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歩さんとペイちゃんの物語〜発達障害の実話  作者: mckee
母としての壁
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命名・母親見知り

その私たちが命名したと言っても過言ではない「母親見知り」にはよくよく観察すると特徴があることに気付いたのです。

まず、極端な話ですが歩さん以外ならば誰でもいいのです。

普段の関わりが多い私や旦那さんを始め、私の子供たちでも、その日初めて来た外交員の人でも、ペイちゃん初めまして〜とやってきた職場の人でも、誰でもです。


そして次にベビーカーを後ろから押す分には歩さんでも大丈夫なのです。


その為、常にベビーカーで移動するようになりました。

授乳に関しては哺乳瓶をスッと咥えさせ、なるべく顔を見せないようにしてタオル等で固定します。

そして、吐き戻しがないか、むせていないか、というのをペイちゃんから死角になるような角度から監視します。


基本は顔を見せない、その手法で乗り切れないものもありました。それは、オムツ替えとお風呂です。お風呂やオムツ替えであまりにも激しく泣く為、起こったのは泣き過ぎてむせて吐く、という事です。


吐くほど泣くのです。実の母親相手に。

毎日衣食住を共にし、生後一ヶ月からずっと一緒にいるのです。

確かに、今までが大変で笑顔が少なかったかもしれません。でも、ミルクに変えてからは余裕のあるときは少しずつ少しずつ距離を縮めてきたはずなんです。


私だって、最初の子育ては全く余裕のないもので、可愛い可愛いと純粋に思えるまでは少し時間がかかりました。でも、母をみて泣くなんてことはありませんでした。


おそらく世の中のお母さんの何割かは初めての子育てで経験があるのではないかと思います。そうだとしても、1番身近な人に執着する、それが通常の赤ちゃん、子供なのではないかと私は感じていました。


ペイちゃんの泣き方を表現するとしたら、本当に人さらいにでもあったのごとく全身を真っ赤にするくらい激しい拒絶反応を示して本気でありったけの声を出して泣くのです。


泣き過ぎて声が枯れかかったほどに泣いていました。

せっかく飲んだミルクも吐き戻しては成長の妨げになるだろう、と様々な事を試してペイちゃんからなるべく死角になるように過ごすしかなかったのです。


私もさすがに哀れになり、その時点でも怖いからという理由で私にお風呂を頼むことが多かったのですが、私の都合のつかない日は沐浴をしていたのを毎日のように気分転換も兼ねてベビーカーで我が家へ呼び、日中にお風呂を入れて夕方に帰る生活をさせました。


やはり、自分がそうなったらと考えたら本当にノイローゼになるだろうと思ったのもあります。


我が家にはベビーベットやバウンサー等の設備があり、下に座ってる分にはペイちゃんから歩さんの顔を見ることはなく、歩さんもペイちゃんも自宅にいるよりは落ち着けていたように感じていました。もちろん、我が家へいる間は私が率先してオムツ替えや授乳をしたりしました。


そして、究極な事に気付いたのです。

試しにひょいっとやったおんぶです。

なんと、そこまで歩さんを拒絶するのにも関わらず、歩さんにおんぶされる事はNGではなかったのです。これに行き着くまでには半月はかかりました。


抱く直前まで顔を見る為、激しく泣きますが、なぜかおんぶすると泣き止むという現象によくわからないが、とりあえず家の中が静かになった、と歩さんも少し安堵したのです。


おんぶをされている間は非常に大人しく、オムツやミルクを欲しがる時間以外は基本は泣き止むようになったのです。


しかし、一日中おんぶかベビーカーかの選択をし、泣かれる日々に限界が来ました。

それは母親見知りが始まって約一ヶ月を過ぎた頃の事で、私たちの中ではとても大きな事件でした。



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