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歩さんとペイちゃんの物語〜発達障害の実話  作者: mckee
母としての壁
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突然の逆転劇

もはや歩さんの初出勤日は2〜3日後、というある朝の事でした。

歩さんは朝に目覚めた瞬間、あまりにも静かなペイちゃんに驚いたのです。


なんと、歩さんより先に起きていたにも関わらず、歩さんのことをじぃーっと見つめていたそうです。なぜ?どうしたの?なぜ泣かないの?


一ヶ月以上泣かれ続けたのです。

朝は自分が起きるよりも先に起きている場合は、歩さんの姿をみては大泣きをし、その大泣きで目が覚めるような生活だったのです。


それを旦那さんがひょいっと抱き上げ、せめて仕事に行く前くらいは、とミルクをあげたりしていたのです。そして、また旦那さんが仕事へ行き、大泣きが始まる生活だったのです。


しかし、その日の朝は泣いていなかったのです。

旦那さんが


「おっ!ペイちゃん起きたかー?」

といつものように抱き上げようとした瞬間、


「きぃーぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

あの聞き慣れた人さらいにあったような泣き方を急にし出したのです。

旦那さんはそのまま抱き上げました。


「ペイちゃん、どうしたの?お腹空いたかなー?オムツかなー?」

至って普通通りの日常の光景なのですが、何かが違う!と歩さんは悟ったそうです。


そして、戸惑いながらも居間に移動したペイちゃんを正面から抱き上げたそうです。

ピタっと泣き止みました。

「ハァーハァー」

ペイちゃんの息づかいだけが歩さんの耳に響きました。


なぜ?


もうそれしかなかったそうです。

嬉しさとか、そういう感情は全て後回しで、なぜ?


もう居ても立っても居られない気持ちで着の身着のまま状態で我が家に歩さんは乗り込んできました。


ピンボーンと鳴り、朝のテンポが遅いはずの歩さんのあまりにも早い時間の訪問にインターホン越しに嫌な予感しかしませんでした。思わず、


「な、なにしたの?!旦那と喧嘩でもした!?」

と聞いたほどです。歩さんはみて!!


いった具合に何かを指差してました。

すぐに玄関をあけ、確認しました。


なんと、抱っこ紐でペイちゃんがおんぶではなく、前に抱かれているのです。

正直、ビックリしました。

ペイちゃんの表情も穏やかで、泣くそぶりもありませんでした。


「どうしたの?!なにをしたの?!」

と驚いた表情で聞くと、歩さんは

「わかんない!よくわかんないけど、今日起きたらこうなった!!」

とものすごく興奮した声で言いました。


そして、いつも通りな具合に私の家に入ってきて、いつも通りな感じでベビーベットにペイちゃんを降ろしたのです。


その瞬間、

「キィぁぁぁぁぁぁぁ!!!キィぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

とペイちゃんが泣き出しました。


あらあら、と私はペイちゃんを抱き上げました。

「キィぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

泣き止みません。どうしたものか?戸惑いながら歩さんをみました。

歩さんも不思議な顔をしながらどれ?とペイちゃんを抱きました。

その瞬間、ピタリと止みました。


え?


また私達は固まりました。

歩さんは、朝の時点では誤解していたのです。

旦那さんに対して朝は虫の居所も悪かったのだろう、とあまり深く考えてはいなかったのです。

つまり、自分に対する拒絶反応だけがなくなったのだと勘違いしていたのです。


そうです。この日の朝を境に歩さん以外一切受け付けなくなったのです。

24時間歩さんによる抱っこを要求し出したのです。

毎朝健気に面倒をみていた旦那さん、毎日お風呂に入れたりミルクをあげていた私、その他の大勢の世の中の人全て拒絶し始めたのです。


「歩、これが多分普通の人見知りだよ。」

と言いながらも正直、困りました。なぜならもう少しで開始するアルバイト中はどうすれば?

え?私はどう対処していけば?と頭から離れませんでした。


全くもって予想外の展開だったのです。

それこそ、こんな予定ではなかった、と喜び半分と困惑半分でした。


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