機のロック部分は壊れ、新しいものへと買い替えとなりました。


加えて、何枚の重要書類や払込用紙が食べられて、再発行をしたかわからないほどでした。

わたしも、お財布に払込用紙を挟んだままカバンに入れたりしていたので、払込用紙やレシートなどを食べられてしまったりしました。


歩さんに余裕が全くなくなりました。

気付き、食べる前に対処出来れば良いのですが、とにかく起きてる間はずっと次から次へとなのです。すぐさまやめさせて、口から無理矢理食べたものを出す作業をするのですが、口を開けることががもう全面拒否のペイちゃんを相手に無理矢理こじあけること自体が大変なものだったのです。


無理矢理こじあけ、ゴミをとった後は、ひたすら騒音に近いほど泣き叫んでいました。

まず、ペイちゃんの声は本当に甲高く、よく響くのです。それをご飯中はもちろんのこと、一日中追いかけ、やめさせる度に聞くようなものなのです。


とにかく設備を整えるしかない、と話しをして棚を買ったり、全てのものをとにかく上へ上へと追いやりました。


すると、ペイちゃんにとってティッシュや紙は食べ物だったので、視界に入る全てのものに対して食べたい!食べたい!と一日中泣き叫ぶ日が続きました。何かに執着すると、次の目標が出来るまで棚の上にあるティッシュならティッシュに固執して一点集中のまま本気で奇声に近いほどのありったけの甲高い声。私は当時の記憶の中でその強い執着心と甲高い声、これは絶対に忘れることはないだろう、というほどに鮮明に残っています。


更に、食べたい一心から、まだお座りが出来なかったのに、執念の手の力だけで立ち上がり、片方の手は棚などに掴まったまま、もう片方の手を棚の上に伸ばすようにすらなったのです。もちろん、すぐさまバランスを崩して思いっきり転倒するのですが、一切泣くこともなくまた立ち上がり必死にその物に執着するのです。


一人立ちの早さにも驚きましたが、何よりも思いっきり後頭部や全身を床とかにうちつけているにも関わらず、なぜ泣かない?


本当に疑問でした。

絶対に痛いはずの転倒を繰り返すのです。なぜなら立って居られるのはほんの数秒なのですから。




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