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歩さんとペイちゃんの物語〜発達障害の実話  作者: mckee
母としての壁
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ダウン症の検査結果

まず、その事件の内容の前に語らなければならないことがあります。

それは、ダウン症の検査についてです。


歩さんはペイちゃんの入院中に看護師さんや医師に対して何度となくダウン症や発達障害などに関する可能性を聞きました。

しかし、真剣に受け止めてくれる人はいなかったのです。


皆が口を揃えて、ペイちゃんは普通よ。

ペイちゃんはとっても可愛いよ。


歩さんはとても可愛いと思える心境ではなかったので、医師や看護師さんがペイちゃんを可愛いという度に胸が苦しくて仕方なかったそうです。


ペイちゃんは普通。可愛い。そう思えない自分はやはり母親として欠陥なのだろう、と思ったりもしたそうです。


そして、風邪での緊急入院から約一カ月後のペイちゃん4カ月とちょっとした頃、病院での検診がありました。二カ月検診と同じく体重や身長の測定、体の発達具合をみるためのものでした。


その時はちょうど母親見知り真っ最中でした。歩さんの気持ちはいつ糸が切れてもおかしくない状況の真っ最中でした。病院に行く時は例のごとくおんぶで行きました。


測定をする場所でペイちゃんをおろし、看護師さん達の指示に従って測定をすすめている最中もずっと泣き叫んでいたそうです。


医師の診察になり、とにかく泣き叫んでいて理由を述べても話を聞いてもくれなかったようです。おそらくペイちゃんの泣き叫ぶ声も激しかったのもあったのだとは思いますが、歩さんの話は右から左へと受け流している状態だったようです。


医師はあくまでも、順調な成長です。と言ったそうです。

もう、歩さんは喧嘩になってもいいと何かが吹っ切れたそうで、本当に何かがおかしいのだと訴えたそうです。検査だけでいいからお願いですからして下さい!

と真剣に訴えたそうです。すると、医師から驚きの回答がきました。


「あのさ、一応検査したけど、どこも異常なかったから。」


その瞬間、頭は真っ白になったそうです。

言葉を失い、そのまま病院を出て私に連絡をしてきました。


「mckee、ペイなんともないんだって!私、もう自信ない!毎日ほぼ一緒にいる母親を拒絶してるのにそれでなんともないんだよ!?どうやってこれからやっていけばいいの!?」


それを聞き、私も言葉に詰まりました。それに対してなんと答えていいのか分からず、

「あのさ、とりあえず検査結果とか帰ったら見せてくれる?遺伝子検査してくれてたってことでしょう?それから話をしよう。」


と答えを先延ばしにした受け答えをしました。なぜなら、遺伝子検査とは親の病気やこれから先になる可能性のある病気も全て出されるそうなのです。そういった詳しい検査結果をみて他に何かがないかとか詳しくわかると信じていたからです。やはり何もないというフレーズに私も歩さんと一緒で衝撃を受けたのです。


しかし、私のこの何気ない言葉で歩さんに火がつきました。

「あ!!!!あの医者!!!!絶対検査してない!!!!だって、何にも紙の一つも見せなかったし、パソコン画面も見ずに言ってたもん!!!それこそそんなものをした領収書だってみた覚えもない!!それにおかしいじゃん!!!入院中検査しますともなんとも言わずに血液とって送ったのかと勘違いするところだったよ!!!絶っっっ対してない!あれは私を黙らせる為の嘘だ!!」


実は冴えている時の歩さんはかなりの直感型人間なのです。出産前までの職場も個人を相手にする営業職でかなりの営業成績をあげていた人だったのです。


その直感型人間がその時の医師の表情とかをきっちり読み取り、違う!絶対していない!と直感したのです。


私は、長年に渡り歩さんの友人をしてきたので、歩さんがここ最近では珍しく仕事モードなみのハッキリした口調で言い切ったのを聞き「程よくかわされてしまったのだね」と同意しました。


そして、歩さんは後日いいました。

「もう、二度と医者なんか信用しない。私の気持ちやペイの事を理解できるのは私と旦那とmckeeの3人しかいない。むしろ私は恵まれていると思って、もう病院に相談するのは一切やめる。」


もう一度固く決まった気持ちは、その後の市で行われる集団検診などでもずっと貫いていました。それをほぐすのは本当に大変な事で、1歳近くまでこの3人以外の大人にペイちゃんの問題は語られることはありませんでした。


それからほんの数日後に冒頭で触れた大事件が起きたのです。



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